152 名前:まいにちWACわく!その37 投稿日:04/02/27 11:26
宴会(忘年会&赤城1士歓迎会)会場はそこそこの広さだった。テーブルは全部で10個、ひとつのテーブルに12〜3人がついている。
立食でバイキング形式、飲み放題で3300円は破格の値段だ。
約1時間半の予定の宴会は、中隊長の「羽目をはずし過ぎないように!」という言葉で始まった。もうすでにその言葉は無力化しているようだ…
くじ引きで席は決められ、赤城1士の左右に倉田曹長と田浦3曹を(くじを仕込んで)配置してある。が、あまり効果はないようだ…
とほほと頭を抱える中隊長のもとに、危険人物の三島士長がやってきた。
「ジュースだけだと間がもたんだろ?」「まぁ周りが騒いでるのを見るだけでも楽しいですよ」そういって赤城1士の方を見る。
「行かんのか?」「今は人が多すぎますからかえって邪魔っす」やはり行く気はあるようだ。
「…そうか、まぁ羽目をはずさんようにな」渋い顔で中隊長が言う。
153 名前:まいにちWACわく!その38 投稿日:04/02/27 11:39
「大丈夫とは思うんだが…」眉間に深いしわをつくり中隊長がうなる「あの子の両親のことを知っていれば、そう簡単に手は出さんだろ」
「それはなんとももないです言えませんね…」そう答えたのは先任だ「若い陸士には『将軍の娘』なんて気にならないのでは?もし手を出しても処分が下るわけでし…」
「…甘かったか?」「まぁ、しばらく様子を見ましょう。倉田と田浦もいますしね」
その赤城1士の周りでは…
「ビールはいける?」「普段何してるの?休みの日とか〜」「趣味は何〜?」「これおいしいよ!」まるでアイドルのようだ。
「もうちょっと散れオマエラ!」「未成年だから、あんまり飲まないようにね」倉田曹長と田浦3曹が孤軍奮闘している。
当の赤城1士は少し酔っているようだ「もう少し位ならいけますよ〜」笑顔で答える。
やっと一段落ついた「人気者だな、主賓は大変だね」倉田曹長が声をかける「はい!楽しいですね〜」本人は呑気なものだ。
フライドチキンをほお張る田浦3曹に、3小隊の井上3曹が声をかけてきた。
154 名前:まいにちWACわく!その39 投稿日:04/02/27 11:50
「ご苦労さんやな〜」肩を叩きながら井上3曹が言う。田浦3曹と井上3曹は新隊員、自訓、陸教すべて同期という「腐れ縁」の仲だ。
「まあな、班長だからな」「まじめやな〜」そう言いつつ田浦3曹の肩を揉む。
「よう、赤城クン!俺のこと知ってる?」「え〜っと…神野1曹でしたっけ?」「アニキはあっこにおるやん!俺は3小隊の井上や、よろしくね〜」大阪弁でまくし立てるように話す。
「何しにきたんだ?」怪訝な顔で田浦3曹が言う「つれないな〜同期の絆を深めにきたんやん」
「ちょっとトイレ行ってくるわ」倉田曹長が席をはずした。
「からむなって、酔ってんのか?」「ええやん、数少ない同期やろ〜?」田浦3曹は井上3曹にからまれている。
赤城1士が独りになった瞬間、誰かの目が獲物を狙うように光った…
155 名前:まいにちWACわく!その40 投稿日:04/02/27 12:00
「よう、赤城クン!」そう言って近づいてきたのは、やはり三島士長だった。
「どう、飲んでる?」「少しですよ〜三島し…さんは?」「ここでは階級でもいいよ、まわりは自衛官ばっかりだからね」
そういって身を寄せる「まぁまぁ、飲みなよ」「いただきます、三島士長は飲まないんですか?」「俺は飲めなくてね〜」
そういってさりげなく肩に手を回す「さぁさぁ、飲んで飲んで〜」まだ誰も気づいてないようだ「あっちょっと…」赤城1士は少し嫌がる素振りを見せる。
「まぁまぁいいからいいから…」そう言って手に力を入れた三島士長、だが次の瞬間…
