まいにちWACわく!その6(部隊通信教育スタート)

215 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/11 23:43

年が明けて、訓練始めは、寒い中上半身裸で、隊内6キロ走がいつもの習わしだが、今年はワックがいるのでみんな迷彩シャツを着ている
しかし、やはり寒い 本部要因からはブーイングもでるそんな日の午後
中隊長以下主要な職務はMMをした


216 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/11 23:49

内容は予備自訓練隊受け入れについて 日程については一月から三月
月2回 一週間の予定で計六回 「落ち着く間がないなぁ」先任は胃が痛くなる
「じゃ、各係、要因はたのんだぞ!」中隊長の激の元、皆やる気はあるようだがやはりいい顔はしていない


217 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/17 10:05

明けましておめでとう! と寒風吹く中、中隊長の挨拶で始まった新年
訓練初めは六キロ走 上半身は迷彩Tシャツ
下迷彩ズボン 半長靴 雪は無いとはいえ寒い
さすがは1月 そんな中 補給 東野 支援、三島の二名お汁粉を調理していた


218 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/17 10:18

威勢良く歩調を数得る声が聞こえる そんな中お汁粉組二名は
東野「三島〜なんでお前走ってないんだ?」三島「俺すか?明日から師団の記念日支援なんで、除いてもらったんです、風邪引いたら大変ですからね」 「田浦との取引か?」「いやだなぁ、取引だなんて。話合いですよ」


219 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/17 10:25

そんな中、駆け足を終え皆戻って来た 皆、寒そうな顔をしていた
特に目立ったのは赤城だった 体力こそ、へたな男に負けないものの、さすがは女の子
冷え性気味なのか 少し青い顔をしている


220 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/17 10:50

暖かいとこ食べてなぁ!東野の声で着替えを終えた隊員達はみな、お汁粉に飛びつく
「暖まる〜」と言う声がそこらから飛んでいる
さて、次は予備自受け入れだな 中隊長が先任に一言伝えた


221 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/17 12:43

次の日 三島は田浦が運転する小型車に乗り師団司令部へと旅立った
赤城が寂しそうな顔をしたのは気のせいだろうか?)なんて事を感じながら運転している
等の三島は、相当変な期待しているようだ


222 名前:専守防衛さん 投稿日:04/04/17 12:51

「田浦3曹、師団の記念日って事は当然師団勤務の子達はもちろん・・・」「おい!行く前から何余計な心配してんだ!仕事だからな!判ったな!」「判ってますって〜ただ、気になるんだよなぁ〜師団長以下のメガネにカナッタ僕の恋人達よ〜」駄目だこりゃ
田浦はこう思った



223 名前:まいにちWACわく!その63 投稿日:04/04/17 15:15

(やれやれ、まったく三島は…)ハンドルを握りつつあきれる田浦3曹であった
(今さらながら思うよ。赤城がこいつの毒牙にかからなくてよかったなぁ)「何考えてるんや?」後ろから声をかけたのはさっきまで寝てた井上3曹である
「いや、何にも…」「同期やないか〜隠し事はわかるで!」この勘の鋭さがスナイパーの所以か
それでも「何もない!運転させろって…」と田浦3曹は答えた、昨日の課業外のことを思い浮かべながら…


224 名前:まいにちWACわく!その64 投稿日:04/04/17 15:16

「赤城〜ちょっといいか?」終礼が終わり国旗が降りた後、田浦3曹は赤城1士を呼び出した
「はい?何かありました?」「来週から部隊通信だったな、コレ貸してあげるよ」そういって差し出したモノは、普通科通信のバイブル「普通科通信必携」だった
富士でしか売ってない「資料」だが、訓練はなぜかこういうモノを隠し持っている
「部通なら絶対に役に立つから持って行きな」パラパラとページをめくる赤城1士「…わ〜これはいいですね、ありがとうございます!」そう言ってピョコンと頭を下げる
「よかった、少し元気になったか?」少し笑って田浦3曹が尋ねる「年末は元気なかったからなぁ」
「そんな事は…あったかも」照れたように答える「自衛官って何なのかな〜ってちょっと思っちゃったんですよ」


