まいにちWACわく!その19(幹部とラーメンと射撃予習)

468 名前:まいにちWACわく!その133 投稿日:04/07/10 18:47

その日の夜…WAC隊舎屋上「もしも〜し、翔兄ちゃん?」赤城士長が電話をする相手は3人いる兄の真ん中・赤城翔次郎3等空尉である
(お〜久しぶりだな!正月以来か?)「GWに誰も帰ってこないんだもん、ビックリしたよ〜」(そりゃ仕方ねぇよ、仕事だもん)3人いる兄は誰もG実家に帰ってこなかったらしい
「ま、母さんは海に潜りに沖縄、爺ちゃん達は台湾観光、結局私と健だけだったけどね」(相変わらず元気な年より連中で…)

涼しい風が隊舎の屋上を吹き抜ける「それより兄ちゃん、部下に慕われてる〜?」(…いきなり喧嘩売ってんのか?)当惑した声で答える翔次郎
「いやいや、実はね…」演習中にあった出来事を話す「…部下に嫌われたらアレみたいになっちゃうよ。え〜と…そうそう『裸の王様』!」(オレはパイロットの中では下っ端だからな〜ま、確かに嫌いな上官はいるよ)
「やっぱり?」(どこにでもいるだろう?自分がそうならないように気をつけてるから大丈夫!こないだも整備の連中と合コンに…)
「へ〜」(それより何で俺にかけてくるんだ?純兄ちゃんや三吉は?)「純兄ちゃんは海の底、三吉兄ちゃんは久留米で入校中、連絡なんて取れないよ」
(そっか、まぁ曹士の階級も大変だろうな)「幹部は楽なの?」(そんな事は無いよ!ま〜でも不真面目にやればどの階級でも楽はできるんじゃね?オレはそのつもりはないけどな)
「ま、頑張ってね。1機100億だもんね〜F15って。落としちゃ大変!」(俺たちも一人あたま2億くらいかかって作られたパイロットだからな。要領なんてカマしてたら税金泥棒だぜ)
「やっぱり空はお金あるのね〜ウチなんてコピー代も自腹なのに…」ちょっと待遇の違いに納得のいかない赤城士長であった


470 名前:まいにちWACわく!その134 投稿日:04/07/10 18:48

電話は続く(龍子、幹部になる気は無いのか?)「幹部?う〜ん、まだ何とも…」(陸だと曹士なんて扱い低いだろう?専門職なんてそうそういないんだし…)
「それでもみんな優秀だよ。中には駄目な人もいるけどさ」(いやいや、そう言う事じゃなくて…捨て駒扱いされるのがオチじゃねえ?)
「捨て駒なんて思ってないけど?」(上がそう考えてると思うか?冷たいようだけど曹士はやっぱり組織の手足でしかないんだよ。取り替えの効くな)
「手足ってね〜みんな頭の付いてる人なんだよ!」憤慨する赤城士長(わかってるよ、でも司令部や幕僚の人たちがそう考えてると思うか?)「それは…」
部隊配属になって半年、今までもそういう扱いが無いとは言えなかった(やっぱりさ、組織の頭になるべきだよ。「現場がいい!」って曹学受けたのは知ってるけどな)
「…」(いろんな制度や納得いかない事だって変えるチャンスも出てくるぞ、「正しい事をしたかったら…」)「『偉くなれ』わかってるけど、現場で支える人も必要じゃない?」
(支えるのはお前じゃなくてもいいだろう?それこそ現場で力を発揮できる優秀な人たちに任せたらいい。そこまでの自信あるか?体力面では勝てないだろう)さすが幹部だけあって口がうまい
(現場を知ってさらに偉くなれば無敵だと思うけどな。どうだ?)「そんなの…まだわかんないよ」迷いはある赤城士長
(今ならまだ間に合うだろう?親父か叔父さんに頼めば防大くらいはいけるさ。ま、考えておいた方がいいぞ)そう言って電話を切る翔次郎だった



477 名前:三島もう一つの趣味 投稿日:04/07/11 20:44

外禁もとけ、2次野営も終わり・・・ 久しぶりの週末フル外
金曜日夜 さ〜て、今日は何しよっかな。「そうだ!こんな時こそ!」と車で一人出かけた
そこについたのは、深夜2時 通常であれば、誰もこない場所である。しかし、今日は違っていた


478 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/11 20:51

三島が車で来たその場所とは・・・ 営業時間
昼11時〜13時 夕方16時〜19時 金曜
土曜は深夜1時〜3時 ラーメン おやっさん と小さな看板がある盛り場のラーメン屋である


