まいにちWACわく!その17(#2野営:最悪三兄弟編その2)

437 名前:まいにちWACわく!その120 投稿日:04/07/02 22:57

「『ジメジメ』こと木島曹長、『ジ・エンド』こと遠戸2曹そして…『オバQ』こと小畑士長…」一息ついてビールを一口飲む田浦3曹
「以上3名を1小隊の『最悪3兄弟』もしくは『税金泥棒3兄弟』というんや」後を引き継いだのは井上3曹だ
演習も2日目になり、今晩は廠舎で小隊の飲み会だ。弾薬箱を椅子にして、テーブル代わりの衣装ケースの上にはビールにおつまみ等々が並んでいる
「ビールにおつまみ…レモン酎ハイは?」「ハイ!私です」赤城士長は女の子らしくビールではなく酎ハイだ
「さ、乾杯しますか」小隊長の佐々木3尉が言う「何に?」意地悪そうに片桐2曹が突っ込む「それは…行軍頑張ってねってことで!かんぱ〜い」
ビールの缶があちこちでぶつかって3小隊(+中隊本部1名)の宴会が始まった

「そういや田浦、本部の方はいいのか?」「昨日飲み会しましたからね、仕事もありませんし…」「ま〜ま〜いいやないですか!」そう言うのは井上3曹だ

「自衛隊には陸海空あわせて25万人の隊員がいるんだから、上から下までいろんな人がいるんだよ」さっきの話の続きを始める田浦3曹「組織である限り仕方ないんだけどね」
「や、でも皆さん何か特技があるんじゃ…」「いや、無いな。この3人のエピソードを語り始めたら朝まで続くよ。聞きたい?」「ダイジェスト版なら…」


438 名前:まいにちWACわく!その121 投稿日:04/07/02 22:58

「そうだなぁ…まずは木島曹長からだね」そう言って田浦3曹は一口ビールを飲む「あの人は元々連隊本部の1科にいたんだ」
「1科?」「そう、庶務とか人事の担当だね。あの人は最悪だったらしいよ…詳しくは当時連隊長伝令だった大沼3曹に」そう言って隣で飲み会をしていた迫小隊・大沼3曹に話を振る
「ん?ジメジメの話か…思い出したくね〜よ」大沼3曹は少し広がった額の汗をぬぐって答える「ま〜ま〜そう言わずに…」するめいかで買収する田浦3曹
仕方ないな…という顔をして大沼3曹が体を向ける「ま〜1科でも評判は悪かったな。幹部や上級者にはヘコヘコ、連本や各中隊の下級者には高飛車で…」そう言ってするめいかを囓る
「中でも書類関係に細かくてね。文章の発簡なんかも1科の仕事なんだけど、文書の書式が5mmでもずれてたらネチネチと説教たれてやり直しをさせるんだよ」「それは…真面目だとか?」赤城士長の発言に首を振る大沼3曹
「自分で作らないといけない書類をオレとかにふって、できあがったら自分が作ったように科長とかに持っていくんだよ。で、書類で何か言われたらこう言うんだよ」そう言って木島曹長のモノマネをして言った
「『いや〜大沼に作らせたんですが、やはりミスがありましたか。指導しておきます!』…ってね」フンと鼻を鳴らしビールを飲む
「『指導』って言葉は便利だよな。上官は何をしても『指導』と言えば無罪放免なんだから…」そう言ってため息をつく大沼3曹

「と言うわけさ、わかった?」赤城士長に聞く田浦3曹「その後連隊長の推薦もあり師団司令部へ転属。でも仕事自体できる訳じゃないから2年で追い出されて今に至る…てわけさ」
「…そんな人もいるんですね」ビックリしたように言う赤城士長「まだまだ続きはあるよ、次は遠戸2曹のエピソードを…」