225 名前:まいにちWACわく!その65 投稿日:04/04/17 15:18

二人は隊舎の外にある自販機コーナーの前まで移動してきた「はいコーヒー、実家に帰った時、お父さんとかはいなかったの?将官の人なら答えが出ると思うけど…」
「父は付きあいがあるとかで…地方総監ってけっこう名士らしいんです」コーヒーを口に運びながら赤城1士は答える「そのかわり兄たちは珍しく勢揃いしましたけどね」

「新年明けましておめでとうございます」ここは赤城家のお座敷、12畳くらいある部屋も祖父母・母・兄3人・弟1人が入ると狭く感じる
「いや〜久しぶりに全員そろったのぅ、なぁ婆さんや」上座に座る祖父・龍太郎はさっそく日本酒を飲んでいる
「おじいさん、龍彦がいませんよ」祖母・えつ子はおせちを口に運ぶ
「龍彦さんは忙しいみたいで…ま、『亭主元気で留守がいい』とか言いますけどね〜」母・純代はご飯をよそう
「正月早々仕事とは…偉くなんてなるもんじゃねぇなぁ」刺身をほおばるのは長男・赤城純一2等海尉である
「潜水艦乗りは正月に仕事無いの?そんなわきゃ無いわな〜俺たちだってアラート待機してるんだから」次男・赤城翔次郎3等空尉はお代わりのご飯を受け取る。F15パイロットらしく筋骨隆々だ
「ま、お互い忙しいという事で…エビフライいただき!」箸を伸ばすのは防大4年生の3男・赤城三吉である
「あ〜取ってたのに…」影の薄い4男・健四朗は高校1年生、兄たちと比べておとなしい文才肌である
正月早々大騒ぎの赤城家の面々だが、なぜか龍子は食が進んでいなかった


226 名前:まいにちWACわく!その66 投稿日:04/04/17 15:18

「どうしたの龍子?食が進んでないわよ」母が声をかける「食わんのか?なら頂こう」純一が皿の上の肉二手を出す
「…ねぇ兄ちゃん、仕事に疑問を持った事って無い?」肉を取る手を見ながら龍子は尋ねた
「疑問?」母と3人の兄が同時に尋ねた「疑問って?何かあったの?」母が尋ねる「オレはまだ学生のみだからわかんね〜な」三吉はエビフライをかじりながら言う
「ちょっと部隊でいろいろあってね…自衛隊の仕事って何なのかな〜?って思ったのよ」

「そりゃ『この国の平和と安全を守るため』だろう?潜水艦に乗ってたらこの国の平和なんて薄っぺらいモノだってのがよく分かるぞ」「例えば?」「それは言えん…」サブマリナーは口が堅い
「空だって同じだよ。ソ連は無くなったけど、やばい国はいくらでもあるからな」翔次郎はおせちに手を出している
「う〜ん、そういう事じゃなくって…普段の掃除とか点検とか、行事の支援とかって意味があるのかな?ってね」上手く言えないがなんとか説明する
「そりゃ〜あるんだろうな。俺たちには縁がないけどな」「そうそう、だから防大に入ればよかったんだよ」「…幹部ってそういうモノなの?」

「昔は士官と下士官と兵士なんざしっかりわけられていたからのぅ」横から祖父が口を挟む「ワシなんか『海軍少佐』ってだけでモテモテじゃったわい!」ひゃっひゃと笑う祖父・龍太郎
「そういえば外地ではよく遊んだそうですわね〜」そうつぶやくのは横にいた祖母・えつ子である。声は穏やかだが、目が笑っていない

「まだ配属一ヶ月でしょう?これからいろんなモノを見て考えたらいいんじゃない?」母・純代の一言が一番参考になるようだった…


227 名前:まいにちWACわく!その67 投稿日:04/04/17 15:19

「…と言う訳で、あまり参考にはならなかったです」空になったコーヒー缶を捨てて赤城1士はふぅっと息を出す「幹部と曹士ではやっぱり違うんでしょうか?」
「そりゃそうだろうね。特に海空は専門職の人が多いし…海自なんて風呂まで幹部と曹士でわけられてるからね。ウチにもあるけどあんまり使ってないからなぁ」田浦3曹は夕焼けを見ながら答える
「まぁお母さんの言う事が一番合ってると思うよ。オレだって2士の頃は同じ事を考えたからね」「いずれわかる日が来ますか?」「それは保証できないけど、自分なりに納得して仕事ができるようになればいいんじゃないかな?」

