宴会(忘年会&赤城1士歓迎会)会場はそこそこの広さだった。テーブルは全部で10個、ひとつのテーブルに12〜3人がついている。
立食でバイキング形式、飲み放題で3300円は破格の値段だ。
約1時間半の予定の宴会は、中隊長の「羽目をはずし過ぎないように!」という言葉で始まった。もうすでにその言葉は無力化しているようだ…
くじ引きで席は決められ、赤城1士の左右に倉田曹長と田浦3曹を(くじを仕込んで)配置してある。が、あまり効果はないようだ…
とほほと頭を抱える中隊長のもとに、危険人物の三島士長がやってきた。
「ジュースだけだと間がもたんだろ?」「まぁ周りが騒いでるのを見るだけでも楽しいですよ」そういって赤城1士の方を見る。
「行かんのか?」「今は人が多すぎますからかえって邪魔っす」やはり行く気はあるようだ。
「…そうか、まぁ羽目をはずさんようにな」渋い顔で中隊長が言う。
「大丈夫とは思うんだが…」眉間に深いしわをつくり中隊長がうなる「あの子の両親のことを知っていれば、そう簡単に手は出さんだろ」
「それはなんとももないです言えませんね…」そう答えたのは先任だ「若い陸士には『将軍の娘』なんて気にならないのでは?もし手を出しても処分が下るわけでし…」
「…甘かったか?」「まぁ、しばらく様子を見ましょう。倉田と田浦もいますしね」
その赤城1士の周りでは…
「ビールはいける?」「普段何してるの?休みの日とか〜」「趣味は何〜?」「これおいしいよ!」まるでアイドルのようだ。
「もうちょっと散れオマエラ!」「未成年だから、あんまり飲まないようにね」倉田曹長と田浦3曹が孤軍奮闘している。
当の赤城1士は少し酔っているようだ「もう少し位ならいけますよ〜」笑顔で答える。
やっと一段落ついた「人気者だな、主賓は大変だね」倉田曹長が声をかける「はい!楽しいですね〜」本人は呑気なものだ。
フライドチキンをほお張る田浦3曹に、3小隊の井上3曹が声をかけてきた。
「ご苦労さんやな〜」肩を叩きながら井上3曹が言う。田浦3曹と井上3曹は新隊員、自訓、陸教すべて同期という「腐れ縁」の仲だ。
「まあな、班長だからな」「まじめやな〜」そう言いつつ田浦3曹の肩を揉む。
「よう、赤城クン!俺のこと知ってる?」「え〜っと…神野1曹でしたっけ?」「アニキはあっこにおるやん!俺は3小隊の井上や、よろしくね〜」大阪弁でまくし立てるように話す。
「何しにきたんだ?」怪訝な顔で田浦3曹が言う「つれないな〜同期の絆を深めにきたんやん」
「ちょっとトイレ行ってくるわ」倉田曹長が席をはずした。
「からむなって、酔ってんのか?」「ええやん、数少ない同期やろ〜?」田浦3曹は井上3曹にからまれている。
赤城1士が独りになった瞬間、誰かの目が獲物を狙うように光った…
「よう、赤城クン!」そう言って近づいてきたのは、やはり三島士長だった。
「どう、飲んでる?」「少しですよ〜三島し…さんは?」「ここでは階級でもいいよ、まわりは自衛官ばっかりだからね」
そういって身を寄せる「まぁまぁ、飲みなよ」「いただきます、三島士長は飲まないんですか?」「俺は飲めなくてね〜」
そういってさりげなく肩に手を回す「さぁさぁ、飲んで飲んで〜」まだ誰も気づいてないようだ「あっちょっと…」赤城1士は少し嫌がる素振りを見せる。
「まぁまぁいいからいいから…」そう言って手に力を入れた三島士長、だが次の瞬間…
コップを置いた赤城1士は一瞬にして三島士長の腕を取り、あっという間に腕を後ろにとって間接を決めてしまった
「も〜三島士長ったら冗談ばっかり〜!」赤城1士は笑ってる。三島も照れ笑いしてるので冗談のように見える。しかし…
(あれって決まってるんじゃないか?)そう気づいたのは佐々木3尉だ。全中隊隊員が見ているが、やはり武道経験者は(おや?)という顔をしている。
佐々木3尉も防大の拳法部出身である。あと空挺でCQBを学んだという噂の神野1曹、格闘徽章を持つ迫小隊野村2曹、その他何人かはやはり気づいているようだ。
「決まってますね」騒ぎに気づいた中隊長に佐々木3尉が耳打ちする「少し力を入れたら折れますよ、三島も笑いが引きつってきてます」確かに汗までかいている。
「…まぁいいだろう、いい薬だ」ニヤリと笑い中隊長が言う「そうですね、まぁしかしたいしたもんだ」先任も感心したように言う。
三島士長はやっと開放された「やられたな〜」顔は笑顔だが、そう言う目は笑っていない。
「へへ〜」と言いつつ笑う赤城1士、頭を照れたように掻く「ウーロン茶でも飲みます?」そう言ってビンを差し出す。
ウーロン茶を注いでもらいそうそうに三島士長は退却する「さすがやな〜」近くにいた井上3曹が感心したように言う。
「柔道やってたん?」「いえ、空手です。あと、合気道も少し…」「赤城は格闘技が趣味なんだ」田浦3曹が言う。
そうこうしてるうちに宴会終了の時間が近づいてきた「宴もたけなわではございますが…」閉めの音頭は運用訓練幹部、森永1尉だ。
「今年一年お疲れ様でした!かんぱ〜い」「かんぱ〜い」無事宴会は終わった。中隊長も内心ホッとしているようだ。
「二次会行きますか〜中隊長!」先任に声をかけられる「おぅ、じゃあ行こうか」
スナック道端 ここは、自衛官で持っている店である 「ママ、田浦さんから二次会の電話」そう言うのは若いルミである店員在籍数六名、みなほどよく若い 店が広く多い人数可
「赤城1士も行くかい?」と田浦3曹 「はい、行きます」と言うと先任が顔をのぞかせ「おいおい、大丈夫かぁ?」「大丈夫です、少しでも早く慣れたいですから」「そうか、無理しないようにな」
三島も道端にいる。飯島が調子よく「飲みましょう」と、張り切る
先任も嬉しくなり「いくぞ〜!」と猪木ばりの声を出す
当初は行く気は無かったが。「二人の勢いが。」と後に語った。一行は道端へ向かう 主に本部要因と、独身曹士
若者達の興味は、赤城だった
本日、三島は補給係支援な。田浦3曹が言う 「わかりました」と素直である
明日は中隊本部で駐屯地の枯れ葉集めします。と先任が言った。皆、びっくりした。
次の日、大雨が降っていた。しかし、自衛隊
作業します。赤城一士も驚きます。田浦3曹が微笑みながら、「雨だから、作業無いと思ったか?」「いえ、これが当然です!」と気合い込めて言うやっぱり、ワック教育楽な所あったんだな。そう思う赤城だった
たかが、枯れ葉集め、されど、枯れ葉集め。と言う事で皆、文句言わず、15時までやりました。赤城は寒さに震え、青い顔しています。女の子です。冷え性なのです。田浦3曹は心配した目で見ています