「そんな事が…で、その男性は?」「警備に引き渡して警察官が連れて行きました」「そうか、よくやってくれた!いい対応だよ」と喜ぶ宍戸3佐
返事をしようとした大沼3曹よりも早く、木島曹長が口を開く「や〜どうもありがとうございます!」一同(ハァ?)という顔をする
「ウチの連中は私の指導したとおりに動いてくれまして…」(何言ってんだあいつ!)(嘘だろ…)(えぇ〜手柄横取り?)ざわざわとみんな顔を見合わす
宍戸3佐も「ん…あぁ、じゃあ引き続き頼む。私は警察の所まで行ってくるよ」と言葉を濁しその場から去っていった…
「あんなの非道いです!何考えてんですか?」と文句を言うのは赤城士長だ。休憩を取り自販機の前でコーヒーを飲みながら休憩している
「ああいうのもいるってのが自衛隊の現実や、コレばっかりは現実の社会と変わらんな」と冷静な井上3曹「シャバにもおるで?ああいうヤツは…」
「でも…」「赤城の家族は立派なんやろな、赤城本人を見たらわかるわ。いい意味で親の顔が見たいな〜」と笑う「…そうなのかなぁ、父の部下も立派な人たちばかりでしたよ」
「上官の前でいいカッコしとっただけかもな。さっきのジメジメみたいにな」しれっと言い放つ「…」う〜んと考え込む赤城士長
休憩を終わって受付に帰ってきた二人、声をかけてきたのは宍戸3佐だ「や〜赤城士長!さっきはありがとうね」と明るく声をかけてくる
「さっきの男性はリストラされてノイローゼだったらしくてね。家族が警察に迎えに来てたよ」「やっぱり…目がトンでましたもんね」同意する井上3曹
「ああいう仕事ならいつでもOKです!」明るくいう赤城士長「そうか、頼むよ〜」と肩に手を置いて立ち去る宍戸3佐であった
演奏の音楽が受付にも漏れ聞こえてくる、プログラムを見るともうすぐ終わりのようだ「よし、撤収準備!」必要最小限の机やモノを片づけはじめる
音楽祭りが終わる頃にはほとんど撤収も完了していた。最後の客を送り出した後、宍戸3佐が全員を集める
「ご苦労さん!この3日間よくやってくれたね。去年も受付やったけど、今年の受付の人たちはよくやってくれたよ!ありがとう」と全員の前で語る
並んだ隊員の右端にいるのは木島曹長、気のせいかそっちは見ないように語ってるように見える(…気付いてるんかな?ジメジメが何もしてへんこと…)話を聞きながら内心思う井上3曹であった
余った記念品のタオルを貰い高機動車に乗り込む一同。時間はもう夕方になっている(帰る頃は夜中だな…)運転する大沼3曹はそう思う
駐屯地に帰ってきた受付要員を「お疲れっさ〜ん」と明るく出迎えたのは当直幹部の中島1曹だった「明日明後日は休みだろ?代休証用意してるから取りに来いよ〜」
高機動車から荷物を卸し、軽く洗車も終わらせてやっと解散となった「あーお疲れさん、ゆっくり休んでくれ」隊員達の方を見もしないで吐き捨てるようにいう木島曹長
「きょうつけ…別れ」全員が敬礼をしてやっと長い音楽祭り支援が終わった
「あ〜疲れた…」「またジメジメがやらかしたって?」「そうなんですわ〜アイツにはやられますわ」陸士の営内班でゲームをしつつ話すのは井上3曹と飯島士長だ
「またジメジメ伝説が増えたってわけだ」と笑う飯島士長「ロクな伝説や無いですけどね」コントローラーを操作しながら言う二人
「俺らはええんですわ、ああいう連中がゴロゴロおるのも知ってるし…でも若い連中にはしんどいでしょう」「赤城とか?」「そうですわ」
画面の上では3Dのキャラが格闘技の技を繰り出している「ま、いいじゃん。そのうち現実と戦うようになるだろ〜…ほりゃ、KO!」「あ〜しまった…」
「さ、現実と戦って貰おうか。何人いるかな…」営内班にいる陸士の数を数え始める飯島士長「4人か、お前ら井上3曹がジュースおごってくれるってよ〜!」
それを聞いた陸士達が群がってくる「いただきま〜す」「オレ、コーラを…」「ボスのカフェオレ!」飯島士長は「午後ティー、速攻で勝ってこいよ」
「あ〜あ、帰ってきて早々に500円の出費か…じゃあ行ってきますわ」隊舎横の自販機にとぼとぼと向かう井上3曹であった
同じ頃、WAC隊舎の自室に帰ってきた赤城士長「疲れた…」衣納に詰めた荷物を出すのもおっくうだ。早くベッドにダイブしたい気持ちを抑えつつ、制服などをロッカーになおす
「お疲れ〜…なんか疲れてるね?」中村3曹が入ってきた「何かいろいろありまして…」「ふ〜ん、まぁお疲れ様!」ポンと肩に手を置く「明日明後日と代休ですよ〜」と少し嬉しそうに言う
「あ〜そうそう、言っておく事が…」と中村3曹「?」荷物をなおし一息ついてる赤城士長は、怪訝な顔をして中村3曹を見る「月末に2人、新隊員が入ってくる事になったよ」
「新隊員?後期教育ですか?」「そうそう」「本管?」「いや、重迫。またどんな子が入ってくるかわかったら教えるね〜」「そっか、新隊員か…」もうそんな時期なんだな〜と実感する赤城士長だった
隊舎内の自販機で缶ジュースを買う赤城士長。プルタブを引き上げると炭酸の抜ける音が聞こえる「ふぅ…」ソファーに座り一息
(そっか〜新隊員か…)と物思いにふける(ついこないだまで中隊で一番若い隊員だったのにな…)何か作業があるとかり出されたりする生活ももうすぐ終わりである
(でもなぁ…)自分が人にモノを教えられるようになったのかな?とも考える。しかも来年の今ごろは陸曹になってるのだ(大丈夫かな…)やはり不安はある赤城士長だった