まいにちWACわく!その37:blog版その6(番外編:宴会戦線)

20畳くらいはある座敷部屋には、机と季節はずれのナベが置いてある。大皿に盛られた具は肉に野菜に魚と定番モノばかり
ここは駐屯地正門に近い居酒屋兼料理屋「一方亭」2Fの宴会場、料理はまずいが安い宴会代で隊員たち(幹事限定?)には好評だ。土曜日の夕方18時45分、宴会を前に座敷には多くの隊員が…いなかった
「みんな遅いですねぇ」1小隊の大島士長が体育座りをしながら言った「宴会は19時からだからな、時間ぎりぎりに来るんじゃないか?」と言うのは、壁にもたれて立っている1小隊の安田3曹だ

今日は小隊のほぼ誰もが望まない宴会だ。最低の小隊陸曹だった木島曹長が、8月の人事異動に会わせて連隊本部広報班に異動(正式な異動は来年3月、それまでは臨時勤務扱い)するために開かれる宴会だ
「だいたいヤツが断りゃ〜いいんだ、なんでみんな嫌がる宴会をするんだろうな?」と愚痴るのは安田3曹「仕方ないですよ、上級陸曹のみなさんには立場があるんでしょうし」と大島士長
「立場ねぇ…」「まぁまぁ、90分だけ我慢しましょうよ〜」屈託無く笑う大島士長は二十歳を超えてるとは見えない笑顔を見せる。童顔なので下手をすれば中学生でも通用するだろう
「あれ?オレが一番乗りか〜みんな何しとんかね?」宴会場に顔を出したのは木村1曹だ「そうです、みんな何してるんですかね〜?会費は大島に…」「3000円です。飲み放題ですよ」
時計は19時50分を指している。木村1曹を皮切りに数名の陸曹がやってきた「同じバスに乗ってきたんよ」とは木村1曹の弁。とたんににぎやかになる宴会場。とそこに主賓がやってきた



「お〜みなさんそろってますね!」とご機嫌な声を出してやってきたのは木島曹長だ「曹長は奥の上座にどうぞ…」と言いかけた安田3曹に対して「おい、なんで若い連中が来てねえんだ、あ〜?」と絡み始めた
「いや、時間までまだありますから…」「ちょっと早めに来て宴会準備を手伝うのが礼儀ってもんだろうが、指導してんのか〜てめぇは?」ネチネチと言い始めたその時、木村1曹が声をかける
「おぅ曹長、席に着かんね?」上座の近くに陣取った木村1曹たちが手招きする「…」不満そうな顔も一瞬「はいよ〜」振り向いた瞬間笑顔になり、上座の席に向かう
(やれやれ…)いつもの事ながら細かい事をジメジメと言う、内心少し腹を立てつつ顔は平静を装う安田3曹。その時、階下で「いらっしゃいませ〜」という声が響き、若手連中の声が聞こえてきた

「会費は3000円、大島に渡してくれ」階段を上がってきた若手陸曹、陸士達に声をかける安田3曹「はいよ」「釣りある?」「万札しか無いんだが…」次々とお金が渡される
「おい!おめぇら…」上座からイヤな声が聞こえてきた。振り向いた何人かは露骨にイヤな顔をする「今来てる人を見て何か思わね〜のか?あ〜?」お互い顔を見合わせ(またか…)という顔をする若手隊員たち



さすがに宴会場で言い返すのはまずい…と考えるところだが、一人だけ空気を読まない隊員がいた「始まる時間は19時じゃないですか?遅れてもいないでしょうが」
口調こそ丁寧だがニコリともせず木島曹長をにらむのは、1小隊の大宮3曹だ
中隊でも若手の陸曹である大宮3曹は口が悪い。特に木島曹長のようなタイプの人間を嫌っており「この二人を組み合わせて仕事させないように」と中隊の裏ルールがあるほどだ
ただし口は悪いが体力・戦技とも高い能力を持ち、レンジャーの資格もある。そして尊敬できる人間に対しては忠義を尽くし、部下への面倒見もいいので、特に嫌われているわけではない
「…」弱者に強く強者に弱い木島曹長は言い返すタイプの人間は苦手、当然ながら大宮3曹を嫌っている。それ以上は何も言わず、不機嫌な顔をして黙り込んだ
「しかし小隊長も遅いですねぇ…」誰かがポツリと言ったその時「間に合ったかな?」と小隊長が顔を出した「お〜小隊長、ささ、こちらへ…」とたんに立ち上がり手招きをする木島曹長であった



