まいにちWACわく!その5(最初の試練、そして洗礼)

176 名前:スキップ・ビート 投稿日:04/03/22 21:13

番外編・特別勤務

「あっつー元気ィ〜?」 ここは消防車の中である。三島士長は消防隊勤務に上番していた。
「元気ですよ〜!三島士長は調子はどうですかァ?」電話の相手は上田敦子、青森の某部隊のWACである。三島士長と上田1士は音楽祭り支援で一緒だったのだ。
「おう、あっつーが居なくて寂しいよ〜」
三島士長は運転席と助手席の間に足を投げ出しながら答える。顔には淫靡な笑み、口には楊枝をくわえていた。
「まァた調子のイイ事言ってますねー!みんなに同じ事言ってんでしょ〜」
「いやいや、あっつーだけよ、ホント!そういやウチの中隊にWACちゃんが来たンだよ!」
消防隊の前を横切る隊員がチラっとこちらを見た。三島士長は気持ち座席にちゃんと座りながら答えた。消灯時間が近づいてきたので、外出から帰ってくる隊員が増えてきたのだ。
「あー危ないなァー、三島っち狙ってるンじゃないの〜?」 三島っちというのもフザケた響きである・・・
「いやーそれがちょっと精強過ぎてねー。自衛隊の香りが強すぎるンだよな〜。おれは目下、もう1回音楽祭り支援に行く事が目標であります!」
相変わらずのC調である。
「チアリーダーのひらひらミニスカートが忘れられないだけじゃないんですかァ〜?」
上田1士もC調だ・・・
「わははは!あっつーのミニがね!あ、今度写真送るからね〜」
三島士長の軽〜いおしゃべりは続く。こうして特別勤務の夜は更けていくのであった・・・

特別勤務編、不定期につづく。


179 名前:専守防衛さん 投稿日:04/03/31 07:18

「彼氏はいませんよ」と中村3曹は田浦にこっそり報告した
田浦から先任に、先任から中隊長に。少し、ほっ、とした中隊長は週間予定表を見る今日は月曜日
週末、木曜日には会計検査かぁ・・・


180 名前:専守防衛さん 投稿日:04/03/31 16:55

事務所でも会計検査準備に大忙しだ。とくに、給与係
先任や通信係に「この時だけ、赤城を下さいよ〜」なんて言って泣いたふりをしている。と、先任「赤城を支援にだしてもいいが、いいのか?相手は大幹部の娘だぞ、どうせ、誤魔化す為の書類作成、破棄要因だろ?」


181 名前:専守防衛さん 投稿日:04/03/31 17:01

「そうだった」と給与係は、赤城獲得をあきらめた。そして、「三島は?あいつなら前に一度・・・消防か。」とがっくりしている。その日の終令 「営内者、これから飯食い行け!」どなる、給与係がいた


182 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/04 13:30

会計検査は無事終わった。連隊本部で特に問題無しで通った為、中隊まで回らなかったのだ。これで少しは、一息付けるなぁ
中隊本部一同、口を揃えて行っている


183 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/04 16:29

平穏な日が続く 赤城も通信の仕事を少しずつ覚えているようだ。ある日中隊のミーティングをした。各小隊陸曹より、「演習時期も終わり次は戦技です。来週より毎朝、天候に左右されず、駆け足、10キロ行きましょう」と意見がでた



184 名前:まいにちWACわく!その48 投稿日:04/04/05 18:03

会計検査も終わり、あとは年末休暇とその前の「年末行事」を待つだけとなった。
やる気満々の小隊陸曹たちが「毎朝10km駆け足」を中隊ミーティングで提案してきた
「ここ数年、隊員のレベルが落ちてきてるように思うんですよ」迫小隊、近藤曹長が口を開く「やはり毎朝の駆け足くらいはしましょうや」
うんうんとうなずく小隊長たち、中隊長も乗り気のようだ。だが先任は少し渋い顔をしている
(過去何回も「朝の間稽古」を実施したが、数ヶ月でいつの間にか自然消滅してるんだがなぁ)勤務の都合・行事や演習・その他いろんな理由で、やっては消えやっては消えの間稽古だった