「とりあえず来週からの部通で頑張ってみなよ」「ハイ!頑張ってみます」少し元気に答える


228 名前:まいにちWACわく!その68 投稿日:04/04/17 15:28

「…絶対なんかヤラシイ事考えてるやろ?」まだ追求を続ける井上3曹「そりゃ井上もだろう?師団司令部の周りは都会だから風俗多いもんな〜」
「うらやましいんか?」「別に〜ほら、着いたぞ」師団司令部のある駐屯地の営門をくぐる「何度きても思うけどさすがにデカいなぁ」感心するのは三島士長だ
「よし、外来はここだな。じゃあ売られた羊さんたち、頑張ってくれよ!」激励(?)の言葉をかけ田浦3曹はもと来た道を帰っていった…

「帰りました〜先任!」田浦3曹が帰ってきたのはちょうど6時過ぎだった「おぅ、お疲れさん!」残っていたのは先任だけだった
「ちょうど今から中隊長と飲みにいくんだが、田浦もどうだ?」「いや〜帰ってきたばっかりなんでご勘弁を…」
「そっか、まぁお疲れさん!」そういって先任は帰っていった


229 名前:まいにちWACわく!その69 投稿日:04/04/17 15:35

邸内クラブ「一番星」は新年早々から営業している。さすがに客はまばらだが、店長には余り気にならないようだ

「新年明けましておめでとうございます」そう言いつつ先任は中隊長のコップにビールを注ぐ
「いやいや、今年もよろしく頼むな。4/四は忙しいからなぁ…」どうしても暗い話になってしまう

ちょうどそこへ権藤店長がやってきた「おや中隊長、先任もいるのかい。あけましておめでとう!」そういって焼酎片手にテーブルまでやってくる
「あけましておめでとう店長」中隊長が挨拶する
「や〜店長、年末行事ではうちの若い子が世話になったね。お礼を言わんといかんな〜と思ってたんだよ」そういって先任も挨拶する
「ん、まぁな…」いつもと違う店長の雰囲気に二人は「?」と顔を見合わせた


230 名前:まいにちWACわく!その70 投稿日:04/04/17 15:35

焼酎をあおり店長が口を開く「なぁ、普通科のWACってのは客寄せなのかい?あの子は宴会の時に見た限りでは、かなりやる気満々だったんだがなぁ」
そういってコップを置く「部隊での女の子の扱いが難しいのは知ってるが、あんな仕事をさせるために雇ってるわけではないだろう?」いつになく真剣なまなざしに中隊長も先任も圧倒される
「ちょうどWAC一期生の人が来ておってが呆れとったぞ『自衛隊は退化してますのね』ってなぁ…」年末行事に来ていた東雲(元)1尉の事だ
先任が口を開く「しかし1科からの命令だったから…それに雑用も大事なのは店長も知ってるでしょう?」「確かに、だが若いモンのやる気を削るってのはいかんじゃろう」「それはわかりますが…」
聞いていた中隊長が口を開く「私は陸士の時、演習場の宿営地の便所に落ちた車の鍵を拾わされた事がありますよ。あの時は辞めてやろうと真剣に思いましたが…」そう言ってビールを一口飲む
「雑用も訓練も事務処理も、すべてこなしてこそ汎用性のある普通科ですからね。あの子もわかってくれるでしょう」
「訓練させるのか?あの子に何をやらすんだい?」「迫…で使えればいいのですが」少し考える権藤店長「大丈夫じゃろう、体力はあるんじゃろう?最近の迫撃砲は軽いからのぅ〜ワシが満州にいた頃は…」
いつもの与太話が始まり、中隊長も相手をするのに苦労している

