点検奮闘記!
58 名前: 閑話休題:点検奮闘記!その1 投稿日: 03/12/22 19:01
桜も散って新緑萌えるある日のこと、連隊に衝撃的なニュースが飛び込んで
きた。
「防衛庁長官来隊!」予定では約3週間後とのこと。
さぁ連隊長以下各科幕僚たちは上を下への大騒ぎ、翌日からは清掃の嵐が始
まった。
汚い倉庫の壁を塗り替え(予算は各隊員から徴収)放置されてたツバメの巣
を撤去(中の小鳥は焼き鳥になったという噂…)1科の某幹部は国有財産の
桜の木の枝を「見苦しい」とバッサリ(後で部下のせいにしようとして大顰
蹙を買う)パニック状態は中隊にもおよんだ。
各部屋を見回った中隊長「テレビを隠そう」すべての部屋からテレビが撤去
された。営内者からは反発の声、しかし神の光臨の前にはすべての理屈が無
視された…
さて長官来隊を明日に控えた晩、唯一残された当直室のテレビから流れてき
たのは「某国が弾道ミサイルを発射」のニュース速報。その1時間後、部隊
当直から流れてきたのは「長官来隊中止」の一報…
そのあと1週間は隊員全員が灰になってしまったとさ…メデタシメデタシ
59 名前: 閑話休題:点検奮闘記!その2 投稿日: 03/12/22 19:16
新しい師団長がなぜかウチの連隊を初動視察の対象に選んだという話が
1科から流れてきたのは、その点検が行われる3日前の事だった。
「1科はいつもこれだ!」憤慨する隊員たち、まぁもとはといえば師団
司令部の1部が遅いだけなのだが…命令とあれば仕方なし、訓練をすべ
て中断し、各施設の一斉清掃が始まった。
師団長は「ありのままの部隊が見たい」と希望、そんなの見せれるわけ
がない。まぁそこそこキレイになり、視察受けの態勢は整った。
当日朝、1科庶務から「隊舎の窓のアミドは全部西に寄せよ」との通達
があった。「通達とか依頼って命令と変わらないよなー」と言われたと
おり西に寄せる。
当日午前前段、1科長から「何でアミドを東側に寄せてないの?」との
電話が先任にかかってくる。まぁ幹部の言うことだから…と東にアミド
を寄せる。
ラッパが鳴る少し前、今度は副連隊長から「なんでアミドを窓の真ん
中に寄せないんだ!常識だろ!」とのお言葉、常識と言われては仕方無
い、言われたとおりに真ん中に寄せる。
そして事前の連隊長点検「なぜアミドを端に寄せてないんだ?」…
その瞬間、その場に居た副連隊長・1科長以下イヤーな空気が流れた事
はいうまでもない。そして、隊員たちがその後1科をどういう目で見る
ようになったか、改めて説明する必要は無いだろう…
60 名前: 閑話休題:点検奮闘記!その3 投稿日: 03/12/22 19:31
年末点検を明日に控えたその日の午後、命令会報から帰ってきた先任は
なぜか浮かない顔だった。訓練陸曹が尋ねる「何かあったんですか?」
先任「乾燥室から洗濯物を無くせ、だと」
訓練「乾いてて放置してあるやつですか?」
先任「そう質問したんだ、そしたら副連が「全部だ」と言いやがってな」
訓練「乾いてないのも、って事ですかね?何のための乾燥室なんだろう…?」
仕方なく営内者に命令する、みんな首をかしげて「?」という顔をして
いる。しかし命令なら仕方ない、当日朝には乾燥室はカラになっていた。
そして点検が始まる、各部屋を回る連隊長に副連隊長以下幕僚たちがつい
て回る。連隊長が開放された乾燥室の前で足を止める
連隊長「乾燥室なのに洗濯物が無いが…隊員たちはちゃんと洗濯してるのか?」
中隊長「やらせております。点検のため昨日すべて回収させました」
連隊長「それでは乾燥室の意味が無いな、誰の指示かね?」
中隊長「副連隊長ですが…」
副連隊長「自分は乾いていない洗濯物まで回収しろとは言っておりません!」
………
それを聞いていた先任&訓練は思いっきり呆れかえった。不明瞭な命令
を下しその責任を負おうとしない、こういう士官のせいで日本は戦争に
負けたんだなぁ…と、改めて実感する先任であった。
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