まいにちWACわく!その34:blog版その3(状況開始!)

いよいよ行軍が始まった。演習場を少し歩いて外に出る、それから演習場周辺の田舎道を歩きまた演習場に戻ってくるコースだ。距離は35km、行程は10行程、大休止が1回ありその時に夜食が配られる
7月はもっとも夜が短い季節、夕方7時を回っても夕日がさんさんと輝いている。1行程が終わり演習場の外へと向かう中隊一行「…」無言で歩く武装集団は端から見るとかなり不気味だ
田舎道とはいえ車の通りもそれなりにあり、車道にはみ出さないように隊列は一列を維持する。すれ違う車から投げかけられる好奇の目も慣れてしまえば気にならない。むしろすれ違う車の中を見て…(お、かわいい子が乗ってたな〜)と余裕さえ感じさせる隊員もいる

岬2尉が手を挙げて全隊員を停める「現在地で休憩、後方から異常の有無を逓伝せよ」最後尾を歩くのは中隊本部、先任から「異常なし」の連絡が回ってくる
一番前は中隊長、運幹の岬2尉、そして田浦3曹だ「異常なし、了解…2小隊から2名、前方警戒に。後の者は休憩」中隊に指示が伝えられる
銃を整頓して足下に置き、同じく背のうと防護マスクを整頓して置く。あとはどれだけ短時間にリラックスできるかが勝負だ

一番若い1士連中も最近は慣れてきたようで、靴ひもをゆるめ戦闘服のボタンを外す。そしてリラックスした姿勢をとり、スポーツドリンクやチョコレート、キャラメルなどを軽く口に含む
日は落ちてだんだんと空が暗くなってくる。月は夜半に出るらしく、しばらくは暗い状態が続く。田舎道は街灯の数も少ない
「出発3分前」靴ひもを締め直し装具を点検、背のうを背負い銃を担いで「異常なし」の報告を前に伝える。全員の異常無しを確認して中隊長がまた歩き始めた。その後を中隊の全員が無言で付いていく
暑さと暗闇は容赦なく体力を奪っていく。特に今日は蒸し暑い気がする…(この暑さは異常だな)と中隊長の背中を身ながら田浦3曹は思う(脱落者が出なけりゃいいが…)

田浦3曹の心配通り、夜半に入り1人の脱落者が出た。1小隊の遠戸2曹だ
衛生の救護員が中隊長の下にやってきて「熱中症ですね。これ以上は危険です」と進言していく。事実上のドクターストップだ
「…仕方ない、後送してもらうか」中隊長が肩を落とす、検閲で脱落者を出すと後々の評価に響く。しかし、脱落者はこれだけではなかった

大休止地点は村役場前の駐車場、ここでおにぎりが各人に一つずつ配られていく。背のうにもたれかかり中隊長と岬2尉が何やら小声で話をしている
そこにやってきたのは衛生の救護員だ「中隊長、ちょっと調子の悪い者が…」えっ?と言う顔をする中隊長「…また?」
迫小隊の2名が足首のねんざと脱水症状で同じくドクターストップ。これで脱落者は3名となった「…何て事だ…」落胆の色を隠せない中隊長「危なそうなヤツはいるか?各小隊でチェックしてくれ」すかさず指示を出す岬2尉
「危なそうなヤツの荷物を余裕があるヤツに持たせてくれ」訓練にはならないが仕方ない。各小隊が危険な隊員をチェックして荷物の積み替えを実施させる

7月の夜は短い、朝の4時くらいになると空も白み始めてきている。暗い闇の中を歩く事を考えれば体力の消耗も少ない
(あと少し…)(あとちょっと…)心の中でそう呟きながら最後の道のりを歩く。ただこれからが本番なのだ



行軍は無事終了した。朝日の中、フラフラになっているのは1小隊の小畑士長だ「ほら、オバ!あと少しだ、頑張れ!」と二人に脇を抱えられながらのゴールだった
「…」と複雑な顔の中隊長(いきなり脱落者か…)とかなりへこんでいる。中隊は一時状況を中止して、バトラー資材の受領に入る