コンロに火が入りナベがゆっくりと加熱されていく、机の上に栓の開いたビール瓶が配られていく「皆さん、検閲お疲れ様でした!それと木島曹長が8月から広報班に勤務されるという事で…」幹事の安田3曹が司会も勤める
「ではまず、小隊長から一言お願いします」呼ばれた小隊長が立ち上がり「検閲も無事に終わりまして…」酒好きな隊員たちの注意はビール瓶に向けられている
小隊長の挨拶も終わり、次は乾杯だ「では乾杯の音頭を次期小隊陸曹の木村1曹にお願いします」指名された木村1曹が立ち上がる「それでは皆さん、グラスにビールを注いで…」言い終わる前からビールが注がれていく「ささ、小隊長…」「こりゃどうも…」
全員のコップにビールが注がれた事を確認して「それでは、これからも頑張っていきましょう。乾杯!」「かんぱ〜い!」こうして宴会が始まった

上座には小隊長に木島曹長、木村1曹の3人がまとまっている。その付近には小隊の上級陸曹と、先輩たちに追いやられた1士たち(当然ながら誰も曹長の側には座りたがらない)
酔いの回る前は取りあえず、自分の席で酒を飲みつつ鍋をつつく。店内は冷房も控えめで、宴会場は少し汗ばむくらいだ「あっついな〜ビールくれ」木島曹長が近くにいる和田1士にコップを突き出す「は、はい」できるだけ話しかけられまいと距離を取っていた和田1士だが、名指しで来られては逃げようもない



トクトク…とビールが注がれる「おっとっと…」注ぎ方がまずかったか、注がれたビールは泡ばっかりになってしまった「おい、下手くそだな〜お前」不機嫌そうに言う「すみません…」
憮然とした表情でビールを口に付ける「お前、いくつだよ」「19です」「ビールの注ぎ方くらい覚えろや、あ〜?最近の若い連中は…」ネチネチと説教が始まりそうになった時、横から木村1曹がビール瓶をつきだしてきた
「曹長!ささ、主賓じゃけググッといかな〜!」早くも酔ってるのか、かなり陽気に振る舞う。九州男児だけあってかなりの酒豪だ
「あ、こりゃどうも…」泡だらけのコップを空にしてコップを突き出す。なみなみ注がれたビールは泡の部分が1センチ、見事な「技」と言える「さ、木村1曹も…」同じように返杯を注ぐ。その隙に和田1士は反対方向を向いて先輩と話を始める
「…こんな席で説教なんて、空気読めねぇよなぁ…」小声で話す二人「…えぇ、早く離脱したい…宴会は何時までですか?」「20時半、あと1時間以上あるぞ…」ガクッと肩を落とす和田1士「…酔いが回ってきたらみんなに酒を注ぎに行ったらいいぞ」と先輩からのアドバイスだ



宴会開始から30分が経過…酔いも回り始め宴会も盛り上がってきた「だ〜か〜ら、彼女ができたからって安心するとだなぁ…」「お前、体力ねぇだろ?ちょっとは食った方がいいぞ。小畑を見習え…」とあちこちで話が盛り上がる
次の犠牲者は遠戸2曹だ。木島曹長の横に正座している「…お前も2曹だろうが、ちょっとはしっかりせいよ…」「は、ハイ!ハイ!」機械仕掛けのように首を縦に振る遠戸2曹。神妙な顔をしているが、恐らく話の内容は頭には入ってないだろう
「できねぇじゃねぇんだよ、あ〜?そんなんだから陸士どもがなぁ…」だんだん不穏な話し方になってきて、目つきも悪くなってきている「だいたい今回の検閲だってなぁ…そんなんで陸士に指導ができるのかよ、あ〜?」グチとも説教ともわからない話し方になってきた
そこで話を振ってきたのは小隊長だ「ま〜ま〜曹長、一杯どう?」とビール瓶を差し出す「あ、こりゃ〜どうも!いやいや、ホント手のかかる小隊で…」とコップを差し出す。その隙に逃げればいいものを、遠戸2曹は同じように正座している