439 名前:まいにちWACわく!その122 投稿日:04/07/02 22:59

「遠戸2曹と片桐2曹は新隊員同期なんだよ」そう言って片桐2曹に話を向ける「…同期って言うな」不本意そうな片桐2曹
「オレは入隊時ですでに20代半ばでな、アイツは高校出て1年フリーターをしてたんだよ。ちょうどバブルの真っ最中だったな」そう言って遠い目をする
「あの時の新隊員は凄かったぞ。右と左がわからなかったり自分の名前が書けなかったり…ヤンキー崩れもゴロゴロいたな。今の状況からは想像もできんだろ?」
うんうんとうなずく赤城士長「ま、その中ならアイツも普通だったわけだ。さすがに最初の実弾射撃で連発させたのにはビビッたが…」
「64式でですよね?普通は間違えないでしょう?」田浦3曹が言う「普通じゃないって事さ、まぁ他にも伝説はあるわけだが…」そう言ってニヤリと笑う
「行軍中に『足がちぎれる〜』って泣き出したり、ストーブにガソリン入れて危うく天幕を全焼させそうになったり、まぁとびっきりなのは…」グビッとビールを流し込む
「陸教で機関銃を入れたまま掩体を埋めた事かな?」ブッと酎ハイを吹き出す赤城士長「機関銃!?」
「ま〜時間が無いってせかされたんだろうな。で、パニクって機関銃を埋めちゃったと…」3小隊の面々も笑っている「ビックリしたやろな〜」と井上3曹
「オレはアイツより8期後に陸教に行ったんだが、その時点でも伝説になってたな」小隊の面々も口々に「オレも聞いた」「オレも〜」と騒々しい
「なんで陸曹になれたんですか?」もっともな疑問を口にする「そういうヤツでも陸曹になれる時代だったのさ…」そうため息をつく片桐2曹であった

「最後は小畑士長、彼はデカいだろ?」「ええ、180以上ありますね」「だから目立つんだよな〜アイツに関しては…同期の鈴木に語ってもらおうか」


440 名前:まいにちWACわく!その123 投稿日:04/07/02 23:00

「う〜ん…そんなに面白いエピソードは無いですよ」悩んだように言う鈴木士長「まぁせいぜい『半日の便所掃除』くらいですか」
「半日?」「うん、教育隊で点検のあった日にみんなで手分けして部屋とか公共場所の掃除をやってたんよね」どんな教育隊でもある話、だが…
「便所とか乾燥室、廊下とかを掃除してね。午前中で全部終わって班長が点検してた時に小畑がいない事に気が付いたんだよ」「いなかった?」
「うん、で、探してみたら…」一旦言葉を切る「朝イチで終わらせたはずの教場横の便所を一人で延々やってたのさ」教場は生活隊舎から少し離れている
「『何でこんな所にいたんだ〜』って聞いたら、『誰も〜やめろって〜言わなかったから〜』だって…」口まねが小隊に大受けした。全員大爆笑だ
「半日も…」「オレならお断りだね〜」口々に小隊の隊員達が言う

「ま、他の中隊とかにも伝説の隊員はいるんだがな。この3人が我が中隊の『3兄弟』さ」そう言って笑う田浦3曹「人によっては『妖怪』とか『特殊部隊』とか言うんや」後を引き継いで井上3曹が言う



444 名前:スキップ・ビート 投稿日:04/07/03 14:00

番外編・三島士長のマイペース

皆が宴会で盛り上がる中、三島は中隊本部の廠舎をシレっと抜け出していた。#2野営での三島の役職は「中隊本部通信手」であった。生来の人見知りしない性格、妙に気が利く所を買われて中隊長及び本部全般の伝令兼通信陸曹補佐として参加しているのだった。先程も持って来たウクレレで「ホテル・カリフォルニア」を披露して本部のオジサン連中、特に中隊長に大ウケしていた。宴会も半ばを過ぎた頃を見計らって、三島は外に出てきていた。とりあえず便所に向かうと、ちょうど河原が小便をしていた。隣の便器につくと
「あ、オス!」と言ってヒョコっと頭を下げてくる。
「おう、河原くん。宴会はどうかな?」 三島が小便を始めると、河原は手を洗いに行きながら答える。
「いや〜、ウチの小隊はよそと比べて食い物や酒がもの凄く充実してますよ!」
その赤ら顔は楽しそうな表情だ。 「三島士長も遊びに来て下さいよ!」
三島は手を洗いながら 「まァボチボチ遊びに行くわ」
曖昧に答えて便所の外で別れた。三島は自分の小隊はちょっと苦手だった。普段でも「吐くまで飲む迫小隊」などと言われている連中が、ヤマに来ておとなしくしているワケがない。酒を飲まない三島にとっては、小隊に顔を出すのはあまり気の進む話ではなかった。ポケットに手
をつっこんで歌を歌いながらブラブラする。 「♪し〜あ〜わ〜せ〜を訪ねて〜 わ〜た〜しは〜行きた〜い〜♪」ちょっぴり孤独を感じたので電話をかける。相手は中央音楽隊の宮野ちゃんだ。彼女は「ビートルズ信者」というのが共通点だった。しかし6回電話を鳴らしても出ないのであきらめた。青木や上田に電話しようかとも考えたが、なんとなくやめる。ふと独り言を呟いてみる。
「男は時に、孤独でいい・・・」 自分で言って笑ってしまった。歌の続きを歌いながら本部に向かう。
「♪イバラ〜の道も 凍てつ〜く夜も 二人〜で渡っ〜て行き〜た〜い〜♪」

