三島 候補生であるがゆえ 〜恋愛〜 苦しみ編

怪事件のドタバタも忘れるような忙しい日々の中… 田浦三曹は、ある事に気付いていた。そろそろ… と言うより今日か…
「先任、三島と田中が帰ってきますよ」
先任はパソコンの画面の横からヒョコと顔をだし「あぁ そうだな」さらに続けて「帰って来たら代休にしようか。」と言ったきり、営内班長手簿をパソコンで清書する作業に奮闘していた。「すこしはあの二人もたくましくなったかな?」そう言うのは、倉田曹長
「田中は嫁持ちだから、頑張ってんだろ 三島は…」と言葉をつまらせながら中隊長が事務室に来る
先任の佐藤准尉は「あの二人は少しの間、お疲れの意味をこめて代休にさせますよ」とまたパソコンの手を休め、中隊長へ進言する。「勤務に支障なければそうしてくれ」と中隊長
そんな会話の中、「田中候補生」「三島候補生」「ただいま、原隊復帰しました!」と二人気合いの入った声で事務室へと入ってきた

2005/11/14 (月) 23:29:44

おぉ!おかえり と暖かい言葉で出向かいを受ける二人。自衛隊にも時々こんな癒しがあるから、中々のもんである。
倉田曹長は「早速だが、人事資料あるだろ。すぐに提出してくるから今出せるなら出してくれ」とせかすように話をしている。
さっそく、荷物の所に行き、人事資料を取り出す二人。三島の人事資料の茶封筒の下には、努力賞と書いた賞状と…お笑い演芸最優秀賞
「ところで これは?どうだったの?」賞状を貰う手振りで聞いてくる田浦三曹に田中はう〜ん
学科は頑張ったけど軽火器だと体力の見劣りがあったからねぇ、ともっともらしい理由を話している。
三島は常にニヤケっぱなし。その表情に気付いた田浦は、「まさか、三島!再度の奇跡か?」と期待半分
何ほざいてるんだ?て顔半分の眼差しをしている。三島は鼻唄まじりで「ふふ〜ん 凄いすよ〜」と言いながら、賞状を前にバーンと付き出す。
その時事務室にいた誰もが おぉ! と驚いたのも一瞬 お笑い…の文字に「なんだ?」と冷たい目で三島を見る。
田浦も「だよな。それが俺の知ってる三島だよ」と笑いながら言っている。三島は「ところがですよぉ 奇跡はあるもんでしてねぇ」と一枚目の賞状をペロッとめくる。今度こそ正真証明 努力賞 と書いた正規?の賞状が出てくる。

2005/11/15 (火) 09:39:19

えぇっ! おぉっ! さすがに驚きの表情を隠せない本部の面々 先任もさすがにそれには驚き「中隊長! おい田浦 早く ほらはやく中隊長だよ!ほら」と少しばかりとんちんかんなセリフ
田浦三曹も「えっ は、はい 先任が中隊長なんですね」とか…
いくどの試練を乗り越えた中隊本部の面々もこの賞には驚きと戸惑いを隠せないでいた。そりゃそうだった。本人曰く、候補生の一次?あぁ、前の日覚えた所がほとんど出た、と言い他の営内者からの証言もある
運も実力とは言うがまさかまさかの本命隊員の服務事故
体力検定の為、本人はもちろん…連休を潰してまで付き合った本部の苦労
候補生になっただけで最強の運の持ち主、運をすべて使い果たした男と囁かれた三島がいま、賞状を持ってひたすらニヤケているのだ…
「田中 三島 ご苦労さん!」いつのまに だろう。中隊長が事務室に顔を出していた。「三島 良くやった!たとえ努力賞でも陸教の教官達がお前を認めたのだ!これからは胸を張ってしっかり陸曹と知識と技能を研けよ!」と喝を入れる
「了解!!ビシッ」三島は無帽にも関わらず…挙手の敬礼をした…
しかも口から「ビシッ」って……
先任は「フゥ〜 」と深く溜め息をついて「まだまだだなぁ これからバシバシ鍛え直さんとなぁ」と言いさらに深く溜め息をついた

そして… 中隊長 連隊長へ申告を済ませ 代休の処置を取り…代休となった

2005/11/15 (火) 20:55:02

「うん そう。代休になったんだよ。えっ?疲れ?大丈夫だよ。陸教帰りに疲れなんて言葉ないよ。それに彼女に会うと思うとテンションあがるよ。て、事で今から会いに行くよ 青木ちゃん」
そう 三島はこの代休を利用し青木とずっと会おうとしていた。勿論青木は、勤務である。しかし、1700からの外出は大丈夫と言う考えなんだろう しかし青木は普段から18時 19時まで仕事をするのが当たり前だった。司令部勤務って…疲れるなぁ これが青木の本音であったが、三島が毎日夕方から会いたい と言ったこの電話からやはり表情は明るかった。

2005/11/15 (火) 21:05:52

19時 師団司令部が所属する某駐屯地周辺駅… 一人、いつもよりテンション高めの女がいた。青木三曹… ワクワクしていた。目一杯お洒落をして、待ち合わせの駅で一人まっている。