すぅ…と息を吸い込み軽く息を吐く、銃を持つ腕に力を込め照門をのぞき込む、照星に的をあわせてゆっくりと、力を込めずに引き金を引く…カチン!と撃鉄が落ちる音、と同時に前方にある機械からブザーが鳴り響く

「もう少し右…3クリックくらいかな?」「りょ〜かい…こんなもんかな?」また銃を構え引き金を引く井上3曹。バトラーのレーザー発射機を調整しているのだ
「よし、OK」ブザーが鳴り調整を終えた井上3曹が立ち上がる。狙撃手なので小隊で一人だけ64式小銃(照準眼鏡付き)を持っている
身長170センチ弱の井上3曹が持つと、64式小銃は少し大きく見える
だいたいバトラーの装着は終わったようだ。レーザー発射機のみならず、レーザーが当たればブザーが鳴り響く受信機も装着している「これって重たいし面倒くさいんやな〜」と愚痴をこぼす
「テッパチのセンサーが体の受信機と繋がってるから、脱いでもポンと置かれへんし…センサーをふさぐからって偽装もできへんねんで?」動きにくさに珍しく愚痴をこぼす

バトラーの装着も終わり状況は再開された。中隊本部と対戦車小隊が陣地構築のために「防護施設」まで先発する。迫小隊も陣地まで向かった
小銃小隊は敵の襲撃まで待機している、この前の訓練と同じ流れだ。数名の警戒を出して銃を片手にゆっくり休む。木陰で木にもたれかかる者、高機動車の座席で警戒しつつ休む者…

3小隊の編成は小隊長に佐々木3尉、小隊陸曹に神野1曹、そして通信手に赤城士長だ
小野3曹以下数名が中隊本部に貸し出されている。何に使うかは不明だ

日も上がった10時頃、演習場に空砲の音が鳴り響いた「始まったか…みんな、起きろよ」と声をかける神野1曹。銃声とそれから擬煙火筒(破裂して迫撃砲の着弾を示す筒)の音もする
しばらくして銃声が止み、しばしの沈黙。そして…『各小隊、前進せよ』と無線機に入る岬2尉の声「よし、行くぞ〜!」気合いを入れて全員が高機動車に乗り込み、命令受領するために中隊本部のある「防護施設」に向かう



「防護施設」と言っても、そこは演習場にポツンとあるプレハブの倉庫でしかない。その横に建っている業務用天幕2号が中隊本部のようだ
同じ地域に衛生小隊の救護所もある。天幕をいくつか並べて救護所を設置し、赤十字の旗を掲げる

下車した小隊長たちが命令受領のためそこに向かう。その間、銃を敵方に向けて警戒する各小隊
しばらくして小隊長たちが帰ってくる。さっそく各班長を集めて指示を出す「…小隊は最左翼を前進、右から…」と細かい指示を出す
命令下達が終わり、車両を分散して停める。森の中などに入れて偽装網を広げる。道路の入り口にも木や草を立てかけて偽装する

各小隊はなだらかな20mほどの深さの渓谷「小谷川」の橋を渡り、敵が逃げ込んだとされる「歩兵の森」の前にやってきた。ここから各小隊は分散、横一列になって敵ゲリラを狩り出すのだ
「歩兵の森」は南北に長く東西に短い、真ん中が少しふくらんだ長方形をしている。起伏も少しあり、周りはすべて道路に囲まれている。そこから先は「行動不能地域」に指定されている
中隊は南側から北に向けて前進、敵を狩り出して殲滅する。各小隊に迫のFOが同行しており、敵を発見したならば直ちに支援射撃が要求できる
「かなり俺たちに有利だよな?」「あぁ…相手が真田2尉じゃなけりゃね…」そういう会話も聞こえてくる。確かに攻め手有利だが、敵は全員がバトラーを装備している。小隊長が狙われたらかなり苦境に立たされるだろう
「…と言う訳で、オレも小隊長のすぐ側に付くんやわ」と赤城士長に言うのは井上3曹「敵が集中的に狙うんは小隊長、オレはそれを見つけて逆に狙うんやな」「は〜なるほど…」と感心する赤城士長
「赤城も人ごとみたいに言うけど、通信手も狙われやすいんやから注意せぇよ」と忠告する