こうして演習場の夜は更けていくのであった・・・

番外編、不定期につづく



446 名前:まいにちWACわく!その124 投稿日:04/07/03 21:55

飲み会はまだまだ続く「木島曹長や遠戸2曹はともかく、小畑士長は何で入隊できたんですかね?」もっともな疑問を口にする赤城士長
「どんなに試験の競争率が高くても、やっぱりああいう人間は入ってくるものさ。曹学だって…」言葉を切る田浦3曹「いたでしょ?」
「まぁいましたけど…」「そういうもんやって、入れる側のえら〜い人達は全然考えてないからなぁ」そう言って笑う井上3曹
「えら〜い幹部の皆さんかて変人多いで、前にどっかの特科の大隊長が露天風呂覗いて捕まったって聞くしな」
「…」家族のほとんどが幹部自衛官の赤城士長は複雑な顔をしている。その表情に気付いた田浦3曹が「…おい、井上…」と肘で突く「ん?何や〜」鈍感な井上3曹は気付かない
横で聞いてた片桐2曹が気を遣ってフォローを入れる「ま、組織っていうのはそういうものだよ。米軍から北朝鮮軍まで、国連から町中の中小企業まで、全員がスゴイ組織なんてそうそう無いさ」
「特殊部隊とかはどうなんですかね?」田浦3曹が聞く「ああいう所は選考の段階でかなり削られるからな、それでも『不良品』が混ざる事はあるだろうな」
「不良品って…」「工場とかの検品と一緒、必ず不良品が出るものさ。どんなに慎重にやってもな」片桐2曹は工場勤めの経験もある

「ところでその1小隊は何してるんですかね?」鈴木士長が言う「宴会するって言ってたよ」とは田浦3曹だ「若い連中は嫌がってたけど…」
「そりゃ〜イヤやろ、酒がまずくなるわな」と井上3曹「それもあるけど…」言葉を濁す田浦3曹「どうしたんや?」
「ジメジメのヤツな、若い連中から半強制的に宴会代取ってるんだよ、小隊会費って名目でな」「そうなの?」佐々木3尉が聞く「えぇ、で、若い連中は下働きとかでそんなに飲めないでしょう?」
「ん〜それはいかんな…」唸るのは片桐2曹だ「自分の飲む分だけ金出したらいいのにな」「かなり若い連中に鬱憤がたまってるみたいで…」ため息をつく田浦3曹
「そういうのを見るのがイヤだからこっちに来たんですよ」と田浦3曹、中隊本部は1小隊と同じ廠舎だ
「中隊本部はどうしてる?」「三島が盛り上げてるので問題ないですね」その三島に「後は頼む!」と言って逃げてきた田浦3曹であった


447 名前:まいにちWACわく!その125 投稿日:04/07/03 21:56

「ま、あれだな。『会社は選べても上司は選べない』ってやつだな」とは小野3曹だ。足下にはビールの缶が10本ほど転がっている
「お、何だ小野?オレは選びたくない上司だったってのか〜?」そう言って小野3曹にヘッドロックを噛ます神野1曹
「アイテテテ…いやいや、大満足っす!3小隊バンザイ!」ヘッドロックをふりほどきながら言う小野3曹。みんなも一斉に笑う
「じゃ、我がすばらしい3小隊に…乾杯!」佐々木3尉が〆の挨拶を行い、飲み会は終了となった