2005/11/22 (火) 22:08:09

「青木〜」「青木〜治美〜!」
青木を呼ぶ声が、駅の人混みの中からかすかに聞こえる。
青木は はっ!と気付く… 聞こえてくるのは、男の、三島の声と違う。人混みをかきわけるように来たのは…
白山三曹。青木と三島の恋のキューピット?なのである。
白山は急ぎ足で青木の隣に来る。体格が良い…と言うより女の人とは思えないくらいの良い体格をしている。華奢な青木と比べると、とても同じ女性自衛官と思えない…が、白山の隣には彼氏がしっかりいたりする。このあたり…女性自衛官の特権とでも言おうか…
白山「青木〜今日はどしなの?」
青木「あ〜、えと、ちょっと…」
白山「あれ?あれれ?もしかして?これからデートとか?」
青木「…」顔を真っ赤にしながらコクリとうなずく姿が可愛い
白山「あら〜 しっかり彼氏作ってたんだね〜 相手はどんな人?」
青木「…」は黙って指を差している
青木が指を差す方向に白山と白山の彼氏が目を向けると…
人混みと言う事も無視するかのように
のんびり、ペースで三島が歩いて来た…

2005/11/24 (木) 21:26:32

白山「あれ?あら?三島…君かい?」
青木、顔を真っ赤にしながら「はい…」 白山「あれ〜 いつのまに〜。おーい三島く〜ん」人混みなどおかまいなく大きな声で恥ずかしげもなく、叫ぶ。
三島はそれに気付き、「オー!いゃいゃこれはこれは!キューピット白山さんじゃないですかぁ。おひさでんなぁ」とワケわからない関西言葉を使っている。
白山「なに?その変な呼び名?どうにかなんないのかい?」
三島「どーもこーも。どーにかするつもりなんてなかとよ。そんな事より感謝しちょるきに」
こーなると…三島が何言ってるかわからなくなるが 白山は
「相変わらずのりがいいね〜 !最高!青木の事大切にしなきゃ駄目だよ!もし泣かせたら私が三島君をボコボコにしてやるからね!じゃ楽しいデートしてきてね!そいじゃ」
と一瞬で立ち去っていった。
青木「……」
三島「まるで台風だな」
青木・クスクスと笑って…
自然に三島の腕に寄り添い 腕を組んだのだった…

2005/11/24 (木) 21:38:32

三島「おまたせ」
青木「いえいえ、お久しぶりです。」
三島「おひさしぶり」二人は、とりあえず飯だな て話になり、食事をすませ、夜のドライブへ行った
〜車中にて〜
三島「夜景でも見に行こうか?」
青木「え〜綺麗な所あります?」
三島「ん〜 行った時ないけど雑誌なんかにはお薦めっていつも載ってる所だから大丈夫だよ」
青木「やった〜 じゃあそこ行きましょう。お願いします」
三島「……ところでさ?」
青木「はい?」
三島「俺に敬語使うの…辞めない?あと、せっかく付き合ったんならそろそろ名前で呼びあったりとか?どう?」
青木「あっ…えと…それ、私も悩んだんですけど三島さんも、もう三曹になるから…普通の言葉使いでいいのかなぁ?って…」
三島「付き合ってるんだからさぁ それを気にしちゃまずいでしょ」
付き合いが未熟な二人の夜…
続く

2005/11/24 (木) 21:53:13

翌朝、三島と青木は、お泊まりのホテルを朝早く出発する。三島は代休だったのでゆっくり寝ていたい所なのだが、青木は通常通りの勤務の為、朝早くの帰隊となるわけだが…
「早く ほら いそいで!」 と朝から三島の声が響きわたる。 時間にして朝の5時50分 部隊により躾時間の差もあるが陸曹の朝帰りと言う面で青木が所属する部隊は7時まで となっていた。しかし現状は…青木は毎朝6時40分までには勤務する事務室に行き、電気ポットの電源を入れ、コピー機 またシステムパソコンの立ち上げ等の雑用の担当であった。どうにか車に乗り込み駐屯地に向け前進する三島車
「あ〜 早く下の子こないかなぁ〜! 」珍しく感情的になる青木 普通科連隊などの体力勝負と違い、司令部なんて場所は精神勝負 さすがの三島も「つらいだろうけど、頑張ってこーよ」と慰め程度の言葉しか言えなかった。
「今夜は残留だったんだよね?」と三島
青木は「そうなんですよ〜 折角の金曜のヨルなのに〜!」
「で…日曜も残留だったよね?」と三島
「あ〜 もう嫌になる〜 折角楽しくデート出来るはずなのにー!」と珍しいほどに怒りを表す青木
口ではしかたないよ、がんばりなよ と優しい言葉を投げ掛ける三島も、内心ではかなり残念がっている。 6時15分 事故も無く駐屯地正門前のコンビニに到着…
「三島さん…今晩と日曜は本当にごめんなさい。明日、また朝から会える事楽しみにしています」と青木は言うと…三島のホッペにかるくチュッと口つけし、走って正門まで行った…