「…だれが一番手のかかるって、そりゃアンタですから…」と誰かが口にすると、周囲から控えめな笑いがこぼれる。若手陸曹と陸士ばかりが座っているテーブルの一角、中心にいるのは大宮3曹だ
「ま、これが最後だからいいんじゃね?このままこの世から消えてくれりゃ自衛隊のためにもいいんだけどな」と言って笑う大宮3曹。木島曹長と不倶戴天の敵である大宮3曹の側なら安全地帯…と若い連中が避難してきているのだ



宴会が始まって1時間後、酒の力で盛り上がってはいるが微妙にイヤな空気が漂う宴会場である。ここまで来ると酔いつぶれる人間も出てくるわけで…
「お〜い、和田!生きてるか〜?」部屋の隅で完全にのびているのは和田1士だ。未成年に飲ませるのは本当はダメなのだが…
そんな中、黙々と鍋の中身を食べ続けるのは小畑士長、残飯処理のように肉や野菜を口にする。そこに絡んできたのは、相手がいなくなった木島曹長だ
「おぅコラ、小畑!食い過ぎじゃねえかぁ?」草食動物のようにのんびり首を回して「そう〜で〜すかぁ?」とこれまたのんびりした口調でこたえる小畑士長。これでも酒が入っているせいか、普段より早口になっている
真っ赤な顔をして怒鳴る木島曹長「てめぇ体力検定受かってねぇだろ!ばくばく食うんじゃねぇ!ダイエットしろや、あ〜!?」かなり酔いが回ってるせいで声が大きい。本来なら宴会場が静かになるくらいの大声だったが、みんな(相手にしたくねぇ)と無関心を貫いて騒ぎ続けている
怒鳴られた小畑士長は「……」ぼ〜っとした顔は変わらない、そしてそのまま鍋の中身をあさり始める。腹を立てた木島曹長は「おぅコラ安田!てめぇどういう指導してんだよ、あ〜?」矛先をよそに向ける



店員と何やら話をしていた安田3曹は、突然の怒鳴り声に驚いた「…?何です?料理はもう出ませんよ」キョトンとした顔を向ける「話も聞いてやがらねぇ、何考えてんだてめぇらは、あ〜?」訳のわからない…という顔をする安田3曹
「陸曹見て陸士は育つもんだよなぁ、まったくよくわかるぜ〜お前ら見てたらよぉ」と言って辺りを見渡す。さすがにカチンと来て席を立とうとしたのは大宮3曹だ「あんたがその元凶だろうが…」と言いかけたその時…
「おぅ、やっとるね〜お疲れさん!」顔を出したのは中隊長だった。宴会場にいた全員の目が注がれ「おつかれっす!」と口々に挨拶をする
「どうされたのですか?中隊長」と声をかけたのは小隊長だ「いや、いま仕事が終わってね。帰りなんだよ。ちょっと様子を見に来たのさ」中隊長は官舎住まいだ「盛り上がっているようだね、けっこうな事だ…大丈夫か?」隅でのびている和田1士を見て心配そうに呟く
「だ〜いじょうぶですっ!いざとなったらリアカー持ってきますけん」と木村1曹が言い、場がドッと盛り上がる「大丈夫そうだね、それじゃ飲み過ぎないように」そう言って中隊長は立ち去っていった
勢いをそがれたのか、木島曹長は急におとなしくなる「………」まったく表情を変えず、鍋の中身を食べ続ける小畑士長だった



