運命の日 6月20日編 陸曹候補生 内示受けをしてきた、中隊長
時間が11時ともなると小隊長、先任、人事などが少しャ純ワしだす。「結局どうなんですかね?」と、言う声がササヤかれる
どうなったか1番知りたいのは、俺なんだがなぁ
と先任も、困り顔で会話をする 今日の朝礼時
中隊長より「本日は内示日である、結果がどうなろうと、終礼時に皆にたっする。なので、作業中に余計な事は頭にいれず、安全に留意すること」
こんな話になると、かたくなに、口を閉ざすのが中隊長なのを先任は知っていた。
人事の倉田が先任に言う「あんなに頑固な部分もあるんですね、中隊長には」
先任はうなずいた そして、先任は現中隊長が上番し、半年位立った頃の出来事を思い出していた
当時、中隊の最先任士長に福永士長と言う隊員がいた。最近では、珍しく、5任期終了で満期退職をしたのだが
10月隊員であった福永 10月の満期終了までに就職を決め無ければならない。しかし、不景気も手伝ってか?
はたまた、バブル入隊の福永の知力が足りなかったのか?就職が決まらなかった。
そんな、セッパ詰まった状況にも、動じる事なく、普段通りの生活をする、福永に対し先任はよく、怒鳴っていた
怒鳴るのも三ドメだったろうか・ 半ば、呆れ返っていた先任
そんな時、「少し福永を俺のとこに預けてくれ」
それから、しばらくして、中隊長室に福永を呼び出した。
中隊長、福永の二人だけの話しである。 内容なのだが、福永は高校中退であった。就職先を探していたが、今この不景気のせいで、中卒はどこも採用したがらない
で、現実をまの当たりにした、福永はすでにやる気が無い
との事だった 中隊長は頷きながらただ、黙って聞いた。そして次ぎの日・・・
朝礼終了と共に福永を呼び出した。 一時間も立っろうか?
福永が中隊室から出て来た。その後、中隊長も出て来て、先任に「福永、明日から、就職メド着くまで休みやるから
と一言、言い、中隊長室に戻った
その日から三週間後、福永が就職決まった。
その事を報告に来た福永。皆に感謝の言葉を言っているが、一人だけ別格な人物がいる。もちろん中隊長である
その光景を先任は疑問を感じ、不思議そうに見ていた。
(休みをくれる話しの他に何かをしたんだろう?)あとで、聞いてみよう。と考えていたのだ。
福永は満足そうな撫槐、その日事務室をあとにした
その日の終礼時、先任が命令を告げ終ると、中隊長から福永の就職決定について話があった
終礼後、先任は中隊長に、福永とのやり取りに付いて聞いてみた
中隊長の返事は 「福永との約束で、ちょっと先任にもどんな内容だったかは教えられないんだ」と答えが帰ってきた
先任は面を喰らった。就職補導である。今後、まだ、第2、3の福永が出てくるか解らない時代である
先任はそうなる前に今回の中隊長の指導内容を聞いて今後の参考にと考えていた。その事を中隊長も告げたが。
中隊長は、うんと首を縦にふる事はなかった。
先任はその時初めて、中隊長の頑固な部分を見た
自分が言わないと言ったら何があっても口をわらない中隊長
「まっ、夕方になるなんて、すぐだよ」 と倉田に告げ、よ〜し、飯だな!よし、三島隊員食堂に行くぞ!と今日は補給の支援に来ている三島を呼ぶ
運命の時間まであと約四時間・・・
「あれ?先任、今日は当直ですか?」三島は、とぼけ顔で言う。その顔を見た先任は少しガッカリ顔だ。「三島なぁ、今日は内示日だぞ、そんなぼけ〜とした顔でどうする!受かってもそんな顔じゃバッチ負けするぞ!」と会話をしながら飯を食べた
昼礼 中隊長より 三島、鈴木、田中は16時に中隊長室にくるように と指示があった。
何もなかったかのような静寂な時間が流れた。午後の作業を終り、駆け足をした
すでに、夏の熱さが身に染みる季節だったので体に応える
さて・・・ と、中隊長はシャワーで軽く汗をながし、中隊室にもどる。
時計は、15:52であった 少し、嬉しそうな顔をしているかな?自分でそう思いながら鏡をみて、ニヤリッと不敵な笑を浮かべた
そうこうしていると、ドアをノックする音、そして、「田中士長、他2名、入ります!」気合いの入った声が聞こえた
気合いがみなぎる、田中と鈴木、一種独特な感じの三島の3人をャtァに座らせ、先任、人事を自ら、迎えに行く中隊長
しばらくするとゾロゾロと入ってくる。先任、人事は立ったままだ。
「さて、早速結果を教えよう」と中隊長が一言、言う。その瞬間に、皆、顔が怖ばった撫榾なっていた
田中士長、三島士長・・・・・・ 「おめでとう!」
鈴木士長・・・ 「残念!次こそだぞ! 気を抜かず、勉強と体力頑張るように!