2005/11/28 (月) 20:40:51

その日の昼…
朝も早い事もあり、眠気に襲われた三島は、漫画喫茶に立ち寄っていた。インターネット席にすわり、大型投稿サイト 1ちゃんねる を見る もちろんいつもは、アニメ板やラーメン板が先なのだが…今日は気分的に自衛隊板をみていた。そこに【新 軍事ドラマ 施設科中隊本部】と言うスレがある。以前、田浦三曹が三島が訓練係の支援で行った時、こっそりおしえてくれた所だった。
「なんだか…これ俺?」「うちと同じじゃねーか?」「自衛隊はどこも一緒て事なんか?」と一人、壁で仕切られた個室でブツブツとつぶやいている。「けどおもしろいなぁ」と行ったあと自分も作者になってみたいと欲求が出て、少し書いて見た。内容は、自分の恋愛話を取り入れた話だった。【施設科中隊で良く本部にくるお調子物士長にワックの彼女ができる。浮かれ気味の士長 しかし、自衛隊は甘くなく、その士長は彼女とデートする暇も無く 演習 当直 残留 警衛と辛い思いをする。やっと外出ができる土日になると今度はワックの彼女が残留だったり…と会えない日々を過ごす 】と暗い内容で書いたのだ。書き終った事に満足し、飲み放題のコーヒーをカップに新しく入れ、それをゆっくり飲んでいると三島の脳裏に不安がよぎった。
今、書いた内容…未来の俺と、青木ちゃんの話になるんじゃないか!?

2005/11/28 (月) 20:57:27

三島続き
そう考えるといてもたってもいられなくなった三島
こりゃ…やばい 折角、とてつもなく俺にはもったいないくらいの彼女作ったのに… こーなったら…… 保険は…大事にしとこう
どんな結論かは、常人の知る所ではなかったが…
漫画喫茶を昼過ぎに出て、大好きなラーメンを食べ、自分の所属営内へとかえり、勤務表を確認すると…
「あぁ〜!」と思わず絶叫する結果が待ち構えていた
当直 演習 残留 警衛… 土日が見事に埋まっている…
同じ候補生だった田中の所を覗くと…やはり、警衛 演習 当直 と同じ様な状況だった
「嫁さん持ちでも…これかい…」溜め息なんて着く暇も無い
時間はすでに17時を回り、金曜の夜を楽しみにしている営内者達もチラホラと帰ってくる。
後輩の柳沢が「三島さ〜ん 今からみんなで焼き肉行くっすけど一緒にどーすか〜?」なんて誘ってくるも
「いそがしんだよ〜 ちくしょー あぁちくしょ〜」と意味不明な言葉ばかり
三島は早速、自分の部屋に行くと電話を取りだし…
「あっ、もしもし〜
あっつ〜かい?元気?三島だよ。三島候補性 陸教全部終了して戻ってきたぞ!いゃ〜 あっつ〜の声聞けなかったから寂しくて毎晩泣いてたよ〜」と…
ちなみに あっつ〜とは青森の某駐屯地に所属し、三島とは中央音楽隊で知り合いになった上田敦子の事である。
この上田との話が終ると、三島のワックラインはさらに発動され続け 次は宮野ちゃんだな えと次は… と おそるべし 三島だったのであった。
それから一ヶ月後
「中々、会えませんねぇ」と青木 「うん、候補性付けて こんなになるなんて… 会いたいよ 青木ちゃん」
「もう少しの辛抱ですよ。明日の警衛 風邪引かないように 頑張ってくださいね おやすみなさい。愛してますよ 三島さん」とこんなセツナイ電話で月の終りの金曜日を飾る 陸曹候補生 三島士長なのであった 。ちなみにこの残留 勤務地獄はこれからが(三曹なりたて)からが本番と言う事は… 先人と訓練Bの田浦三曹の秘密であった
三島 候補生であるがゆえ 〜恋愛〜 苦しみ編 完

2005/11/28 (月) 21:29:13

3曹ならば、大抵の人が経験するであろう 候補生〜3曹なりたての勤務 残留地獄 1月1日昇任に付いては年末のおめでとう当直 ・警衛・残留などと色々な部隊で実施されてますよね。今回はそれをちょっと大袈裟に(それでも自分の経験にもとづいて)書きました。
幸いにも三島は彼女がワックであり、その実情もしっているであろう設定ですから、今後も青木との恋愛が続くような設定にしました。しかし現状はこの候補生の一年で民間の彼女の納得を得られず 悲しい結末を向かえる方も数多くいる事は非常に悲しいと思っています。
そんな方にはぜひ、この中隊本部を読んでもらって元気になってほしいですね
なお今回、白山 1ちゃんねる 上田敦子 宮野 柳沢 と、過去にちょいと出てきた人物などをひっぱり出してきました。笑う三警補さんのおかげで、過去の名作を見れると言う喜びと、中々にもったいない脇役達にも と言う気持ちもありました。そんな事もあり、完結まで長期の時間を費やした事をお詫びします。
それでは、みなさん またいつか、書く三島編も楽しみにしながら、中隊本部を一緒に楽しんでいきましょう (^-^)ノ~~

2005/11/28 (月) 21:47:43 | URL | 三島作者 #-[ 編集]

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