WACが泊まる廠舎に向かう赤城士長、外に出ると月がまぶしいくらいに輝いている
部屋に帰ると通信小隊の中村3曹、衛生小隊の橘1士がいた。二人とも雑誌を読んでいる「ただいま〜」そう言ってドアを開ける赤城士長
「おかえり〜飲み会どうだった?」「楽しかったよ、ユキは行かなかったの?衛生は飲み会してないのかな?」「1時間前に終わったよ〜」
寝具を出して寝る準備をする3人「明日歩くのは赤城だけね」と中村3曹が言う「えっ、そうなんですか?中村3曹は?」
「私はCPで無線手、一晩中ず〜っと無線機の前…」つまらなさそうに言って笑う「私はアンビ(救急車)に乗って最後尾を前進するよ〜」とは橘1士だ
「あら〜寂しいなぁ…」とぼやく赤城士長であった


448 名前:まいにちWACわく!その126 投稿日:04/07/03 21:57

翌日の午前中は行軍準備、背のうの整理や武器の脱落防止などをしている「背のうの荷物は重いモノを上に…」「雨はどうかな?だれか天気予報知らないか〜?」
井上3曹が携帯で天気予報を見る「晴れ時々曇り、降水確率30%か…微妙やな」それを聞いた神野1曹「雨衣準備しとけよ〜」
小銃の部品が落ちないように、各部品に黒テープを貼っていく「部品がポロポロ落ちる武器なんて怖いさ〜」とは具志堅士長だ「最初から落ちない用に作っとけってんだ」とは鈴木士長だ
雨の可能性があるので、銃口にビニール袋をかぶせてテープで巻く「ビニールあります?」赤城士長が言う「そこの箱にあるよ」と片桐2曹
「松浦、知っとる?」新兵(補士)の松浦士長に井上3曹が話しかける「何ですか?」「米軍とかは砂漠で埃が入らんように、銃口にコンドーム巻くらしいわ」
ちょっと引く松浦士長(…赤城がいるのにそんなデカい声で…)と目で合図する、が井上3曹は気付かない「そんなんを普段から持ってるってのがすごいわな〜」と大きな声で言う
後で聞いていた赤城士長、だが動じず「でもコンドームってネバネバしません?」と平気な顔で井上3曹に話しかける
「!」すっかり赤城士長の存在を忘れてた井上3曹「え、あ、そうやね〜」逆に女の子に言われると照れる井上3曹であった


449 名前:まいにちWACわく!その127 投稿日:04/07/03 21:57

昼からはゆっくり休憩(仮眠)そして1700,夕飯の時刻になった。みんな少し多めに食事を腹に入れる
1800に集合、岬2尉が全員の前でコースの説明を行う「SPは廠舎の入り口、演習場を出て部外の道を歩く。民間人とのトラブルは避けるように!」いつも言われてることである
「大休止は0100、村役場駐車場前だ。おにぎりの炊き出しがあるから期待しておけ。最後の2行程は演習場内を歩く、RPは同じく廠舎入り口…だが、我が中隊は予定通りこのまま訓練に入る!」
行軍終了後、演習場の一部を使いゲリラ掃討のための陣形を作る訓練を行う…それが今回の演習の目的だった「質問は?」無し「では中隊長…」岬2尉が引っ込み中隊長が前に出る

「一見いい天気だが、いつ雨が来るかわからん。準備はしておけ!ちょうどいい気温で月もまん丸だ」みんな空を見上げると、ほぼ満ちた月が空を照らしている
「いつも言ってる事だが今回も言う、脱落率0%を目標とする!以上」中隊長の話も終わり、中隊は行軍隊型に移行する

きょろきょろと辺りを見渡す赤城士長「どうした?」通りかかった田浦3曹が聞く「いや、例の3人はどこかな〜と…」「あの3人なら歩かないよ」「?」
木島曹長は安全係、ジープでよその中隊に付いていくわ、遠戸2曹とオバQは不寝番&廠舎監視、適材適所さ」肩をすくめて歩き出す田浦3曹であった


