その日の午後後段 教練をしている。ここでは三島はまずまず
むしろ1、3選抜がかかる、若手の方がへたである。それを見ていた先任と中隊長「二週間もあれば矯正され、見れるだろう、教練は問題ない。やはり」「はい、三島ですね」
「イテテ、完璧筋肉痛だなぁ」と痛がる三島に飯島士長が「ワックキラーも形無しだなぁ」とケタケタ笑いながら言っている
その言葉に反応し「あっ、そうだ、電話しなきゃ」と携帯片手に消えて行った
ちゃら〜ん。携帯が鳴る「はい、今晩は、青木です」「三島だよ〜遅くなってごめん」
「いえ、電話来ただけでも、嬉しいです」三島の電話の相手は記念日支援で知り合った青木と言うワックだった
「青木ちゃん、ごめん!」
三島と青木は今週土曜日趣味の事で遊ぶ予定だった「実は各カクシカジカで遊ぶの無理なんだよ」青木は「おめでとうございます、頑張って下さい私、合格祈ってます、試験終わったら・・・私、三島さんに会いにいきます、お疲れ様会しましょう」
三島は嬉しかった。応援してくれる人がいる。それが女性であり自分ごのみの顔
青木も三島を多分気にいっている 嫌、間違いない
記念日の日別れ際、口を濁していたのは、あれは、告白に違いない
三島から告白しようかと思ったが、青木は3曹
三島は士長 自衛隊にいるうちに付き合うのは疲れそうだ。さらに少し遠い駐屯地にいる事を考え止めたのだ。あの時青木が躊躇せず、告白してたらどうだったろう?そう考える日も多くあったが・・・今では懐かしい思い出だった
「俺、試験、頑張るよ。その為には、今から、やらなきゃ!挫けそうになったら、声、聞かせてくれるかな?」「私でよければ、時間気にしないでいつでも。」と青木
「ありがとう、頑張るよじゃ、試験後会おう」と電話を切る
顔をパンと叩き机に向かう三島だった
その頃・・・ 先任の家 「はぁ〜」と溜息を付く「な〜に、溜息なんか」と奥さんに言われる。「嫌なぁ、なんか仕事に悩み多くてなぁ、無事定年なるんだろか?」「まぁまぁ、あまり悩まないではい、ビール」グビッ、プハー
旨い。
「はい、つまみ」と奥さんがもって来たのはブリの煮付けだった
「出世魚か・・・」まぁ悩んでもしかたがない
その日先任はビール瓶二本飲んで寝たのだ。
家庭の先任編 完 引き続き本編を楽しみ下さい
スキップ・ビート 番外編・外止め・・・
「しかしこのオレに外止めは死刑宣告に等しいよなァ〜!」ここは三島の住む営内班、三島は柳沢と「Zガンダム」で遊んでいた。
「ホント、2週間くらいじゃ体力は変わンないっスよね」
「だろ〜?だいたいオレは陸曹ンなるなら2任期終わってからって決めてンだよね・・・あっ、シールド取れちったよ」
三島はネモ、柳沢はハイザックで対戦していた。
「シールドの無いネモ、恐るるに足らず!・・・なんで2任期終わってからなんスか?」
「この野郎、ミサイルランチャーばっか撃ちやがって・・・いや、やっぱ満期金だろ。あとオレは音楽祭りの支援に行かにゃならんのだ」
二人ともジョイスティックを使っているあたり、このゲームのやり込み具合を表している。
「やっぱ陸士の方が行き易いんですか?・・・あ、そろそろ点呼っスよ」
「そろそろ止めっか。この前は陸士が多かったからね。ヤナギ君、点呼終わったら飯買って来てくれよ」
外被を着ながら三島は言った。その時スピーカーから音楽が流れてきた。
「なんだコリャ?」柳沢は天井を見上げる。
「あァ、<スターシップ・トゥルーパーズ>だな。永嶋士長が当直だろ?自衛隊に長く居るとなんでもアリになるから恐いよ・・・」
永嶋士長は飯島士長と同期で先任士長だった。音楽が小さくなって、「1中隊、点呼ォッ!!」と聞こえた。
「狂ってますねェ!」柳沢は嬉しそうに言った。「全くだ」こうして営内の夜は更けていくのであった
外止め編、不定期に続く・・・
四月も終わりに近い 先任は休暇前の服務教育の為の資料を揃えていた。
「師団では前年飲酒運動が多いなぁ」とつぶやく
「本当だ、凄い」横から口を挟む田浦3曹
なんかすっきりして見える。「うちは大丈夫かな?」と言う先事件は起きた
事件の内容をつげる電話がなる 「スピード違反
国道501号線で33キロオーバー」先任は一瞬青ざめた
「うちの中隊ですか?」と聞く 電話の先は「嫌、本管だよ」と
先任の顔に安堵の表情がみなぎった
事件を起こしたのは本管の陸士長だった
そいつは今回の陸候の一次を通過していた。情報は一気に連隊をかけ巡る「あの人らしいよ」「ウッソー、あの人今回3連続で一番の本命だったのに、もったいない」
それを聞いた中隊長。「笑い事ではないが。うちの三島にさらに運が巡ってきたな」と一言