「前進開始しました」中隊本部の天幕の中、田浦3曹が中隊長に報告する。天幕の中には統裁官である連隊長やその他の幹部も詰めている。緊張感漂う中隊本部(早く逃げたい…)と内心思う田浦3曹であった
中隊本部は交代でCP(指揮所=中隊本部)の警戒に当たる。それ以外の人員は天幕の中で地図に状況を記入したり書類の記入を行う。川井2曹以下数名は食事の運搬やレトルト食のボイルを実施する
前線に出る小銃小隊の面々は各人携行で食事を持たせてあるため、温かい食事は期待できないだろう。かわいそうだが「メシが食えるだけマシ」と思うしかない

前進が始まってもう8時間になろうとしている。途中、休憩は食事を含めて2度しか取っていない。思ったよりも草が多く起伏もあり、捜索に手間取っているのだ
小隊の少し後ろを歩く小隊長、そのさらに後ろに赤城士長がいる。井上3曹は小隊長から10mほど左手を付いている。いつものふざけた顔とはうって変わって、ドーランが塗られた顔は真剣そのものだ。眼球も見えないような細い目がさらに細められる
(これは…けっこうしんどい…)小高い丘を登りつつ赤城士長は思う。行軍の時はそうでもなかったが、さすがに睡魔と足腰の疲労が来ているのがわかる。さほど重くない携帯無線機が肩に食い込むようだ
ヒザが笑っているのがわかる、銃を持つ腕も怠い、テッパチの重さが頭と首を容赦なく痛めつける。顔に塗られたドーランが気持ち悪い上に、皮膚呼吸がしにくいため苦しくなる
足元ばかりを見ていたため、前を歩く小隊長にぶつかってしまった
「ぉ!」ビックリしたように呟き後ろを見る小隊長「あ…すみま…」謝ろうとしたのを手で制する。そして口元に人差し指を当てる。索敵中は私語厳禁、これもまた疲れがたまる要素の一つである
丘の頂上まで来たようだ、部隊は嶺線上から銃を構える。赤城士長も後方を向き、立ち木にもたれかかりながら銃を構え後方を警戒する
神野1曹が嶺線の向こう側に頭をだして警戒する。そして一通り見終わった後、手信号で(異常なし)と報告する
日もだいぶ落ちてきた。夜間の警戒は低所に位置する方が有利なので、この丘を降りたところに警戒線を設定して中隊は停止する事になった
丘の下に到着、警戒員を前方に配置してピアノ線を使った罠を仕掛ける。ローテーションを決めて残りの者は休憩だ。とは言え銃は手放せない
森の木々の隙間から星空が見える、田舎の演習場は星がきれいだ。無線機をおろし枯れ草の上に寝る赤城士長。心身共にかなり疲労しているのがわかる
(…これはきつい…みんな平気なのかな?)そこらに人の気配はするが、話し声は聞こえない。実際、赤城士長の同期達はほとんどみんな同じような状態なのだが、彼女にはそれがわからなかった
(私は体力無いのかなぁ…)一人落ち込みつつあっという間に熟睡していった…



同じ頃、中隊本部の天幕では…「中隊長、寝ないんですか?」無線機の前に張り付いている田浦3曹が聞く。CPを視察していた連隊長以下の幹部連中はほとんど廠舎に帰り仮眠を取っている。表のパジェロの中で仮眠しているのは副連隊長だ

「さすがに寝る気にはならんな…」う〜んと唸りながら言う。天幕の近く、衛生小隊の救護所からはいろいろ声が聞こえてくる
「向こうは騒がしいな」「衛生は『大量傷病者の受け入れ』をしているそうで…」数多くの負傷者を選別し有効な治療を行う訓練だ。各中隊から患者要員が参加している
「こっちは静かなもんだな」「夜間は向こうもなかなか動けないでしょう…さて、警戒の交代してきます」そう言って田浦3曹は席を立った