「な〜アレ放っておいていいのか?」「アレって?…あぁ」同期の指さす方向を見て大島士長は納得する
一人ブスッとした顔をした木島曹長がチビチビと熱燗を飲んでいるのだ
絡みすぎたからかいつものことなのか、宴会も時間がたつにつれ木島曹長の周りには誰もいなくなってしまった
「ま〜自業自得だけどな」と笑うのは大宮3曹、しかし主賓が一人で酒をチビチビ…というのはさすがに絵柄もよくない
「しゃ〜ない、ボクが行ってきますよ」傍らにあったビール瓶をつかんで、大島士長が立ち上がる「いいのか?」「やめとけって…」「ほっときゃいいじゃん」と周りから声が上がる
「幹事ですから、ま、死なない程度に相手してきます」と笑顔を見せる「そうか…武運長久を祈る!」と安田3曹
「そ〜う〜ちょう、ま、どうですか一杯」明るい声でビール瓶を差し出す大島士長「…ん」子供のような笑顔に毒気を抜かれたように木島曹長はコップを差し出す
トクトクトク…きっかり1cmの泡ができ、コップになみなみビールが注がれる「…ふん」文句をつけられずやや不満そうにコップを口に運ぶ
ビールを少し飲みさっそく説教(いちゃもん)モードに入る「…最近の陸士は質が落ちたんじゃねえかぁ?だいたいだな…」「はい、はいはい、えぇ〜そうですねぇ」上手いこと話を合わせる大島士長、時に大げさにうなずき、時に驚いてみせる
愚痴をはき出して少し上機嫌になったのか、木島曹長も文句を口にするのをやめた「ま、なんだ。こいつらにはちょっとくらい厳しくいかなきゃ〜だめだったって事だ、わかるか?あ〜?」「え〜わかります、やっぱりそうですよね〜」うんうんとうなずく「この数年は大変だったさ〜問題ばかり起こしてくれたよなぁ」
視線の先には部屋の端で寝る隊員、総合格闘技の技を「実際」に試している連中、パチンコの話で盛り上がる若手隊員たち…(実際けっこう問題あったかもなぁ)調子よく話を合わせていた大島士長だったが、この瞬間に少しだけ曹長に同情した
借金を作って逃げた隊員や、スピード違反に飲酒運転、援助交際で捕まった隊員もいた。責任逃れは曹長の十八番だったが、すべてに責任をとっていたらクビがいくつあっても足りなかったかな…としみじみ思う
もっともそういった不祥事の責任の一部には、曹長の指導不足もあったのだが…

適当に話を合わせて席を立つ大島士長。宴会ももう終わりに近づいている


「宴もたけなわではございますが…」20時半になり、安田3曹が声をかける「そろそろお時間となりましたので、この辺でお開きにしたいと思います。皆さん席にお戻り下さい…オバ!食うなっての」
ざわざわと騒ぎは収まらないが、ポツポツとみんな席に戻り始めた

「それでは、最後の乾杯の音頭を…」ちょっと言いづらそうにする「…木島曹長にお願いしたいと思います」おざなりの拍手が響く
気まずそうな顔をするが、その場に立ちグラスを持ち上げる「え〜今までいろいろとお世話になりました。これからも演習等あるとおもいますが、頑張って下さい…それでは、乾杯!」きわめて普通の挨拶だ。一応社会人なので、空気を読んでこのぐらいの事は言える
「かんぱ〜い!」がちゃんとグラスの合わさる音が響き、宴会は何とか無事終了した。若干残っている人間もいるが、若手隊員たちはさっさと宴会場を後にした