450 名前:まいにちWACわく!その128 投稿日:04/07/03 21:59

演習場の砂利道をモノ一つ言わずに数百名の人間が歩く、足音が山に響きかなり不気味だ。夕日を浴びながら演習場の外に出る
アスファルトの道は足の負担が大きい反面歩きやすい、月も明るく足下も見やすい。そして第1休止点に到着した
ここでも無駄な声は発さず、各人が休憩しやすい体型を取る「…赤城、靴ひもはゆるめた方がいいぞ…」後から神野1曹のアドバイスがあった
「靴擦れ等無いですか〜」衛生の救護員が各隊員に声をかける、彼らは休憩時間も忙しい「衛生の人たちは大変ですね」小さい声で前の鈴木士長に言う
「あぁ、普通科衛生は衛生科でも人気無いらしいよ」衛生小隊の隊員は教育を衛生隊で受ける、その時点で普通科を希望する人間は少ないらしい

行軍はまだまだ続く、ただひたすら歩くだけの時間…歩きながら寝る人間もたまにいる。ときどき前の人間にぶつかる音が聞こえる
そんな時…「雨?」少し雲が出てきて、ポツリと顔に雨が当たるようになってきた「…中隊長」先頭を歩く中隊長に声をかける岬2尉「わかっとる、次の休止点までは?」
すぐ後にいた田浦3曹が防水加工をした地図を広げる「あと約2kmですね、半分です」
「…よし、現在地で」「わかりました」そう言って岬2尉は手を挙げて中隊を止める「雨衣着用、5分以内!」すぐ後の隊員に伝え、1列に長く伸びた中隊に逓伝される

中隊が雨衣を着けている間、1コ中隊が追い越していった「抜かされたけどいいのかなぁ…」と赤城士長「びしょ濡れになったら体力の消耗が激しくなるからね」とは鈴木士長だ

5分後…雨は小降りになってきた「正解でしたね」と岬2尉「もちろん」中隊長がニヤッと笑い言った「よし、出発だ」


451 名前:まいにちWACわく!その129 投稿日:04/07/03 21:59

雨は2時間ほどで止んだ「にわか雨でしたね」岬2尉が言う「大休止点まであと少しです」とは田浦3曹
「よし、大休止点で雨衣を脱ごう」と中隊長

村役場前の大休止点に到着した「出発は0200!」岬2尉が指示を出す「マメ等ありますか〜」ここでも救護員は大活躍だ
おにぎりが各隊員に配られる「おいしいぃ〜」赤城士長もがっつくように食べている「食べられるだけマシだな、食欲もなくなったら危ないぞ」声をかけるのは神野1曹だ
「でも少し疲れました…眠いですよ〜」「もうすぐ夜も明けるからな、明るくなったら動きやすくなって体力の消耗も減る、それまで頑張れよ」そう言って他の隊員の様子を見に行った

0200…「各人、装具点検!」出発前に武器や装具を落としていないかの点検をする「異常なし」各小隊から報告が来る「よし、出発!」
夜明け前がもっともくらい時間である、月明かりがあってもさすがに暗い(眠い…)睡魔が赤城士長を襲う…ドンッ!前を歩く鈴木士長にぶつかった
「あ…スイマセン」ペコリと頭を下げる「寝てた?」少し笑う鈴木士長「何か考えたほうがいいよ」小声でそう言って前を向く
(何かか…何かって?)考える赤城士長(そう言えば田浦3曹は「筋を覚えた映画を頭の中で上映する」って言ってたなぁ)
何か映画を思い出そうとする赤城士長(眠気の覚めそうな映画…プライベート・ライアンとか?セカチューは…逆に眠くなりそう)
いろいろ考えて眠気も覚めてきた。辺りも少し明るくなってきている


452 名前:まいにちWACわく!その130 投稿日:04/07/03 22:00

明るくなってきた頃に演習場が見えてきた。隣接する駐屯地の給水塔が朝日を浴びて輝いている
演習場を少し歩き、廠舎に向かう道を歩く。が、中隊はさらに訓練を実施するのだ「我々はこっちだ」廠舎の前を通り過ぎ、訓練場所に向かう
(行軍してから訓練なんて…教育隊は甘いところもあったんだ)と思う赤城士長。周りの先輩方は当たり前のような顔をしている

訓練場所の西の台に到着、各小隊ごと背のうを集積して分散警戒をする「各小隊長は中隊長の位置まで」命令下達のため佐々木3尉も前進する
木にもたれかかり銃を構える赤城士長、ところが…(…あッ!)気付いたら銃口が地面に刺さっている(眠いぃ〜な〜)改めて銃を構える
「赤城、コレやるわ」その時井上3曹が声をかけてきた「?」渡されたのは眠気さましのガムだった「あと少しやで〜」「あ、ありがとうございます」ペコリと頭を下げる