天幕を出て空を見上げる。演習場の空は満天の星空だ、田舎なので空がキレイなのだ。空を見上げ一瞬だけ感動する田浦3曹…
が次の瞬間(晴れてるから放射冷却で冷え込むかも…明かりはあるから安心だな)頭を状況中に切り換え冷静に状況を分析する

……夢も見ないで熟睡する赤城士長、むしろ気を失っている状態に近い。時間は午前2時、中隊が止まってから4時間が経過した頃…「ピーッ!」と警戒用の痴漢防止ブザーが鳴り響いた
「敵襲!」誰かの叫びに全隊員が目を覚ます。陸曹やベテラン陸士の動きは素早かった、装備を付けつつ警戒線に張り付き銃を構える
「赤城、まだか?」小隊長の声だ「は、はい!」慌てて声のする方に向かう「ギャッ!」木の根に足をかけてすっころんだ
「赤城、無線機を!」今度は神野1曹の声だ。体を起こしやっと二人の元にたどり着いた。小隊長がマイクをひったくるように奪う
「CP、こちら03。敵と接触、現在地…」無線でCPに状況を送る
敵の姿は確認できていない。斥候を数名送ってきただけなのか、それとも敵の主力が近いのか…それともワナか?判断の難しいところである
『01、02、03、こちらCP。直ちに攻撃前進に移れ』CPからの指示は「前進せよ」だった。ワナではないと判断したようだ
「了解」短く返信を出す。各小隊は罠線を撤収し前進体制に入った



夜間のスピードは昼に比べて格段に遅くなる。敵を捕捉できないまま時間だけが過ぎていく…だが敵には逃げ道もない。このまま追いつめたら勝てる!との確信が中隊の隊員たちの間に広がっていった
日が昇り始めてきた、森の端もあと少しである。目の前にある小高い丘を登り切ったら、あとは林縁まで下るだけ…つまり敵が最終的な陣地にする=敵のいる可能性が高い、という事だ

丘の下に到達した時、上方から「パーン!」という空砲の音が響いた。全員が条件反射のようにその場に伏せ、または木の陰や岩陰に隠れる
「前方200!敵発見!」誰かが叫ぶ「1、3小隊は援護、2小隊、前へ!」指揮を執る1小隊長が叫ぶ。号令にあわせ2個小隊が一気に銃弾を浴びせ、2小隊が一気に距離を積める。バトラーの発信音が敵方からも味方側からも聞こえる
「…こちらFO-1、支援射撃要請、座標送る…」各小隊に随伴している迫小隊のFOが無線で座標を送っている。迫の支援があれば剥き出しの敵陣は一気に壊滅する
小隊全員が迫の射撃を待つ、随伴していた補助官が偽煙火筒を準備する。時計を見る1小隊長「支援射撃10秒前…5,4,3,2,だんちゃ〜く…今!」偽煙火筒の破裂音が響く
「支援射撃終了5秒前…3,2,1、今!突撃〜!」3個小隊が一斉に丘を駆け上がる。赤城士長も何とか付いていく
丘に駆け上がると補助官が「状況、一時中止」と宣言した。敵の何人かが丘の上で鉄帽を脱いで座っている。バトラーが鳴っているところを見ると戦死扱いのようだ
審判の判定中、小隊は警戒を崩さない。若い隊員の何人かは(これで終わった〜)と楽観的に見ているが、ベテランの連中は顔を曇らせている(真田2尉と情報の連中がいない…)



審判の判定は下った。この丘にいた敵の大半は戦死、だが数名が後方に離脱…という扱いになった
「まだあるのかよ〜」と愚痴る声も聞こえるが、小隊は早速攻撃前進の準備に入った。と、そこに『03、こちらCP、送れ』CPから3小隊を呼び出す無線が入った

マイクを耳に当てる小隊長の顔が少し険しくなる「…了解、ふむ…」と考え込む。そして…「3小隊、現在地から離脱する!」命令を下す。全員「?」という顔になる
各班長が小隊長の元に集まる「…何事ですか?」「実は…」顔を寄せ合って話す。隊員たちは全周警戒中、その場にしゃがみ、掩体に身を寄せて体を休める