時間はさかのぼってお昼過ぎの中隊本部
(先任も落ち着かない顔をしてるなぁ…)パソコンのキーボードを叩きながら思う田浦3曹。田中士長もそわそわしてるが、まぁコレは仕方ない
チラリと横目で中隊長室の方を見る(頑固だよな〜あの人も…)心の中でため息をつく
誰が合格してるか、というのは当然訓練サイドでも重要になってくる。訓練管理の準備と合わせて「音楽祭り支援」と「中隊検閲」の準備もあるので、人の動きは早めに知っておきたいところだ
「田浦…田浦!」向かいの机で訓練Aの中島1曹が呼んでいた「…!は、はい?」慌てて返事する田浦3曹「夏バテにはまだ早いぞ。電話だよ、広報の杉山准尉から」
「ハイ…えぇ…今日中ですか?般命には明日までと…そうですか…わかりました」がちゃん、と電話を切る「まいったな〜」と大きなため息を一つ
「どうした?」先任が聞く「例の音楽祭り支援の名簿、今日中に欲しいそうです。締め切りは明日だったのですが…」といって頭を掻く
「もうだいたいは決まってるんだろ?」「えぇ、しかしあと上曹が一人決まらないんですよ」「その点は大丈夫!」と後ろから声をかけたのは岬2尉だった
「木島曹長に頼んだから安心してくれ」と後ろから肩に手を置く「えっ…木島曹長?」大丈夫だろうか…と一抹の不安がよぎる
中隊の「最悪3兄弟」の一人である1小隊の小隊陸曹・木島曹長は、最低の人格と能力で若手隊員から文字通り「蛇蝎の如く」嫌われているのである
「あー岬2尉からの頼みだからな。暇人じゃねえオレが行くんだ、感謝しろよ。あー?」語尾とかに「あー?」と入れるしゃべり方が神経を逆なでする。が、そんな事は顔にも出さないように我慢する田浦3曹
幹部室にいる木島曹長に音楽祭りの書類を届けに来たところだ「え〜感謝してます」と満々の笑みを浮かべる
「取りあえずの資料です。細部は広報の杉山准尉がMMをやるそうです」事務的な話のみを伝える「まったくよ〜また代休たまるじゃねぇか。あー?」とブチブチ文句を言う「おめ〜も考えて勤務決めろよ。あー?」と八つ当たりまで始める始末
「使えね〜上曹なんかいくらでもいるだろ。何でそういうヤツを使わね〜ん…」岬2尉が入ってきたのを見て口を閉じる「おっ早速か〜仕事熱心だな田浦3曹!」と何か嬉しそうである
「ホント田浦は頑張ってますよ〜いやいやほんとに」コロッと話し方も変わる。やれやれといった顔をして早々に幹部室を後にする田浦3曹であった
「…」机に座る田浦3曹。顔に「むかついてます」と書いてあるようだ、心の中でため息をつく
(だいたいあんたも暇人だろうが…毎日17時にすぐ帰ってるのは誰だよ?たいして仕事もできないくせに…ゴマすりだけでオレの倍の給料か…)深いため息をまた一つつく
そんなこんなで音楽祭り支援の名簿ができあがる。中には井上3曹や赤城士長の名前もある。不安な事に遠戸2曹もいる…(ま、いいか)そう思って書類の整理にかかる田浦3曹であった