「そうだな、新年明けてからはじめるか!科目はまた検討しよう」中隊長の鶴の一声でミーティングは終わった


185 名前:まいにちWACわく!その49 投稿日:04/04/05 18:13

「ま〜た訓練計画作らないと…」と愚痴をこぼすのは訓練・中島1曹である「まぁまぁ、何とかなりますよ」フォローするのは田浦3曹である
先任は何か書類とにらめっこをしている「先任、どうかしました?」「いや、年末行事での支援人員差出の依頼なんだが…」依頼といっても連隊本部が出す文書だから、実際は「命令」と同じである
「え〜と、会場準備・撤収にP×3、来賓受付にS×2うち1名は上曹、接遇に…WAC×1?」目が点になる田浦3曹「赤城以外に誰がいるのかねぇ…」と先任はため息をつく

毎年この連隊では年末行事と称して体育館で軽い演芸&カラオケ大会なるものを企画している。ローカル芸人や隊員有志のかくし芸(?)カラオケでの高得点者には商品も出る
部外の協力者を招待することもあるので「接遇」というのはそれだろうと思われる

186 名前:まいにちWACわく!その50 投稿日:04/04/05 18:22

「一般命令を見る限り、接遇は広報班を除いて全部WACですね」田浦3曹が般命文書を見ながら言う「全部で3人ですね、いつも接遇はWACを使うようで…」
「配属されたばかりのあの子には、こういうところは見せたくなかったんだがなぁ」先任がしみじみ言う「こうやって若い隊員のやる気が減っていくんだよ」
「でも三島なんか嬉々として雑用してますよ?」「あいつみたいなのは例外だよ…まぁ各部隊に一人はいるんだけどな、雑用ユニット」

「まぁ愚痴ってても仕方ない、あの子には終礼時に言っておくよ」そう言って先任はお茶をすする

終礼時…「とまぁピンポイントで依頼が来た、事前教育が前日にあるから参加してくれ」そう言われた赤城1士の顔は少し曇ったようだった
「はい…どんな事をするんでしょうか?」困ったような顔(実際困ってるのだろう)をして聞いてくる「詳しくは中村3曹とかに聞いてくれ、私も行った事はないからね」「わかりました」


187 名前:まいにちWACわく!その51 投稿日:04/04/05 18:36

「う〜ん、接遇ねぇ…」WAC隊舎の一室で中村3曹は腕を組む「赤城1士も接遇なんだ…私もなのよ」と言ったのは通信小隊・村瀬士長である
「後はだれですか?」「橘じゃなかったかな?中森だとキャバクラみたいになるって言ってたような…」と言ったのは東間士長、衛生の2士二人は別室である
「接遇って言ってもお客さんとかOBの人とかにお茶とか出すだけよ、難しくはないわね」そう中村3曹は言う「ただ…」
「ただ?」「OBの人とかってちょっとヘンな人が多いのよ、特にお酒が入るとね…」そう言ってため息をつく
「ヘンな人って?」「なんかちょっとした事で急にキレたりとか、やたら威張ったりとか、すぐに昔話を始めるとか…」「うわぁ、タチ悪そう」顔をゆがめて吐き捨てるように東間士長が言う
「もともとOB会ってのは、自衛隊を退職してから一般社会でうまくやっていけない人が多いのよ。だから過去の栄光にすがりたがる…」「栄光なんてあったのかな?」
「無くてもここに来たら、昔の部下や後輩に威張れるからね。優越感に浸るには絶好の場所よね」「…最っ低」目がきつくなる赤城1士

「でも赤城、怒っちゃダメよ。一応お客様なんだからね」「我慢できるでしょうか…」


188 名前:まいにちWACわく!その52 投稿日:04/04/09 23:13

そんなこんなで年末行事当日、接遇要員の3名は1科広報室に集合した
「じゃ、今日はよろしく頼むよ」広報班長・杉山准尉が言う。取りあえずは行事が始まる前の控え室でのお茶だしがある
「何人くらい来るのかな?」お茶の用意をしながら橘2士が言う「15人って予定表には書いてあったわよ」お茶請けを準備しながら村瀬士長が答える
3人とも浮かない顔だが、一番顔に出てるのは赤城1士である。普段の明るい雰囲気とはまったくの別人のようだ