それを横目で見ながら先任は一抹の不安を抱えていた…


231 名前:まいにちWACわく!その71 投稿日:04/04/17 15:36

次の週、赤城1士の部隊通信教育が始まった。中隊からはもう一人、対戦車小隊の山崎士長が参加している
「今回は体力面に関して、赤城より山崎の方が心配だなぁ」運幹・森永1尉が心配するように、山崎士長は少々肥え気味体型なのである

「だからあの二人がくっつく事はあり得ないと思いますよ」田浦3曹はこう断言した。ここは中隊長室、いつもの3者会談である
「そうか、ところで田浦」中隊長が口を開く「通信に知り合いはいるか?今回部通に絡んでる人間でだが…」
「履修前同期の金田3曹がいます。すでに話はしていますので…」「さすが早いな。部通での状況によって4月からの配属を考える予定なのでな」中隊長が感心したように言う
「やはり迫、ですか?」田浦3曹が尋ねる「そのつもりだが何か?」
田浦3曹は横目で先任を見る(例の近藤曹長の件、言ってないんですか?)
先任も目で答える(まだなんだ…)

「田中士長、入ります」ノックの音とともに給養付・田中士長が入ってきた「中隊長、お客さんです」
「お〜そうか、じゃ解散だな」そういって3者会談は終わってしまった…


232 名前:まいにちWACわく!その72 投稿日:04/04/17 15:37

寒い中、赤城1士の部隊通信教育は進んでいった
「まぁ学生には1士から3曹までいるわけだが…」厚生センターの喫茶店で額を合わせるのは田浦3曹と通信小隊(部通助教)・金田3曹だ
「その中でも彼女は結構やってる方だと思うがな。中村の再来みたいだな」
眼鏡をかけた金田3曹は顔だけ見れば大学生のようである。が、首から下はまるでラグビー選手のようである。本人曰く「有線は首から下が命!」だそうだ
「無線機の取扱や学科に関してはトップに近いな、有線も中の上ってとこだ。むしろあの山崎ってのが問題かもなぁ…」紅茶をすすりつぶやく「そんなにか」田浦3曹が尋ねる
「ナンバーは通信をなめてるのか?体力勝負だと何度も言ってきたのに…あれじゃあ159ドラム1缶もたんぞ」
もっとも有線の隊員を泣かせる器材の一つ「JRL-159/u」は重さ30kgを超える有線ドラムであり、徒歩で有線の回線を構成する場合はこれを二人で持ちかなりの距離を走らなければいけない

「だいたい通信が楽な仕事と思ってるヤツが幹部には多すぎる…」「わかった、わかったから押さえて押さえて…赤城は159ドラム持てるのか?」
「あの子はいけるよ、ただやっぱり1缶が限界だな。男と女は基礎体力が違うからな」「ま、そこは仕方ないさ。ありがとよ〜ここは奢るよ」
そういって田浦3曹は領収書を持って席を立った


233 名前:まいにちWACわく!その73 投稿日:04/04/17 15:38

「あ〜もう、指がヒリヒリする…」夜のWAC隊舎に赤城1士の叫びがこだまする。部隊通信の課題の一つ「結線」をしている
「課題作り?大変ね〜でも慣れたら指の皮が厚くなって作りやすくなるわよ」横から指南するのは中村3曹である
「中村3曹は何で今回助教に来なかったんですか?」指を動かしながら赤城1士は尋ねる「来てくれたら楽しかったのに…」
「順番だから仕方ないわよ、それに助教も大変なのよ〜そこ、銅線が切れてるわよ」さすがにめざとい中村3曹である
「…この携帯電話全盛期に有線ってのも不思議ですよね」少し手を休め赤城1士はペットボトルのお茶を飲む「ず〜っと昔から変わらない技術なんですよね?」
「そうねぇ…部隊通信の教育を受け始めた人はみんな言うわね。でも電子戦の話とか聞いたでしょう?無線では完全にカバーしきれない部分があるのよ」

それからずっと結線を作り続けて、やっと今日の分が終わったようだ「ふ〜疲れましたぁ…目がチカチカします」
「お疲れ様、まぁとにかく今は教育を受ける事ね」「わかってます、毎日結構楽しいですよ〜他中隊の人とも仲良くなれますしね」
部通学生は全部で12人いる。各中隊から派遣されてくるので、知り合いを作るいい機会でもある
「誰か気になる人はいるの〜?」横から東間士長が口を挟む「ん〜いません、今は教育が大事デス!」キッパリと否定する赤城1士であった


