まいにちWACわく!その12

スキップ・ビート 番外編・特別勤務

「あっつー元気ィ〜?」 ここは消防車の中である。三島士長は消防隊勤務に上番していた。
「元気ですよ〜!三島士長は調子はどうですかァ?」電話の相手は上田敦子、青森の某部隊のWACである。三島士長と上田1士は音楽祭り支援で一緒だったのだ。
「おう、あっつーが居なくて寂しいよ〜」
三島士長は運転席と助手席の間に足を投げ出しながら答える。顔には淫靡な笑み、口には楊枝をくわえていた。
「まァた調子のイイ事言ってますねー!みんなに同じ事言ってんでしょ〜」
「いやいや、あっつーだけよ、ホント!そういやウチの中隊にWACちゃんが来たンだよ!」
消防隊の前を横切る隊員がチラっとこちらを見た。三島士長は気持ち座席にちゃんと座りながら答えた。消灯時間が近づいてきたので、外出から帰ってくる隊員が増えてきたのだ。
「あー危ないなァー、三島っち狙ってるンじゃないの〜?」 三島っちというのもフザケた響きである・・・
「いやーそれがちょっと精強過ぎてねー。自衛隊の香りが強すぎるンだよな〜。おれは目下、もう1回音楽祭り支援に行く事が目標であります!」
相変わらずのC調である。
「チアリーダーのひらひらミニスカートが忘れられないだけじゃないんですかァ〜?」
上田1士もC調だ・・・
「わははは!あっつーのミニがね!あ、今度写真送るからね〜」
三島士長の軽〜いおしゃべりは続く。こうして特別勤務の夜は更けていくのであった・・・

特別勤務編、不定期につづく。


「彼氏はいませんよ」と中村3曹は田浦にこっそり報告した
田浦から先任に、先任から中隊長に。少し、ほっ、とした中隊長は週間予定表を見る今日は月曜日
週末、木曜日には会計検査かぁ・・・


事務所でも会計検査準備に大忙しだ。とくに、給与係
先任や通信係に「この時だけ、赤城を下さいよ〜」なんて言って泣いたふりをしている。と、先任「赤城を支援にだしてもいいが、いいのか?相手は大幹部の娘だぞ、どうせ、誤魔化す為の書類作成、破棄要因だろ?」


「そうだった」と給与係は、赤城獲得をあきらめた。そして、「三島は?あいつなら前に一度・・・消防か。」とがっくりしている。その日の終令 「営内者、これから飯食い行け!」どなる、給与係がいた


会計検査は無事終わった。連隊本部で特に問題無しで通った為、中隊まで回らなかったのだ。これで少しは、一息付けるなぁ
中隊本部一同、口を揃えて行っている


平穏な日が続く 赤城も通信の仕事を少しずつ覚えているようだ。ある日中隊のミーティングをした。各小隊陸曹より、「演習時期も終わり次は戦技です。来週より毎朝、天候に左右されず、駆け足、10キロ行きましょう」と意見がでた



会計検査も終わり、あとは年末休暇とその前の「年末行事」を待つだけとなった。
やる気満々の小隊陸曹たちが「毎朝10km駆け足」を中隊ミーティングで提案してきた
「ここ数年、隊員のレベルが落ちてきてるように思うんですよ」迫小隊、近藤曹長が口を開く「やはり毎朝の駆け足くらいはしましょうや」
うんうんとうなずく小隊長たち、中隊長も乗り気のようだ。だが先任は少し渋い顔をしている
(過去何回も「朝の間稽古」を実施したが、数ヶ月でいつの間にか自然消滅してるんだがなぁ)勤務の都合・行事や演習・その他いろんな理由で、やっては消えやっては消えの間稽古だった

「そうだな、新年明けてからはじめるか!科目はまた検討しよう」中隊長の鶴の一声でミーティングは終わった


「ま〜た訓練計画作らないと…」と愚痴をこぼすのは訓練・中島1曹である「まぁまぁ、何とかなりますよ」フォローするのは田浦3曹である
先任は何か書類とにらめっこをしている「先任、どうかしました?」「いや、年末行事での支援人員差出の依頼なんだが…」依頼といっても連隊本部が出す文書だから、実際は「命令」と同じである
「え〜と、会場準備・撤収にP×3、来賓受付にS×2うち1名は上曹、接遇に…WAC×1?」目が点になる田浦3曹「赤城以外に誰がいるのかねぇ…」と先任はため息をつく

毎年この連隊では年末行事と称して体育館で軽い演芸&カラオケ大会なるものを企画している。ローカル芸人や隊員有志のかくし芸(?)カラオケでの高得点者には商品も出る
部外の協力者を招待することもあるので「接遇」というのはそれだろうと思われる

「一般命令を見る限り、接遇は広報班を除いて全部WACですね」田浦3曹が般命文書を見ながら言う「全部で3人ですね、いつも接遇はWACを使うようで…」
「配属されたばかりのあの子には、こういうところは見せたくなかったんだがなぁ」先任がしみじみ言う「こうやって若い隊員のやる気が減っていくんだよ」
「でも三島なんか嬉々として雑用してますよ?」「あいつみたいなのは例外だよ…まぁ各部隊に一人はいるんだけどな、雑用ユニット」

「まぁ愚痴ってても仕方ない、あの子には終礼時に言っておくよ」そう言って先任はお茶をすする

終礼時…「とまぁピンポイントで依頼が来た、事前教育が前日にあるから参加してくれ」そう言われた赤城1士の顔は少し曇ったようだった
「はい…どんな事をするんでしょうか?」困ったような顔(実際困ってるのだろう)をして聞いてくる「詳しくは中村3曹とかに聞いてくれ、私も行った事はないからね」「わかりました」


「う〜ん、接遇ねぇ…」WAC隊舎の一室で中村3曹は腕を組む「赤城1士も接遇なんだ…私もなのよ」と言ったのは通信小隊・村瀬士長である
「後はだれですか?」「橘じゃなかったかな?中森だとキャバクラみたいになるって言ってたような…」と言ったのは東間士長、衛生の2士二人は別室である
「接遇って言ってもお客さんとかOBの人とかにお茶とか出すだけよ、難しくはないわね」そう中村3曹は言う「ただ…」
「ただ?」「OBの人とかってちょっとヘンな人が多いのよ、特にお酒が入るとね…」そう言ってため息をつく
「ヘンな人って?」「なんかちょっとした事で急にキレたりとか、やたら威張ったりとか、すぐに昔話を始めるとか…」「うわぁ、タチ悪そう」顔をゆがめて吐き捨てるように東間士長が言う
「もともとOB会ってのは、自衛隊を退職してから一般社会でうまくやっていけない人が多いのよ。だから過去の栄光にすがりたがる…」「栄光なんてあったのかな?」
「無くてもここに来たら、昔の部下や後輩に威張れるからね。優越感に浸るには絶好の場所よね」「…最っ低」目がきつくなる赤城1士

「でも赤城、怒っちゃダメよ。一応お客様なんだからね」「我慢できるでしょうか…」



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