控え室に来賓たちが入ってきた。父兄会や「励ます会(どういうネーミングだ?)」の関係者数人と、残りはOB連中だ


189 名前:まいにちWACわく!その53 投稿日:04/04/09 23:27

だいたいの人たちがにこやかに談笑する中、ソファーにふんぞり返って座っている人間もいる。どうやらOBのようだ
「おいそこのWACよ、酒は無いんかい」爪楊枝を咥えた60代と思われるバーコード禿げ・太鼓腹のOBが村瀬士長を呼びつける
「すいませんこちらではお出ししてません…会場のほうで出ますので」丁寧に頭を下げて答える「…フン、女はこれだから…」ボソッと呟く太鼓腹
その様子を見ていた赤城1士の顔色も変わる。思わず一歩を踏み出そうとしたとき「お茶のお代わりいただけますか?」横から妙齢の婦人に声をかけられた

「あ、はい」気勢をそがれ素直にお代わりを持ってくる赤城1士。ご婦人は品のよさそうな70代、父兄会の関係者のようだ
「ありがとう、男ばかりの普通科では大変でしょう?」そう声をかけるご婦人「はい、でも希望ですから…」
「私の時代は婦人自衛官も少なかったのよ、今は女性自衛官と言わないといけなかったのかしら?」そう言って小首をかしげる「WACでいいと思いますよ」お茶を出しつつ赤城1士が答える

そうこうしてるうちに年末行事が始まった「では、会場へご案内します」杉山准尉が来賓を連れて行き、広報室に静けさが戻った


190 名前:まいにちWACわく!その54 投稿日:04/04/09 23:36

「まったく…頭にきますね!」そう怒ってるのは橘2士だ。背の低さと顔立ちから「怒ってる」より「すねている」感じだ
「こんなものよ、OBなんかまともに相手にしない方がいいわよ」冷静な村瀬士長だが、顔は明らかに不機嫌だ
「…」無言なのは赤城1士、怒っているようだがさっきのご婦人も気になるようだ

「や〜ご苦労さん。後は行事が終わってからだね、来賓の方たちがここで談笑されるからね。この後もよろしくたのむよ!」空気を読まないのは1科長だ
「取りあえず行事でも見てくるかい?」「私は何度も見てるからいいです、赤城たちはどうする?」村瀬士長が尋ねる
「じゃ、取りあえず行ってきます」「私も行ってきます」二人とも行くようだ「じゃあ行事が終わったらまた来てくれ」


191 名前:まいにちWACわく!その55 投稿日:04/04/09 23:51

体育館の台の上では、ちょうど隊員によるカラオケ大会の真っ最中だった。みんな酒が入ってるせいか、けっこう盛り上がってるようだ まぁもっとも、誰も歌なんか聞いてはいないようだが…

「あら?後藤くん歌うみたいよ」台上を指差し橘2士が言う。情報小隊の曹学・後藤1士が台上で長淵剛を熱唱している
「アイツね〜けっこう目立ちたがりなのよね、陸教でもさ…」赤城1士はやや呆れ顔だ

後藤1士の熱唱が終わり、カラオケ機の採点が始まった「さぁ何点でしょうか?…46点!ざんね〜ん」司会のおどけたような言い方にみんなドッと笑う
「あら〜駄目だったね」橘2士が残念そうに言う「ただ怒鳴ってるだけじゃない?歌じゃないわね」赤城1士は冷静&辛らつだ


192 名前:まいにちWACわく!その56 投稿日:04/04/10 00:06

なんだかんだで年末行事も終わり、赤城1士たちは広報室に帰ってきた
「来賓の皆さん酔ってるだろうから、あんまり真剣に相手しないようにね」村瀬士長が二人に言い含める
しばらくして、来賓たちが談笑しつつ帰ってきた。みんなけっこう上機嫌である
「あの時の演習では…」「三島由紀夫の決起演説の時なんて…」「安保の時はな〜…」どうやら思い出話に花が咲いているようだ

何人かは帰ったようだが、OBを中心にまだそこそこの人が広報室で話している
「この隊舎も昔はぼろぼろだったのになぁ…」「昔の訓練場が倉庫になっとった!悲しいのぅ…」杉山准尉は聞き役に回っている