234 名前:まいにちWACわく!その74 投稿日:04/04/17 15:39

「…」先任の机の前で仁王立ちしているのは迫小隊の小隊陸曹・近藤曹長である「なぜウチなんだ?承伏できませんな!」
事務所にはいや〜な空気が漂っている…

田浦3曹の報告を受け中隊長が「4月から赤城を迫に入れる予定である」と迫小隊の小隊長・井坂2尉に告げてから10分後である

「いや、あのね近藤曹長…これは命令だから…」後にいるのは井坂2尉だが、蚊の泣くような声である「理不尽な命令には不服を申し立てる権利と義務があります」近藤曹長は全く意に介さない
「何が不満なんだ近藤?あの子は曹学だからしっかりとモスもあるんだがな。むしろ即戦力じゃないか?」先任がたしなめる
「即戦力になると?たかが1士じゃないですか、しかも女に何ができますか!」近藤曹長の四角い顔が赤く染まる
何事かと事務所をのぞき込んでいたのは3小隊の小隊陸曹・神野1曹である「まぁまぁ近藤曹長、使ってみないとわかりませんよ」後からたしなめるように言う
「…そりゃ何だ、迫なら女を使ってもいけるだろうって言いたいのか?あ?」
端整な顔立ち&182cmの高い身長&胸に光る空挺レンジャーの徽章は無用な敵を作る事もある。今回はまさにそれだった
「いや、そんな事は言ってませんが…あの子なら体力も」
「空挺レンジャー様のお墨付きか!てめえらからしたら迫は楽な仕事だろうよ!」さすがにこの発言には神野1曹もカチンときた
「空挺とかは関係ないでしょう!迫が楽な仕事とも言ってません!」そう反論する神野1曹、少しテンションがあがってきてるようだ
「いってるじゃねぇか!てめぇ何様だ?たかがバッタが迫を語るんじゃねぇ!」
「バッタだと…花火屋のあんたらこそ何様だ!」こうなると売り言葉に買い言葉だ。周りも止めにはいる事ができない
ついに近藤曹長の手が動いた「てめぇ…」そう言いつつ右手で神野1曹の襟首をつかむ
神野1曹も左足を引き拳を握る。横にいた田浦3曹が止めに入ろうとしたそのとき

「やめんか貴様らぁ!!!」ドアの方から中隊長の一喝する声が飛び込んできた


235 名前:まいにちWACわく!その75 投稿日:04/04/17 15:40

事務所にツカツカと入ってきた中隊長はにらみ合いを続ける二人の間に割って入った
「小隊陸曹が衆人環視の元でハッスルしてどうする!考えろ!」と一喝した。二人はにらみ合いを続けつつ、渋々といった感じで離れていった
「井坂、ちょっと中隊長室に来い。田浦、佐々木を呼んできてくれ」そう言って中隊長はきびすを返した。事務所を出る寸前で振り返り、近藤曹長と神野1曹に向かって言った
「今度、こういう騒ぎを超してみろ。一生礼文島で飯炊きやらせるからな…!」

中隊長室に入り井坂2尉がドアを閉める「あの、中隊長…」何かを言いかけるのを手で制し椅子に座る「ま、仕方ないさ。気を落とすな」そう慰めの言葉をかける
「下手したら1年単位で変わる小隊長より、長年部下を見続けて監督してきた小隊陸曹の方が権力を持ってしまうのは仕方がない話でな。ただどこかでけじめはつけんといかんぞ」
「…わかりました…」少し自信なさげに答える。そのときドアをノックする音が聞こえた
「佐々木3尉、入ります」そう言って入ってきたのは第3小隊長・佐々木3尉だ。若干25才にもかかわらず、なぜかいつも自信満々の顔をしている
「ウチの神野1曹が揉めたようで…申し訳ないです」全然申し訳なさそうに井坂2尉に言う「まぁ井坂も佐々木もちょっと座ってくれ」中隊長に促され、二人は応接用のソファーに座った