156 名前:まいにちWACわく!その41 投稿日:04/02/27 12:14
コップを置いた赤城1士は一瞬にして三島士長の腕を取り、あっという間に腕を後ろにとって間接を決めてしまった
「も〜三島士長ったら冗談ばっかり〜!」赤城1士は笑ってる。三島も照れ笑いしてるので冗談のように見える。しかし…
(あれって決まってるんじゃないか?)そう気づいたのは佐々木3尉だ。全中隊隊員が見ているが、やはり武道経験者は(おや?)という顔をしている。
佐々木3尉も防大の拳法部出身である。あと空挺でCQBを学んだという噂の神野1曹、格闘徽章を持つ迫小隊野村2曹、その他何人かはやはり気づいているようだ。
「決まってますね」騒ぎに気づいた中隊長に佐々木3尉が耳打ちする「少し力を入れたら折れますよ、三島も笑いが引きつってきてます」確かに汗までかいている。
「…まぁいいだろう、いい薬だ」ニヤリと笑い中隊長が言う「そうですね、まぁしかしたいしたもんだ」先任も感心したように言う。
三島士長はやっと開放された「やられたな〜」顔は笑顔だが、そう言う目は笑っていない。
「へへ〜」と言いつつ笑う赤城1士、頭を照れたように掻く「ウーロン茶でも飲みます?」そう言ってビンを差し出す。
157 名前:まいにちWACわく!その42 投稿日:04/02/27 12:22
ウーロン茶を注いでもらいそうそうに三島士長は退却する「さすがやな〜」近くにいた井上3曹が感心したように言う。
「柔道やってたん?」「いえ、空手です。あと、合気道も少し…」「赤城は格闘技が趣味なんだ」田浦3曹が言う。
そうこうしてるうちに宴会終了の時間が近づいてきた「宴もたけなわではございますが…」閉めの音頭は運用訓練幹部、森永1尉だ。
「今年一年お疲れ様でした!かんぱ〜い」「かんぱ〜い」無事宴会は終わった。中隊長も内心ホッとしているようだ。
「二次会行きますか〜中隊長!」先任に声をかけられる「おぅ、じゃあ行こうか」
158 名前:専守防衛さん 投稿日:04/03/01 14:02
スナック道端 ここは、自衛官で持っている店である 「ママ、田浦さんから二次会の電話」そう言うのは若いルミである店員在籍数六名、みなほどよく若い 店が広く多い人数可
159 名前:専守防衛さん 投稿日:04/03/01 14:06
「赤城1士も行くかい?」と田浦3曹 「はい、行きます」と言うと先任が顔をのぞかせ「おいおい、大丈夫かぁ?」「大丈夫です、少しでも早く慣れたいですから」「そうか、無理しないようにな」
160 名前:専守防衛さん 投稿日:04/03/01 19:02
三島も道端にいる。飯島が調子よく「飲みましょう」と、張り切る
先任も嬉しくなり「いくぞ〜!」と猪木ばりの声を出す
当初は行く気は無かったが。「二人の勢いが。」と後に語った。一行は道端へ向かう 主に本部要因と、独身曹士
若者達の興味は、赤城だった
167 名前:専守防衛さん 投稿日:04/03/15 18:52
本日、三島は補給係支援な。田浦3曹が言う 「わかりました」と素直である
168 名前:専守防衛さん 投稿日:04/03/19 00:15
明日は中隊本部で駐屯地の枯れ葉集めします。と先任が言った。皆、びっくりした。
169 名前:専守防衛さん 投稿日:04/03/19 07:21
次の日、大雨が降っていた。しかし、自衛隊
作業します。赤城一士も驚きます。田浦3曹が微笑みながら、「雨だから、作業無いと思ったか?」「いえ、これが当然です!」と気合い込めて言うやっぱり、ワック教育楽な所あったんだな。そう思う赤城だった
170 名前:専守防衛さん 投稿日:04/03/19 09:52
たかが、枯れ葉集め、されど、枯れ葉集め。と言う事で皆、文句言わず、15時までやりました。赤城は寒さに震え、青い顔しています。女の子です。冷え性なのです。田浦3曹は心配した目で見ています