「おいコラ、何ぼさっと立ってるんだ。さっさと酒注げや!」さっきの太鼓腹が空き缶をまとめていた3人のところにやってきて捲し立てた
「申し訳ありません、もうお酒は…」村瀬士長が答えたが「あ〜?言い訳か!女はこれだから…」またブツブツと言い始める


193 名前:まいにちWACわく!その57 投稿日:04/04/10 00:16

赤城1士がキレた「女だからなんだと言うんですか?」コブシを握り太鼓腹の前に立つ。かなり怒っているようようだ
太鼓腹は少し迫力に押されたようだが、すぐに文句を言い始める「なんだぁ?お前みたいな小娘がオレに反抗するのかぁ?てめぇ何様だ!『上官の命令』に服従せんのか!」
「あなたは上官ではないし、礼儀も知りません。まともに人間扱いしたくもないですね!」負けじと言い返す赤城1士
さすがに回りも騒ぎに気づき、広報室はシンとなった。村瀬士長も橘2士もオロオロしている。杉山准尉も席を立ったが、間に割って入れないようだ 「手前らみたいな女が偉そうに普通科に来るってに我慢ならん!ケツでも触らせとったらいいんじゃ!」そう言って右手で赤城1士の尻をなでるように触った
「!」さすがに我慢の限界、赤城1士の右正拳突きが放たれようとした


194 名前:まいにちWACわく!その58 投稿日:04/04/10 00:25

赤城1士の拳は、横から伸びてきた手によって止められた。太鼓腹は声を失っている
「…いいパンチじゃのぅ」横から手を伸ばしたのは、隊内クラブ「一番星」オーナーの権藤店長だった
「権藤店長…?」赤城1士はキョトンとした顔をしている、太鼓腹は目を見開き「ご、権藤1曹…」と驚きと恐怖の入り混じった顔をしている

「小倉!このボケ!行軍もろくに歩けんかったてめぇが偉そうに普通科を語るな!」権藤店長の拳が太鼓腹=小倉の頭を直撃する
「す、すみません…」「すまんですむか!この自衛隊の恥さらしが…このボケ!」さらに5,6発の拳が叩き込まれる
「もう引退されたかと…」「てめぇみたいなボケを放っておけるか!さっさと帰れ!」ケツに蹴りを入れて広報室からたたき出した


195 名前:まいにちWACわく!その59 投稿日:04/04/10 00:32

「すまんかったのぅ、あいつは昔から性根が腐っててなぁ」権藤店長はすまなそうに赤城1士に謝った
「いえ、そんな…」恐縮する赤城1士「危うく暴力事案を起こすところでしたから」

「や〜権藤1曹!元気ですか?」「権藤助教!お久しぶりです」何人かのOBが権藤店長に挨拶する「おぅ、元気だったか」そういう権藤店長もうれしそうだ
「あら権藤さん?お久しぶりです」先ほどの上品なご婦人が挨拶する「やぁ東雲1尉、まだまだお若いですな〜まだ看護婦を?」
あっという間に権藤店長の周りは人でいっぱいになった。それを見て赤城1士は思う (こういうOBの人もいるんだぁ…)



196 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/10 15:12

赤城は不思議に思った 自衛官って何をしたら、いいのだろう?
元看護婦の1尉 今だに人望ある店長 その店長の一活で立ち去ったセクハラ親父
接待で一日の仕事を終わった私 飲んで歌っての隊員・・・


197 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/10 15:19

早く、演習を経験したいなぁ この日ほどそう思った事はなかった。接偶も終わり、中隊に帰ると皆、少し紅い顔して、「お疲れさん」と声を掛けてくる 先任が「終礼後少し話しあるから」と言われた
多分、さっきの話だろう
終礼が終わった


198 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/10 15:26

先任と中隊長室に入り 「赤城、短気はイカンゾ」と初めから言われる
すいませんとなんども言い 中隊長室をでる 少し落ち込んだ赤城
と、そこで「よっ!どした?元気ですか〜?」と肩をポンと叩かれる
後ろを振り返ると三島だった

