まいにちWACわく!その4

赤城1士が中隊長の面接を受けている最中、中隊本部事務所では…

「今のが赤城1士か、なかなか可愛いんじゃないか?」「空手2段には見えんな〜」いろいろ話が飛び交っている。
「たー坊!これは訓練だな?」倉田曹長が書類の中から検定記録簿を出す。「あ〜どうも!」田浦3曹が受け取る、「どれどれ…」

「体力検定1、腕立て伏せ102回の腹筋104回、3000mは10分33秒
体力検定2、斜懸垂89回の幅跳び5m10、ソフトボール投げは66mか…」
「化け物か?」少し驚いたように村上2曹が言う、「並の男じゃ勝てんな」
「おや、射撃も当たってますよ」これまた驚いたように田浦3曹が言う「初級検定、50点満点中48点、これはすごいな…」

「だがな、カタログスペックで自衛官は語れないからな」横で聞いてた倉田曹長は言う「高橋尚子でも夜中に20kgの荷物背負って30km歩けんだろ?高見盛だって山に入ったらただの的だからな」少しずれてるような気もするが、確かに一理ある。
「男女の差ってのはなかなか埋めれないですからね」田浦3曹が言う「GIジェーンみたいになれないかな?」


中隊長室ではまだ面接が続く。
「家族での心配事とかはあるかね?」「特にありません、みんな健康です」(家族での心配事はあるよ!ウチが…)先任は心で叫ぶ。
「初の普通科中隊WACだから、君も我々も戸惑うところはあるだろう。何かあったらすぐ先任か私、言いにくかったら中村3曹に言うんだよ」「わかりました!」

がちゃ…中隊長室のドアが開く。「じゃあこれからは田浦3曹に駐屯地を案内してもらうから、まだ食堂とWAC隊舎しか知らないだろうからね」先任が言う。「わかりました、案内します」田浦3曹が席を立つ。
「ちょっと田浦…」先任が耳打ちする「通信補佐に配属って言われて少しショックのようだ、フォローしてやってくれ」「フォローですか?」「『がんばれば迫にも行けるかも…』とか言ってくれたらいいよ」「わかりました」
そういって廊下で待っている赤城1士のところに行く「じゃあ行こうか!」

「ここが厚生センター、営業時間は朝の9時から夜の9時までやってるよ」
「ここが業務隊と諸隊が入ってる隊舎、貯金業務もここだからね」
「この辺一帯は連隊の駐車場、自訓に行くまではあまり縁がないかな?」
一緒に駐屯地を歩き案内する。
「あいたたた…腰が痛いや」「どうしたんですか?」「いや、ちょっとね。それより補職は通信補佐って言われたって?」「ええ、そうなんです…」やはり残念そうだ。


「まぁ仕方ないよ、みんなはじめての事だからどうしていいかわからないのさ」「それはわかります」浮かない顔だ。
「まずは部隊通信に行ってもらう事になると思うよ。無駄にはならない教育だから安心しなよ」少し微笑む田浦3曹。
「それにまずは頑張りを見せる事だよ。そうすれば迫でも小銃でもいけるさ!」肩を軽く叩く。「わかりました、頑張ります!」少し笑顔が戻る。
「じゃあ最後に通信倉庫に行こうか、岡野2曹って人が上官になるからね」

駐屯地の隅っこ、あまり目立たない場所に通信倉庫はある。一見安いプレハブだが、通信機材を入れているために見た目よりは頑丈である。
「岡野2曹いますか〜?」「おーう、田浦か」「赤城1士を連れてきました〜」
岡野2曹は椅子に座り、なにやら書類に書き込んでいる。「赤城1士です、よろしくおねがいします!」「岡野2曹だ、よろしくな。まぁ茶でも飲んでけ」
備え付けのポットからお茶を3人前入れる。「通信は希望か?」「…あ〜いえ、実は迫希望です」「迫なら通信も大事だからな、無駄な経験にはならんさ」
一服終わってから田浦3曹と赤城1士は中隊本部に帰ってきた。


「案内終わりました」「おう、ご苦労さん!じゃあ赤城1士、部屋に戻って荷物の整理とかしなさい。終礼時にみんなに紹介するから、1640には戻ってくるようにね」

「で、どうだ?元気になったか?」先任が聞く「大丈夫みたいですよ、前向きな子ですね〜」感心したように田浦3曹が言う。
「実際、中隊長は彼女を迫で使うんですかね?」「それも考えてるようだ、何か知らんが中隊長もハラを決めたって感じだな」師団長との一件は誰も知らない、連隊本部で緘口令が敷かれたようだ。

「明日は朝から連隊長への申告がある、制服を用意させないとな」

そして終礼…本部と各小隊ごとに整列し、係が連絡事項を言っていく。
「明日については午前中は射撃予習、昼からは整備と体育、以上です」田浦3曹が訓練指示を終わる。
「では先任」中隊長が促す。「では本日付で着隊した赤城1士を紹介します」先任が赤城1士を呼ぶ。

「本日付で配属されました赤城1士です、一日でも早く中隊の一員となれるよう頑張ります!」拍手を受け敬礼する。
先任は隊員たちの顔を見る。少し緩んだ顔、不満そうな顔、獲物を狙うハンターの様な目も見える。 (警戒は必要だな)そう先任は思った。



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