479 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/11 20:54

実は、三島は隠れラーメン好き 雑誌 口コミ
ネット その他の情報源をもとに、私有車を何時間でも走らせ、一人ラーメンを食べに行くことに時々生き甲斐すら感じていたのだ


480 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/11 20:59

おやっさんのラーメンは札幌ラーメン 寒い札幌
屋台で食べても常に熱い状態で食べれる事を考え太麺、豚骨ベースのスープに炒め野菜を乗せた味噌味
最近、少しずつ話題になっていたのだ


481 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/11 21:03

「らっしゃい!」威勢のいい声 周りの客を見渡すとさすがに皆、顔が赤い
「飲んだあとはここのラーメンだよね〜」サラリーマンが多い店の中にOLと思われる集団もいる「味噌ラーメンとチャーシュウ丼」といい席につく三島だった


482 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/11 21:15

ラーメンが来た うん。悪くない 贅沢を言ったら来るのは冬だな。などと思いながらもくもくと食べる。食べ終わり、車にもどり、三島ラーメンチェックリストを付ける
う〜ん 総合で92点かぁ なかなか100点がでないなぁ


483 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/11 21:19

ふぁ〜 腹いっぱいになったら眠くなってきたな
と言う事で三島は車の中で睡眠をとった


486 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/15 22:12

田浦3曹下宿編 野営も終わり、一人下宿にて飲んでいる。やっぱり寂しい
となると、近くのレンタルビデオ屋よりビデオを一人寂しく借りて来る生活が多いのだ・・・今日は少し違っていた


487 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/15 22:16

田浦の今日の武器 給料が手つかずで5月末まで残っている財布事情
赤城が同じ中隊でなければおそらく・・・な夜を過ごしていた?情事
それらがくみあわさり一人町に消えた


488 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/15 22:24

ラウンジ。ヨシコ ここは、普段、値もはり、中隊や連隊からは嫌われる飲み屋である。ただし女の子の数は多い
そこに田浦は一人飲みに行ってみた。あわよくば・・・最後
女の子を誘う事を夢見て・・・


489 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/15 22:28

しかし・・・何もなく終わったのだった・・・
時は土曜日 午前2時半 一人寂しく下宿に帰る田浦だった・・・
そして月曜日 先任と補給の林の2名の話だった
「田浦〜なんか顔がすっきりしてないぞ〜!」田浦編


491 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/22 20:29

月曜日 (うまいラ〜メン屋が無いなら自分で作るかなぁ)と考えながら朝礼場に向かう三島
(まずは、豚骨で・・・)など深く考えていた。それより少し前の事務室・・・


492 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/22 20:34

なんか曇った顔だなぁ〜などと先任に言われる田浦「・・・」
「まぁ、それはそれとして、2週間後に本管の何個小隊かが検閲だろ、それでなこんなのが来てるんだよ」と先任が差し出した書類
「検閲間における各臨時勤務交代要員差しだしについて」


493 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/22 20:38

田浦は目を通した。「うちからは、糧食に陸士二名ですか。」「そうなんだ、いつもならここで三島って言う名がでるんだが・・・今回はそうはいかないだろ。」
「まぁ、そうですね〜本人はなんて言うか判らないですけど〜」


494 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/22 20:44

「朝礼〜」当直が声をかける。田浦があわてて朝礼場に駆けると一人悩んでいるような三島とならんだ。「おぅ!おはよ!」と声をかける田浦に三島は「はい・・・」と何か元気がない。《何か変だ?悩んでるのか?》


495 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/22 20:49

朝礼が終わり、三島をよく見る田浦。《やっぱり悩んでいるようだな》「おい!三島!今日はどした?」それに対し三島は「いえ、なんでもないんです、ただ、豚骨か鳥か魚どれがいいか悩んでしまいまして・・・」三島の答えに、田浦はわけがわからず、呆然としたのだった


496 名前:専守防衛さん 投稿日:04/07/23 18:43

「多分ラーメンの話じゃないか?」そう、田浦に進言するのは倉田曹長である
《なるほどな、そう言われると・・・》 「なんだ、糧食に行きたくてラーメンの話なのかな?」なんて先任が横から口を挟む。



497 名前:まいにちWACわく!その135 投稿日:04/07/23 21:31

「ふ〜ん、幹部ねぇ…ま、選択肢は多い方がいいとは思うよ」「まぁそうなんですけど…」今日の中隊訓練は射撃予習、休憩中に話すのは田浦3曹と赤城士長だ
「確か防大は21才未満までじゃなかったかな?けっこう年齢的にシビアだよな」「現職の自衛官は23才未満だそうです」さすがに詳しい「まだ何年かあるんですけどね…」
「幹部ねぇ…でも赤城はやる気無いんだろ?」「あんまり魅力を感じないっていうか…父も桧町にいた時はつまらなさそうにしてました」桧町には数年前まで防衛庁本庁があった
「防大が女性を受け入れたのは最近だったよな…」ふと気になり愛用の「自衛隊手帳」をめくる田浦3曹