199 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/10 15:32

よく見ると私服来ている。「三島士長、どうしたんですか?」「消防隊今日の朝、下番してなぁ、代休なんだよ、それよりどした?なんか、元気ないんじゃないか?」赤城は笑いながら、そんな事と言うが、言うだけ惨めさが増してきて、涙を流していた 「赤城?」


200 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/10 15:40

「なんか悔しい事あったんだな?」「・・・」何も言えない赤城
「自衛官してると、そんな日の1回、2回はあるんだ、赤城チャン今日外出か?」「ハイ、一応・・・」「中隊の若いの、落ち込んだ時、心の清掃出来る場所あるんだ
俺は最近使ってないけど 申し送るよ。」


201 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/10 15:44

夜 赤城と三島の運転する車に乗っていた 三島と二人で外出は嫌だったので橘や中森にも声掛けたが二人とも残留だったのだ
しかし、心の洗濯場にも興味がある 赤城は覚悟を少しもち三島の車に乗ったのだ


202 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/10 16:02

到着。上星空 下夜景 「うわ〜」「どう?元気出そう?」「ハイとても!申し送り、確かに!」と興奮してる。三島は笑い「ごめん、実はここ、中隊で知ってるの俺と赤城だけ、俺、雑用多いだろ
今は平気だけど昔は、嫌でさ」落ち込んだ時、ここに来てたのだと教えてくれた


203 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/10 16:07

「自転車でも20分でこれるよ」と三島 赤城は満足している
「くしゆん」と赤城 やはり冬 寒いのだ 三島は「おぉ、大事な戦力に風邪引かせちゃ大変!」といい着ていたジャンバーを赤城に掛けてあげた・・・


204 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/11 16:19

帰りの車の中で・・・「三島士長は優しいんですね」「そう?」と三島
「はい、噂で、全国のワックのアイドルとか、今ならなんか解ります」三島は苦笑いしている
「今日はありがとうございました」グー 腹がなった


205 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/11 16:23

赤城は照れながら「落ち着いたらお腹へっちゃったみたいです〜」「よし、ご飯食べ行こう、パスタは好き?」「はい」「よし、旨い店あるんだ!いくぜぃ」と張り切る三島だった


206 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/11 16:31

パスタ屋 ミスト お洒落な店だった 楽しそうに、カップル達が食事している
赤城と三島もはたからみると二人もカップルに見えるだろう
窓際に座りパスタを食べてる二人を眺めていた人物がいる
田浦三曹である


207 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/11 16:35

月曜日 「三島〜」呼ぶのは田浦である 「はい、なんです、またまさか臨勤ですかぁ?」と皮肉ぽく言う
「違うよ、金曜日の話しでな、ここじゃなんだから、排煙室行くか」「あぁ、あの話かな?なら大丈夫ですよ」


208 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/11 16:39

「大丈夫?なのか?」と心配そうに聞く田浦
「はい、あの時は優しい先輩自衛官ですから、これからも多分、そんな感じですよ」田浦は少しとまどい「じゃあ付き合ってる事はないんだな?」「はい」田浦は安心顔になった


209 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/11 16:44

「そうか、わかった。それじゃ話変えるが、年明け、うちの師団の記念行事の支援で一名、うちにあたってる、三島頼むぞ」「え〜っ、やっぱりそんな話すか〜しかたないなぁ」と三島は、困った顔するふりをするが気持ち笑っている
師団の作業 さてどんなワックがくるやら〜



210 名前:まいにちWACわく!その59 投稿日:04/04/11 18:36

「…だそうです」「そうか…まぁ一安心だな」「やれやれ、中村3曹からの情報がなければどうなっていたか…」
週明け月曜日、中隊長室で額を合わせる中隊長、先任、田浦3曹の3人
「まぁ客観的に見たら、いい先輩になるんでしょうな」先任が言う
「ただ、その先輩が『あの』三島だってこと、そして相手が『あの』赤城だってのが問題なんだ」中隊長は渋い顔だ

あの日、課業外に中村3曹が「赤城が誰かに誘われたみたいなことを言っていた」と陸士から言われたと、田浦3曹に連絡してきたのだ
「まさか…」と思い三島の外出をチェックすると…まさに同じ日に外出していた。あとは駐屯地周辺の「自衛官ご用達」の店を片っ端からチェックしたのが田浦3曹であった

