まいにちWACわく!その50

身分証を見せて営門を出る。門のすぐ側にあるバス停からしか街には出られないようだ「井上、お前はどこに行くんだ?」大沼3曹が聞いてくる
「大人の特選街にでも行ってきますか〜」つまりは風俗だ「大沼3曹も行きます?」「オレはいいや、かみさんに殺される…」肩をすくめる大沼3曹
「特選街?」後ろから声をかけたのは赤城士長だ「うわぁ!」ビックリする井上3曹「特選街って何ですか?」そう言って赤城士長は井上3曹の顔を見上げる
「何でもない、何でもないで〜それより赤城、同期と遊びに行くんやないんか?」ごまかして話を変える「行きますよ。でもだいぶ遅れちゃったなぁ…」
「ホントは昼からの約束だった?」大沼3曹が聞く「そうなんです。まったく…」珍しく怒りをあらわにする

街の中心部にある駅前のバス停でみんなが降りる。大沼3曹と陸士達は飲みにでも行くようだ。井上3曹は小野3曹と合流して『大人の特選街』に前進する
赤城士長は駅前で同期たちと合流する「ごめ〜ん、待った〜?」曹学の同期4人が手を振ってくる「やっと来た〜」「大変だったねぇ」
女3人寄ればかしましい、たちまち話が始まった「取りあえず飲みに行こっか!」


「かんぱ〜い!」駅前の居酒屋で女5人の宴会が始まった「うわ〜そのジメジメって最っ低ね!」「いるいる〜そんなヤツ…」まずは『部隊のイヤなヤツ』の話で盛り上がる
「細かい事ばっかり言うヤツっているよね〜ウチは小隊長がそうなのよ」と言うのは施設群所属の土田士長
「ウチはWACの1曹でさぁ…肩肘張りすぎてるのよね〜」とは武器大隊の工藤士長。土田士長と工藤士長は今回、チアガールとして参加している
「ウチは書類バカの隊長!男のクセにネチネチしてて…」と通信群(基地通信)の砺波士長
「何がイヤって先任よ〜配属されていきなり『臨勤行け』だもん」清原士長は赤城士長と同じく普通科中隊に配属されている
砺波士長は通信関係(アンプ等)の調整、清原士長は接遇である
「結局どこも同じか…どんな職場にもいるんだろうね〜」と赤城士長「まだ龍ちゃんは恵まれてる方じゃない?」とは清原士長だ
確かにいきなり臨勤を命ぜられるような中隊よりはマシかな…と口には出さずに考える
「WACってだけで扱いが変わるのよね〜」いつの間にか清原士長のグチ聞きになっている「結局さ、部隊通信行く事になっちゃったし…」
「じゃあ陸教は仙台?」土田士長が聞く「そうなりそう…普通科中隊に来た意味が無いよ〜」
清原士長も赤城士長に劣るとは言え体力は人並み以上にある。バスケ部所属でインターハイにも出場経験があり、普通の男性よりは遙かにタフだ
「も〜あの先任変えてほしいよ〜」「まぁまぁ…飲んで飲んで!」砺波士長がビールを注ぐ。ちなみに赤城・清原以外は全員20才以上だ
そんな同期の嘆きを聞き自分の事を考える赤城士長(私はけっこう恵まれてるな〜)

カラオケで歌いまくってストレスを発散し、時間通り2200までに帰ってきた赤城士長。同期たちと久々に遊びストレスも発散できたようだ
(よし、明日は頑張るぞ!)と決意して消灯ラッパを聞きつつ眠りにつく赤城士長であった



「三島〜 お前はこれからどーするんだ?」と小野3曹が問う
すると三島が逆に「小野3曹はどーするんですか?」と逆に問う


二人が会話をしている場所・・・ それは3トン半の中であった。警備を任された二人・・・
受け付け組は昼に作業を終え帰ったが、警備組は少し遅れて、宿泊駐屯地に移動していた
異様な光景だった。警備組の特徴なのだが。私服を着ていながらライナーをかぶっているもの
制服姿にライナー 3トン半でなければ異様な集団だろう
そんな移動中、私服 ライナーの小野3曹が制服、ライナー姿の三島の問いに答える
「あぁ 俺は今から本管の竹川とパチスロ行ってくるぞ
で勝ったら夜は飲みだ」 同じ警備班の竹川3曹は小野3曹と新教の同期だった
さらに小野は続ける「どーせ、みんなすでに外出しているだろうからさ、受け付け組は受け付け組で遊べばいいし、うちらはうちらで遊び行った方いいだろ?」


「で、どうだ、お前も暇なら一緒に行くか?」と小野は三島に聞く
「いゃ〜 俺スロットも酒もやらんから遠慮しますよ〜」と三島
「そうだったよな、じゃ、あれか?今日は外出しないのか?」と小野が聞くと三島は「いえいえ、さっき雑誌見てて、ここの近くに評判いいラーメン屋あるみたいなんで、そこ行きますよ〜」
「一人でか?」と小野が聞くと「はい、どーせ、みんな飲み行くでしょうからね、それに混じっててのも、今は冷やかししか受けないから・・・」
冷やかし・・・ 奇跡とも言える曹候合格 バッチを付けて間もない三島はいささか、ウンザリしていた
ミラクル三島 奇跡を呼ぶ男 最強大穴戦士・・・
言えばきりがないくらい、中隊は勿論、連隊の知り合いに言われ続けていたのだ


何時しか車は駐屯地に到着していた。「下車!」と警備班長の声が響く
明日の指示を受け、解散をする 他の部隊は宿泊建物も違うようで三島達とは反対へ歩く
外来の玄関に三島や小野が入ると、井上が立っていた。「あれ?外出しないんか?」と小野が問うと、「奴のわがままが発揮されてなぁ」とため息まじりで喋る
その言葉に三島も小野もすぐ理解し 「三島、すぐにうちらは、でるぞ」あとからなんか言ってきても「知らなかった」で通すからなと小野が言う
数分後・・・井上の理解を得て、小野と三島は逃げように外来、駐屯地をあとにした
そして、それぞれ目的の場所へと移動したのだった


三島が向かうその場所 三平ちゃんラーメン
ふざけた店名のわりに客は入っていた 雑誌をみるかぎり、スープはトンコツ白濁をベースとし、トリガラベースでつくった醤油
塩のスープを混ぜてつくる店 見た目はコッテリ
しかし、食べてみると以外にあっさり 略してコッサリラーメンと言うのがウリである
三島は塩チャーシュウを注文した 昼に出された弁当もわずかだけ食べ、あとは残飯にしたのはこの為であった
「塩チャーシュウおまち!」威勢よい声とともに、ラーメンがでてきた。
うっ! 旨い!通常、塩ラーメンは味をごまかせない事でしられている
自称ラーメン通の三島もここまで旨いと思うラーメンに出会った事がなかった


ついに、この日、そして、この店ができた。
三島のラーメンチェック浮ノ百点の店が出来たのだ!


誰かに教えてあげたい と言う衝動が走る。
やっぱり女の子だよなと考えるあたりは曹候になっても変わらない三島
と、なると、一番この店にこれそうな人はと・・・
と考える そして、電話をかける三島 プルル〜「こちらは〜
お留守番サービス」 「青木ちゃんでないか」そう呟く三島
まぁ、また、今度だな。試験合格報告もしなきゃならんし!と考えながら、一人どこかへ、消えて行ったのだった



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