佐々木3尉が帰ってきた「小隊は西の台の東側、この道路に沿って各人間隔10mで展開する。各班長は…」細かい指示を出す「それから荷物監視に1名残すんだが…」そう言って小隊員の顔を見回す
「誰か希望者は?」ゆっくり休めるのは確かだが、この場で「休みます!」とはなかなか言えない「じゃあ…あ」かぎしちょう、と言おうとして佐々木3尉は口をとじた
(WACだからって気を遣う必要は無いか…むしろどこまでできるか見てみるか)そう思い直した佐々木3尉「松浦、残っておいてくれ」と指示を出した

各小隊が1kmほど先の展開位置に向かい走り出す「たまには高機動車に頼らない事も必要だな〜」と言うのは片桐2曹だ。3小隊も展開位置に到着
手信号で各班ごと1列の横隊になって展開を始める。さすがに赤城士長も息が上がってる「大丈夫か?」声をかけるのは小野3曹、無反動砲を軽々持って走っている
「ハァ…は、はい」少ししんどそうだがまだいけそうだ「よし、あと少しだ!」


453 名前:まいにちWACわく!その131 投稿日:04/07/03 22:01

各小隊が展開し、いつでも前進できる体制を取った時「状況終了〜」の声がかかった「各小隊ごと人員装具の異常の有無を報告!」
3小隊も佐々木3尉の元に集まる「健康状態…異常なし、武器・装具…異常なし!いいね〜」

訓練を終え廠舎に帰ってきた中隊の面々。ふっと見ると小畑士長が鼾をかいてぐっすりと熟睡していた
たまらず田浦3曹が「こら〜!オバぁ!行軍もしてないのに寝るんじゃねぇ!」と珍しく雷を落とす
「武器手入れは昼から、それまで仮眠時間とする…別れ!」岬2尉の指示が終わり、やっと眠れる時間となった
ふらふらと廠舎に向かう赤城士長「大丈夫〜?」と声をかけてきたのは橘1士だ「も〜ふらふら…何してたの?」「なんかねぇ、1コ中隊だけ熱発患者がたくさん出て…」
どうやらあの抜かしていった中隊のようだ「雨衣着てなかったから、風邪もひくよね」「それだけじゃなくて…なんか道に迷ったらしいよ」小声でこっそりと言った橘1士
「道に迷った?」「うん、運幹が間違えたらしいよ」「…」片桐2曹の「不良品」発言を思い出す(幹部にもいるのかな…?)


454 名前:まいにちWACわく!その132 投稿日:04/07/03 22:01

昼からの武器手入れも終わり、演習も最後の晩を迎えた「飲み会は…しないか」3小隊に顔を出した田浦3曹が言った
「そっちは?三島が盛り上げてるんだろ〜?」「らしいですね、でも今晩はみんなダウンですね」神野1曹に言う田浦3曹
「そういや田浦?例の道を間違えた中隊、安全係は…」「えぇ、木島曹長です」ため息をつく田浦3曹「ジープの助手席でぐっすり…だったそうです」「あ〜あ…」
「他中隊から来てた陸士のドライバーの子に責任を押しつけようとして、少し揉めてるらしいですよ」「そりゃ〜そこの中隊も黙ってられんだろう?」「先任が頭を抱えてました…」

翌朝…廠舎の清掃も終わり、出発の時間となった「どう、疲れた?」出発までの時間に赤城士長に声をかける田浦3曹
「少し筋肉痛が…マメも痛いです」そう言って笑う赤城士長「でも行軍しかしなかったような気がします」
「そうさ〜野営って言ってもこういうのも多いよ。いつも状況にはいるわけじゃないし…でも次か7月には状況にはいるからね」「ハイ!楽しみにしてます」
(楽しみって…)苦笑いする(若いっていいねぇ)そんなに年でもないのに思う田浦3曹であった「そろそろ出発だぞ〜」誰かの声が聞こえた

駐屯地に帰り事務所に顔を出す本部の面々「よぅおかえり〜」倉田曹長が出迎えてくれた「何か…」「ありました?」先任と田浦3曹が同時に言う
「いや、何にも。平和なもんだったよ」そう言って笑う倉田曹長であった



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