「しかしよく見つけたな」「はっ、この辺はあまり店が無いので何とかなりました」中隊長から評価され胸を張る田浦3曹
「なんなら2科に推薦してやるよ」とは先任の弁「勘弁してください…これ以上事務はちょっと」頭をかく田浦3曹であった


211 名前:まいにちWACわく!その60 投稿日:04/04/11 18:47

明日は連隊長の年末点検、各中隊も清掃に忙しい。もちろん中隊本部も例外ではなく…
「そろそろ床磨くぞー」「まってくれっ!まだ書類が…」「あ〜パソコンの電源が〜!」「スマン、引っ掛けた!」…とまあこんな調子である
「だいたい年末の忙しい時期に、事務所の点検まで入れるのが間違ってるんだ!」とブツブツ言うのは東野1曹、みんなも同じ意見だが、命令だからどうしようもない

赤城1士は通信倉庫の清掃中、岡野2曹と一緒に有線機材や通信機をキレイに見えるように並べ替えてる
「見栄えだけ整えておけばいいのさ、点検なんてそんなもんだよ」「いいんですか…?何かテキト〜なような…」赤城1士は少し戸惑っている
「陸教ではきっちりやったろ?でも実働部隊でイチイチみっちり清掃してたら、時間がいくらあってもたりないんだよ」そう言いつつ無線機の埃をハケで落としていく
少し困惑した顔の赤城1士(自衛隊ってこんなんでいいのかなぁ…)


212 名前:まいにちWACわく!その61 投稿日:04/04/11 18:55

「こんなんでいいのよ」キッパリと中村3曹は言い放った「やる事はやる、休むところは休む、それが自衛官の心得よ」
「でも見てくれだけってのは…」「見た目すらキッチリできない組織は、結局仕事もろくにできないのよ。それに規律を守るという意味では、清掃も重要な部分だからね」
WAC営内班には今日は中村3曹と赤城1士しかいない。明日の晩からの休暇に待ちきれずみんな外出したようだ
「で、明日はどうするの?」「営内班に人がいれば、通信庫で立戒してくれって言われました」
「じゃ、明日は通信庫ね。ここまで清掃しても点検は一瞬だからね…」「そうなんですか?」「ビックリするわよ〜」



213 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/11 19:04

予備自受け入れ中隊である 訓練の中島 田浦、そして先任は赤城の問題もひと段落ついたので、あらためてこの事について考えてみた
まずは、被服や宿泊の部屋(補給だろ) 次は訓練場所(訓練だな)移動手段で車両だろ
あとは・・・飯と武器だな



214 名前:まいにちWACわく!その62 投稿日:04/04/11 19:10

さて当日…連隊長の点検は午前中、昼からは連隊終礼をやってから休務になるらしい
「早く帰れるなぁ、いいね〜」岡野2曹は喜んでいる「家族サービスされるのですか?」赤城1士が尋ねる
「そうさ!いや〜娘がやっと立てるようになってねぇ…」事後30分、延々娘さんの話が始まってしまった…

ジリリリリ…倉庫の電話が鳴り響く「そろそろ連隊長来られま〜す」誰かの声にみんな反応し、それぞれの配置についた
「私はどうしたらいいですか?」「連隊長が前に着たら姿勢を正して氏階級を言う、それくらいかな?」

「きょうつけぇ!」倉庫の担当である4科補給幹部が号令をかける「通信機材庫!」場所の報告をする
連隊長を先頭に各幕僚がぞろぞろついてきている、そして各部屋をのぞいて回る
赤城1士のいる倉庫に入り、腕を後ろに組みながら「う〜ん」とか言いつつ部屋を見回る。そして赤城1士の前に来た
「はい、赤城1士!」姿勢をただし大声で叫ぶ「…」2,3回うなずいただけで踵を返し倉庫から出て行った
時間にしてわずか10秒しかなかった

「おわり〜」ドカっといすに座り、岡野2曹はネクタイを緩めた「これだけですか?」赤城1士は当惑している
「こんなものさ、連中も暇人じゃないしな」「昨日1日の清掃はいったい…」
「まだマシさ〜陸幕長の時なんか1週間清掃し続けたんだから」平然と言い放つ「…」何か言いたそうな赤城1士だった



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