「お疲れさんです」「ど〜も、お疲れさんでしたなぁ」小隊長と木村1曹は二人で酒を酌み交わす
ここはバー「しがらみ」木島曹長やその他何人かは家に帰り、若手連中は自分たちだけで二次会に向かったのだ
「どうだい?小隊の様子は」と聞くのは小隊長「う〜む…」とうなりビールを口に付ける木村1曹「今は何とも、難しい話ですのぅ」
「難しい?」「やはりちょっと若手連中がひねちょる感じがしますけん。士気を上げるにはどげんしたらよかですかねぇ…」と深刻そうな顔をする
「そんなに下がってるかい?」「理由は知っちょるでしょう?」ぐい、とビールを飲み干す
「ま、何とかしますけん。考えるよりは行動ですたい」「そう!そういうところを見せてやってほしいんだよ。ウチの若い子たちはちょっと後ろ向きなような感じでねぇ」
そこにやってきたママさん「な〜に?男二人で難しい話?」「まぁね」「演習終わったんでしょう?そんな顔しないで飲みましょう!」
なんでそんな話知ってるんだ…とは聞かない二人、駐屯地周辺の飲み屋などが演習日程を把握しているのは珍しい話ではない(もちろん問題です)
「そうじゃのう、飲み直しますか!今日は気を遣った飲み会でしたからのぅ」木村1曹は一気にコップの中のビールを飲み干した



安田3曹と大島士長が会計を済ませて駅前のショットバー「アーティラリー」にやってきた時には、すでに1小隊の若手隊員たちができあがっている状態だった
「遅い!もう二次会始まってるぞ〜」声をかけるのは大宮3曹、奥のテーブル席から二人を手招きする「いやいや、ちょっと手間取ってねぇ…」頭を掻きつつ席に着く

「…で、その時にアイツが何したか知ってるか?一目散に現場から逃げ出しやがったんだよ…」「そりゃ最低だな〜」どうやら木島曹長の思い出話で盛り上がっているようだ
「ホント、この数年は地獄だったよな〜」「何かあったら陸曹集めて『お前等の指導が悪い』とか言って…」「アイツ、オレを糧食班に追いやっておいて『お前は仕事しねぇな』とか言いやがってな〜」思い出話と言うよりはグチ合戦になっている
「でも何が一番ナゾかって、そんなあいつが結婚してることだよな〜」「そうなんですか?物好きな女もいるんだなぁ」陸曹長クラスとなると結婚しなくても営外者(駐屯地の外に住む隊員)になれるので、若い連中は「ジメジメは独身」と思いこんでいたようだ
「娘さんもいるくらいでな…確か小6だったかな?」と安田3曹「けっこうかわいかったですよね?駐屯地の記念行事に来てましたけど」大島士長も見た事はあるようだ
「奥さんはどんな人間なんだろうな?すごい人格者か同等レベルのクソ野郎か…」「クソ野郎じゃねぇか?マイナス×マイナスはプラスだからな〜」大宮3曹が毒舌を吐き、場がドッと盛り上がる「娘さん苦労してるだろうね〜」「オレがかわいがってやろうか?」「お前ロリコンかよ!」周りには民間人もいるのだが、そんな事は気にせずバカ話を続ける一同だった

「次いこうぜ次〜!」「…ウェッ!」酔って吐いて大騒ぎの隊員たち。重圧からの開放感とボーナスの入った安心感からか…
「次、カラオケ行く人〜」「キャバクラ行こうぜ〜」とここから先はまたバラバラになってくる。彼らは夜中の3時近くまで飲み歩き遊んで帰っていった

翌昼前、営内班のベッドで最初に目を覚ましたのは安田3曹だった
太陽がやたらとまぶしく見える。窓の外に目をやり明るい日差しに顔をしかめながら、安田3曹は昨日の記憶をたどり始める…が、すぐに激しい頭痛が襲う
(こりゃーダメだな…なんかジュースでも買ってくるか)どうやら昨日は外出した格好のままで寝てしまったらしい。ジーンズのポケットから財布を取り出す
「!無い!福沢さんがいねぇ!」昨日は確かに3枚あった1万円札が無くなっている「なんで…?」
頭痛をおして記憶の奥底をたどると、昨日の2次会以降の狂喜乱舞が思い出される…「やっちゃった〜」がっくりと膝をつく安田3曹であった

番外編「宴会戦線」完



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