171 名前:まいにちWACわく!その43 投稿日:04/03/20 16:41
最後の落ち葉の山を資材運搬車に積み込み、とりあえず作業終了となった。雨も小降りになってきたが、作業が終わってからはれてもなぁ…と内心思う中隊本部の面々であった。
「ふ〜終わった終わった、みんなお疲れさん!」作業の長に当たった補給・東野1曹が言う、(赤城はどうかな?)田浦3曹はチラリと横を見る。
赤城1士は震えながら手に息を吐きかけている、雨衣はずぶ濡れだが新品なので染み込んではいないようだ。
「お疲れさん、疲れたか?」声をかける「少し…でも大丈夫デス!」少し苦笑いする
「落ち葉とか雑草って、雨を吸い込んで重くなるからな。明日あたり腕がパンパンになるぞ」「今日が金曜でよかったです、雨も上がりそうだし…」空を見上げて赤城1士が言う。
「週末は何するんだ?外出簿には実家って書いてあったけど?」とんぼを肩に担いで歩きながら田浦3曹が聞く
「今晩は前に言ってた飲み会です、日曜までいったん実家に帰って荷物とってきます」
「例の親父さんはいるの?」「いえ、母と祖父母と弟だけです」ゴミ袋を持って赤城1士は答える
「そっか、確か電車で1時間くらいだったな。気をつけてな」
172 名前:まいにちWACわく!その44 投稿日:04/03/20 16:55
「先任、終わりましたよ」事務所に戻ってきて東野1曹が報告する「おぅ、お疲れさん」先任が書類から顔を上げて答える
「次からはもっと作業員取ってやりましょうや、受け持ち業務も止まるからまずいんだよね」車両・水上1曹が渋い顔をする
「すまんな〜1科が急に言ってきたもんでな、各小隊も急に人が出なかったんだよ」申し訳なさそうに先任が答える
「先任、赤城はこの土日に実家に帰るようです」先任の机に向かい田浦3曹が報告する「そうか、まぁ構わんだろう」
「あと今晩はWACだけの飲み会だそうです」「そうか…」「ちょっと本管の中村3曹に、男関係の探りを入れてもらいますね」「そうだな、まぁ心配はしてないがな」
田浦3曹は脱いだ雨衣を廊下に掛け帽子をかぶる「じゃあちょっと通信小隊の倉庫に行ってきます」
通信倉庫は駐屯地の隅っこにある、無線機の手入れをしていた中村3曹を呼び出す
「…というわけで、探りを入れてもらっていいかな?」「わかりました、でも皆さん心配性じゃないですか?」少し呆れ顔の中村3曹が言う
「俺もそう思うんだけどね、中隊長よりもっと上が心配してるみたい」ぼんぼん顔の連隊長が思い浮かぶ「社会人なんだから大人扱いすればいいのに…」
「自衛隊って過保護なところがあるからね、問題を気にしすぎてるのかな?」「そうですねぇ…」
若い二人には昔の自衛隊がマスコミからどんな目にあってたかよく知らないようだ
「まぁ頼むわ」「わかりました」
173 名前:まいにちWACわく!その45 投稿日:04/03/20 17:26
ショットバー「アーティラリー」は駐屯地に程近い駅前にある。店名が示すように元自衛官が経営する店である
店長は某地対艦ミサイル連隊を任期満了退職、その後亡くなった父親の居酒屋をショットバーに改造した。お洒落な店内と自衛官割引が利くのとで、若い隊員には好評である
「かんぱーい!」店の奥のボックス席でカチャンとグラスが合わさり、WACだけの飲み会が始まった。
通信小隊からは中村頼子3曹、東間理沙士長、村瀬香織士長
衛生小隊からは橘ゆきえ2士、中森秋絵2士
そして主賓の赤城龍子1士である
「もう何日も顔をあわせてるのに宴会って、なんかヘンな気分よね〜」東間士長が言う
東間士長は無線班所属の22歳、173センチの長身はよく目立つ。連隊の誰かと付き合ってるらしいが、その現場を見たものはいない