中隊本部でも皆口を揃えて言う「運がきた、三島に運が来た」さて、2次試験は連休明け一週目
どうなることやら
赤城の声が響く「右向け〜左!あっ!訂正、右むき〜!あっ!」「はい、やめ!」ここは駐屯地グランド
試験を控えた三島らが、教練の練習をしている
赤城もすぐに朝霞などに行く事もあり実験的に分隊長動作わさせてみた
事務所からでも分隊教練の声が聞こえてくる「あ〜失敗…慌てるからダメなんだよな」と田浦3曹がつぶやく
「やっぱり若いと力が入るからな。もっと冷静に周りを見る事ができたら失敗なんかそうそうしないんだが…」同じく先任もつぶやく
「で、今回はどうですかね?」「受かりそうな人間か?」お茶をすすり先任が答える
「まず鈴木は90%受かるな。あいつは学科も5番だったし2次の課目でも全く危なげない…何より中隊長が押してるからな」3小隊「レンジャー」鈴木士長の事だ
「次は田中…もういい加減受かってもいいだろう、次の演習も不参加だよな?」「で、自分が中隊長ドライバーです。あいつもいいかげんカミさんにいい知らせを持っていってやらないと」
「れいの奥さんか…」「そうです、例の『かなた』さんです…」そう言ってクスクスと笑う田浦3曹、先任もつられて笑う「田中かなた…か、回文だもんな〜」
「あとはどんぐりだな、三島は当落ぎりぎり…」ため息をつく先任「それは仕方ないです。でも今回受かったら赤城と一緒に入校ですもんね〜気合いも入るでしょうね」と田浦3曹
訓練Aの中島1曹が「後期だけだがな」と突っ込む「そう!知らなかったんですよね…」と頭を掻く田浦3曹
「こないだ2次の練習をやってる連中に『受かったら半年赤城と一緒だぞ』ってハッパかけたんです。まさかWACは朝霞に行くとは…」う〜んとうなる田浦3曹
「おかげで『嘘つき』って言われました。いやいや知らない事ばっかりで…」
「合計5万4千とんで52円!」と突然、給養の川井2曹が叫んだ「!…何ですか?」田浦3曹が怪訝な顔で振り返る「こないだの桜祭りの純利益だよ!今までで最高かもな」
先任が嬉しそうに言う「赤城を客引きに使ったのが成功だったか?」
時はさかのぼって4月あたまの日曜日…
駐屯地が一般開放され、民間人のお客さんが多数やってきて花見をしている。自衛隊の駐屯地は隠れた桜の名所なのである
そんな中、隊舎の調理室に田浦3曹と赤城士長がいた
「…頼むよ、赤城」「でも…恥ずかしいです」「大丈夫だって、お願いだから…」「…わかりました」そう言って作業服の上を脱ぐ赤城士長…
「…お〜似合うね!」先任が入ってきた赤城士長を見て嬉しそうに言う。田浦3曹に頼まれ、赤城士長は後に「祭」と書かれた派手な法被を着ていた
「ちょっと派手じゃないですか…?」恥ずかしそうに肩をすくめる赤城士長「目立ったら勝ちさ、派手に頼むヨ!」そう後から来た田浦3曹が言う
「じゃ、高木2曹の所に行って手伝ってきてくれ」そう先任に言われ、赤城士長はタタッと駆けだしていった
「さて…あと何人か売り子を確保してきてくれ」そう先任が言う「わかりました」と言って田浦3曹も駆けだしていった
営内に戻り手の空いている陸士を何人か連れて、中隊の焼き鳥屋までやってきた「いらっしゃ〜い!」明るい声が響く。赤城士長が客引きをしていた
「何だ、嫌がっていたのにノリノリじゃない」苦笑いする田浦3曹につられて笑う赤城士長&若い陸士たち
「よぅし、おまえらさぁ働け!」手を叩き若い連中にハッパをかける田浦3曹
こうしてみんな客引きを頑張り、今までの祭りで最高の売り上げを記録したのだった…
「ふっふっふ…半年分のコピー代が浮いたぞ」先任が売上金を見てほくそ笑む「なんか、人相悪いっスよ…」ちょっと引く田浦3曹
「まぁこれも赤城のおかげってそう訳で…アイツが真っ先に客引きに頑張ったから、若い連中も乗ったんですよ」そう言うのは川井2曹だ
「戦力になってきましたね」嬉しに言う田浦3曹。その戦力はグランドで号令調整に声を張り上げている
「まわれ〜みぎっ!」「まわれ〜みぎっ!」
「ささげ〜つつ!」「ささげ〜つつ!」
グランドの端と端に別れて2次受検者が声を張り上げている。「号令調整」と言われる「声を出す訓練」だ
グランドには他中隊も展開、訓練している。砂場で走り幅跳びをしてる中隊、駆け足組もいる。彼らが全部ライバルなのだ
「さて、ちょっとパジェロの点検してきます。明日から演習なんで…」そう言って田浦3曹は立ち上がった「たった4日の演習か〜こんな時期に…」中島1曹がぼやく
明日からGWの前日まで射撃演習だ「田浦、休暇証は演習に行く前に書いていけよ!」そう先任が言った