「平成15年度末の時点で、陸の女性自衛官は全部で7276人。うち5921名が医官や看護関係以外の隊員…」「以外と多いんですね」
「ところが幹部となると1179人中333人しか一般部隊にはいないんだな」「ほとんど医官や看護師ってことですか?」
パタン、と手帳をとじる「その333人もほとんどが会計とかだろうな。少なくとも普通科き章は返上することになるだろう」横目で赤城士長を見る
「パイオニアになれる可能性もあるけどね。まぁ焦って決める事はないよ、流れに身を任せるのも手の一つかもしれないよ」「…」

「休憩終わり〜!」教官の佐々木3尉が笛を鳴らす


498 名前:まいにちWACわく!その136 投稿日:04/07/23 21:31

「もう何度も何度も言ってますが、もう一度言います」前に立つ佐々木3尉が言う
「『射撃は科学、考えれば当たります!』これを念頭に各人ごと練習!」そう言うと全員が2人一組を作り射撃予習を始める

「ええか〜勘とかで射撃が当たるヤツも確かにおる。でもな…」隊員の間を回って指導するのは井上3曹だ
「銃を固定できる姿勢を取って、照準を常に同じに、撃発時には呼吸を止めて、引き金をぶれないように絞る。これだけで絶対当たるんや!」と力説する
「アイツは言うだけあって当たるからね」と田浦3曹「珍しく真剣ですね」さりげなくひどい赤城士長「ま、とにかく練習しようか」「ハイ!」

伏せ撃ちの姿勢を取り引き金を引く赤城士長、それにあわせて田浦3曹がスライドを下げる「…どうだ?2発目以降が狙いにくいとかあるか?」「少し右下に…」「もう少し左肘を前にもってくるんだ」
相手が男なら体を触って姿勢を取らせる事もできるが、WAC相手だとそれもなかなか難しい(セクハラ対策ビデオでもやってたな…)赤城が来る前に見た教育用のビデオを思い出す
「赤城は体が小さいから、銃と体の角度をもっと近づける方がいいな。左肘の上に銃が来るように…」「こうですか?」姿勢を変える赤城士長(ん〜もうちょっと…じれったいなぁ)
この子ならたぶん少しくらい体を触ってもセクハラ扱いはしないだろう…と思ってはいるが、やはりべたべた女性の体を触るのは抵抗がある

「ん〜赤城、もうちょっとケツを前にするんや」そう言って横から手を出すのは井上3曹だ。赤城士長の弾帯をつかみ腰を持ち上げる「…よっと。どうや?」「ちょっと腰がしんどいかも…」「まぁ体格で損しとるからな。少しくらいは我慢や」
そう言って井上3曹は立ち去っていった 「…」「どうしたんですか田浦3曹?」立ち上がった赤城士長が聞く
「ん、いや、何でも…」(アイツずいぶんあっさりと…)少しうらやましい感じもする田浦3曹であった


499 名前:まいにちWACわく!その137 投稿日:04/07/23 21:33

「そんな考え方は逆に失礼やろ?そもそも自衛隊に入る時点でそれくらいの覚悟はあると思うんやけどな」
その日の夕方、食堂で一緒にメシを食う田浦3曹と井上3曹「上の連中は過剰に『セクハラや〜』とか騒ぎおるけどな」
「そういうもんか?」「そうや、だいたい自分は昔から真面目すぎるわ」夕飯の鮭の塩焼きを箸でほぐしながら言う井上3曹
「逆にやで、『セクハラやから』ってちゃんと射撃教えんと戦争になって、その子がへたくそな射撃のせいで戦死したらどないすんねん」
みそ汁を一口すすりうなる田浦3曹「う〜ん、確かに…」「戦死ならまだマシやわな、生け捕りになったらどないな目に遭わされるか…」
ゴクリとつばを飲む田浦3曹「そうだな、俺たちは『軍人』じゃないから、ジュネーブ条約は適用されない可能性があるし…」
旧ソ連は自衛官に対し「ジュネーブ条約を適用しない」と公言してたそうだ
「教育するモンは責任があるんや。射撃に関してはオレは妥協する気は無いしな」「…」

少し教えられた気がした田浦3曹であった



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