236 名前:まいにちWACわく!その76 投稿日:04/04/17 15:41

現場にいなかった佐々木3尉に概略の話を説明する「う〜ん、そこまで反対するとは…近藤曹長は何かWACに恨みでもあるんですかね?」佐々木3尉はポツリと疑問を口にする
「小隊陸曹があそこまで言い切ったら、迫で使うのはしんどくなるだろうな」とは中隊長の弁「…確かに、後々の事を考えますと…」井坂2尉も同意した

「と言うわけで佐々木、おまえの所で彼女を使ってみないか?」一瞬の沈黙「…えっ?」

「彼女の能力は男子隊員と比べても比較的高いレベルにあると言える、モスもあるし本人も戦闘職を希望している。何より神野が彼女を高く買っているんだ。どうだ?」
「しかしウチはゲリラ的な動きをする事も多いのですよ。大丈夫ですかね?雑魚寝どころの話では無くなりますが…」
「その点は彼女も覚悟の上だろう、本人も断りはしないと思うぞ」
「ウチは若い連中が多いから、下手な事をするかもしれませんよ?」
「まぁ確かに3小隊は血気盛んな若者が多いのも事実だ、だがおまえと神野で押さえたらその点は問題無かろう?」
「そうですね…神野1曹がしっかり押さえてるので訓練中や演習中にバカさせる事はありませんが…」
「どうだ?悪い話ではあるまい?」
佐々木3尉はその明晰な頭脳でいろいろと考えていた
(ここで彼女の一族に名前を売っておけば、けっこう出世の足しになるかも…あきらめていた「将」に手が届くかも)
(いや、もしヘマしたら?一生をふいにするんでは?)
(でもダメもとってのもあるしな…それにもしかしたら陸上自衛隊で初の試みになるかも…)
(それに命令だしな、いざとなったら突き返せばいいし。それにあの子の能力にも興味あるしな…)

「わかりました、ただしもし使えないようなら中隊本部にお返しする事になります。それでもよろしいですか?」
「もちろんだ、じゃあ頼むぞ!」


237 名前:まいにちWACわく!その77 投稿日:04/04/17 15:42

「…といわけで、3小隊配属を検討しているのだがどうだ?」その日の課業外、中隊長室で中隊長と赤城1士が面接をしている
「ハイ、もちろん喜んで!」赤城1士は一も二もなく同意した
「ただし、使えないとわかれば中隊本部に戻る事になる、いいね?」「ハイ、頑張ります!」「よし、じゃあ後で佐々木の所に顔を出すように」そう言って面接は終わった

そのころ、中隊本部…「えぇっ!マジですか…」「思い切った事するな〜」「まぁ近藤があれではなぁ」「自衛隊始まって以来じゃないか?」
みんな口々に「赤城1士3小隊配属」の事を口にしている「大丈夫なんですかね?」先任に尋ねるのは田浦3曹だ
「まぁ幹部の話し合いで決まった事だからな」そういう先任も首をひねっている「よりによって3小隊か…」

「…と言うわけで、部通が終わったらオレのとこに配属になるからね」「ハイ!よろしくお願いします!」佐々木3尉と赤城1士の面接は、普段は使われない調理室でやっている
傍らには神野1曹もいる「期待してるぞ」そう言ってほほえむ神野1曹
「ウチは知っての通り『遊撃』もしくは『ゲリラ』的な使い方をされる事が多い。だから体力錬成は継続してやるようにね」佐々木3尉が注意事項を言う
「地図は読めるか?女性は苦手だと思うがこれも必須だ。あとはロープワークだな、これから大変だぞ」神野1曹も後を継いで言う
「ハイわかりました!」「よし、まぁ今は部通を出る事を考えるようにね」そう言って面接は終わった

「…こうは言ったが大丈夫だろうか?」佐々木3尉が神野1曹に尋ねる「こればかりはやってみないとわかりませんな」現場の人らしく神野1曹は冷静に答える
「ま、オレは大丈夫と思いますよ。来年度はCTもありませんしね」「ボチボチ鍛えられるという事か…」



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