「まぁバタバタしてたからね…」か細い声で村瀬士長が言う
村瀬士長は同じく22歳で信務班所属、身長153センチのずんぐり体型である。彼氏はいないらしい
二人とも中村3曹の同期である
「この時期って忙しいんですよね?」橘2士が聞く
今年入隊の橘2士は19歳、身長が149センチしかない「見込み入隊」である。普通科に配属され最初はビクビクしてたが、最近は慣れてきたようだ
「自衛隊が忙しいなんてろくなもんじゃないわね〜」ドンとジョッキを置いて中森2士が言う
中森2士は連隊独身WAC最年長の25歳、168センチのすらっとした体型であり、シャバでの職歴も多彩でホステスもやったという噂がある。師団衛生隊に彼氏がいるが破局寸前だそうだ
174 名前:まいにちWACわく!その46 投稿日:04/03/20 17:44
わいわいがやがやと飲み会は続く
「今日は落ち葉拾いだったんですよ〜これも忙しいっていうのかな?」赤城1士が言う
「ウチは廊下とかの清掃やったよ、年末休暇前に点検があるからかな?」橘2士はウーロン茶をすする
「毎年同じ事やってるからねぇ、こんなんで税金使っていいのかしらね」東間士長はサラダを独り占めしている
「それが自衛隊だもん、2曹教なんてもっとひどかったのよ〜」中村3曹はカクテルを一気に飲み干す
「服務の2曹教ですか…通信小隊は何で仙台に行くんですかね?」年下でも先輩だから、中森2士は敬語で聞く。飯の数は当然ながら優先されている
「あそこにしか普通科とかの通信の教育してないから…」か細い声で村瀬士長が言う
「で、赤城はどうすんの?」中森2士が聞く「何を?」「陸教よ、部隊通信出たら仙台なんでしょ?」「そうとも限らないわよ」横から中村3曹が言う
「一応は小銃か軽迫モス(特技)になるのよね?」「そうです、できればそのどっちかで行きたいですね」「男ばっかしなのに…怖くないの?」恐る恐るといった感じで橘2士が聞く
「ウチは家族も男ばっかりだもん、大丈夫!ユキは気にしすぎよ〜」赤城1士は明るく言って酎ハイを飲む
175 名前:まいにちWACわく!その47 投稿日:04/03/20 18:03
「で、その男はどうなの?」中村3曹が聞く「へっ?何がですか?」キョトンとした顔をする赤城1士
「ナンバーなんていったら独身の若い男ばっかりでしょう?いい男とかいないのかな〜てね」中村3曹が探りを入れる
「あたしも聞きたいな〜」「どうなの龍ちゃん!」「それは興味あるわね…」「あさり放題だもんね?」みんな興味津々のようだ
「う〜ん、まだ中隊に入ったばっかりだからねぇ。それに今は彼氏作る気無いしね。まずは仕事を覚えなきゃ!」
「まじめねぇ、ホントにいないの?ほら、ウチに入った曹学の子は?」東間士長の言うのは曹学同期、後藤1士の事のようだ
「あの情報の大きい人?」身長185センチの後藤1士は、橘2士には巨人に見えるらしい
「喜一ちゃんですか?アイツとはあわないです!」「何で?けっこうカッコいいじゃない、たくましいしね〜最近の若い人は細いのばっかりだから」中森2士はお気に入りのようだ
「彼とは格闘技の話をよくしたんですけど…」後藤1士は「プロ格闘家」を目指していたらしい「でもアイツったら『格闘技は体格で勝負が決まる』なんて言うんですよ!」
「それはでも事実の一つじゃない?」柔道家でもある中村3曹は冷静だ「結局あの古賀選手だって、無差別では優勝できなかったんだし…」
「格闘技の技術って、体格差を克服するために生まれたものだと思うんです!」熱く語り始める赤城1士、みんな苦笑いしてる
「まぁまぁ、男としてみたらカッコいいんだしいいんじゃない?」タバコをくわえて中森2士がなだめる
その様子を見て中村3曹は思った(彼氏は当分できそうにないわね〜)