まいにちWACわく!その47:blog版その16(エピローグ)

数日後、夏期休暇が終わり隊員たちも元気な顔を見せる
少しだけクーラーの効いた中隊長室、中隊長は先任を前に一枚の書類を見せる

「赤城士長の陸教入校、特技は『軽火器』に決定したよ」と中隊長は言った「軽火器ですか…ま、いいんじゃないですかね」先任も納得したようにうなずく
「あの子なら大丈夫だよ。もうね、心配はしない事にしたよ。あの子ならやれるさ」そう言って窓の外を見る

中隊長と先任の脳裏にここ9ヶ月の記憶がよみがえる
WAC配属と聞いた時はどうなるものかと思ったが…
受け入れ準備で大騒ぎ、師団長に大見得を切って、宴会ではハラハラのし通し、中隊隊員との軋轢もあった
数多くの演習、行事、業務、そして災害派遣…助けは借りても全てを乗り切った彼女なら、軽火器で陸教に入校してもやっていけるだろう

「あの子の今後も考える時期だな…実はね」中隊長は振り向いた「空挺の基本降下課程やアメリカ海兵隊徒手格闘学校への派遣などにWACを出そう、という話もあるらしい」
「それに赤城を出そうと?」驚いた顔をして先任が聞く「…ま、あの子なら大丈夫でしょうな」

夏の太陽が照りつける駐屯地、外では新隊員教育隊が駆け足をしている。歩調を数えながらの駆け足に、助教たちの怒声が混じる
それを聞いて苦笑いをする中隊長と先任
「我々もあんな時期があったなぁ」「そうですなぁ」自衛隊生活も終盤を迎えた二人が感慨深そうに言う
おそらくは自衛隊が警察予備隊として発足した時から、そして自衛隊がこの先どんな名前になろうとも、老兵が去り若い新隊員が鍛え上げられていく…
男女の区別も時代の変化も関係なく、この流れは変わることなく続いていくだろう

いつか自衛隊が不必要となるその時まで…

そして中隊長は大きな封筒を取り出した「ところで先任、この9月に入ってくる新隊員の話だが…」

〜完〜



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