「ここの敵兵、少なかったと思わないか?」「確かに、1コ班しかいなかった感じですね」「まだ敵が潜んでると?」「だといいんだが…」「…見逃した?」その言葉に全員顔を見合わせる
「中隊長はそう判断したようだ、3小隊は残った敵の発見に全力を注ぐ。中隊本部要員が高機動車を持ってくるから、それに乗って捜索開始だ」小隊長が命令を下し、各班長は「了解」と頷く

鈴木曹長と高木2曹が高機動車に乗ってきた。道路上に出た3小隊と合流し「歩兵の森」のちょうど中央にやってきた
この地点がもっとも東西の幅が広く、見落としたとするなら一番敵の潜んでる可能性が高い地域である
森の中、車両を停めて全周警戒の態勢に入る。小隊長と小隊陸曹が地図をチェック、そして各班長を集め命令を下達する

「よし、前へ…」手を前に振り小隊は前進を開始する。車両には鈴木曹長に高木2曹、そして須藤1士と赤城士長が残っている。新隊員の2人は「バテてるだろう」という判断で外されたのだ
少し不本意な赤城士長、しかし実際かなりバテているので渋々ながら残留している「…」車の周りにしゃがんで警戒する。構えた銃がいつの間にか地面にめり込んでいる…いつの間にか寝込んでいたようだ



(ふぅ…)改めて銃を構え直す、全身に疲労感が広がっている(疲れた…まだ終わらないのかな?)もう時間は10時を回っている。「朝のウチには終わる」と誰かが言ってたような気がするが…

(時間があるなら…)と立ち上がり同じく警戒中の鈴木曹長に声をかける「あの…曹長ちょっと…行ってきてもいいですか?」いきなり言われて「?」という顔をする「あの…トイレです」あ〜なるほど、という顔をして「あんまり遠くに行かないようにね」と声をかける

とはいえやはり女の子、100m以上離れた森の中まで歩いてきて用を足す。ズボンを上げ銃を手に取った時、視界の隅に動くモノが見えたような気がして、あわてて顔をそっちに向ける
木々の間から見えたその方向には沼地が広がっており、その先100mくらいの所は5〜10mほどの崖になっている。その崖の上で何かが動いたような気がした(みんなに言うべきかな?)一瞬迷う。だが車両には4人しかいない、小隊が帰ってくるのもいつになるのか…(まぁいいや、きっと何もないよね)一人で確認に行く事にした

崖の横はなだらかな坂になっている、そこを登って崖の上にやってきた。崖の上はなだらかな丘になっている(何かあるかな…)とりあえず目の前の斜面を見る。枯れ草と土、木の根っこくらいしかない
辺りを見回しても何も無い、動物か何かだったのだろうか…(帰ろっかな)そう思って踵を返した赤城士長だったが、ふと目をやった足下に足跡があるのを発見した
(…?)しゃがみ込んで足跡を見る。太い模様は新型の戦闘靴だろうか?比較的最近のモノのように思える。辺りの枯れ草や落ち葉を足で払いのける、すると…(これは!)隠蔽された足跡が大量に出てきた
慌てて銃を持ち直し身を起こす。この周辺のどこかに敵がいる、それは間違いないようだ。心拍数が上がる、一人で来た事を後悔し始めている(大声出して呼ぼうか…でもその前に逃げられる…)
次の瞬間(!)丘の斜面側に気配を感じた。足を引いて銃を構える赤城士長、しかし…「わぁ!」引いた足を踏み外し崖に転落する…

転落寸前に左手で近くの木の枝を掴み、なんとか崖にぶら下がっている状態になった。しかし掴んでいる木は細く頼りない…(やばい!どうしよう…!)銃を放して両手で崖を上がるか、大声を出して助けを呼ぶか…

しかし銃を落とせば沼地にドボン、大声を出せば敵に逃げられる…訓練だからケガをするよりはマシなのだが、疲れているせいかそこまで考えが回らない。そう思っているウチに枝が折れはじめた
ズルズルと体が下がる(ど、どうしたら…)パニック状態に陥る赤城士長、下は沼地とはいえかなりの高さだ。足下から落ちても骨折くらいは免れないだろう(死ぬよりは…!)足から落ちる事を決意し身を固くしたその時…



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